第一話
地球という惑星は、ずいぶん昔に打ち捨てられたと聞く。
ただ一人、地球の維持管理をしているものがいるという話は、単なる都市伝説だと思っていた。
太陽系と呼ばれている領域は、数百年前に封印された。
といっても監視されているわけではなく、時折パトロールがやってきては、離れていく程度だ。
宇宙広しといえど、ここまで神聖視された禁足地はそうそう無い。
惑星系一つ丸ごとだからな。
俺は、山師を生業としている。
様々な惑星で採掘をしては、別に惑星へと動いていく。
「なあ、次、何かいいところねえか」
俺が聞いているのは、随分昔からひいきにしている居酒屋だ。
ちなみに、地球からは450光年離れているらしく、店の名前も『450』だ。
「そうだなぁ……」
カウンターで大将に聞く。
後ろでは、テーブル席で飲みかわしている、別の山師集団がいるが、俺の話を気にかける様子はない。
というのも、情報交換としてこの店に来ているのは、よほどの変わり者だと評されているからだ。
大ばくちを賭けるようなやつは、ここで情報を仕入れては、旅立っていく。
そんな店だ。
「オリオン腕の根元、この銀河の中心に向かっていくと、まだ未開発の惑星があるっていう話だな」
人類が宇宙に出てから、ざっと800年にもなる。
この間、人類はこの銀河のあちこちに散らばっていった。
しかし、この宇宙というのは、あまりにも広い。
いまだに開発されていない領域が多数あり、そこに、俺の仕事もあった。
この大将がどうやって仕事をとってきているかは知らないが、こうやって紹介してもらえるだけでもありがたかった。