02 テロ
生徒玄関に着くとガタイが少しばかり良い初老の男性が迎えてくれた、この学校の校長先生だ。靴を履き替え校長の案内に従う、その間校長はなんだか色々と喋ってくれ僕はそれを適当に相槌を打って聞き流す。しばらく歩きようやく目的地に到着したみたいだ、退屈な話しを聞いてたからかずいぶん長く感じた。
ここはどこだ、ステージ裏?ステージ下……?のような薄暗い空間。窓のない閉鎖された小さな空間で大人数の喋り声が遠くから少しだけ聞こえる。
「生徒みんなが君のことを楽しみにしているんだ。今日は全校集会でちょうどいいタイミングだったからねえ、少し自己紹介ってことでよろしくね」と校長が言った。
え、全校生徒の前で自己紹介って……、うわあどうやらすぐに始まるらしい。待って、心の準備が……
僕がどぎまぎしていると目の前にある四角い板に乗るよう促された。よくわからないが校長の背中を押す力がなかなか強い!?校長の押しを振り払うこともできずそのまま板に乗った、その瞬間どんどん板が上に移動を始めるではないか。いや、なんだこれライブかよ!?とか心の中で思いつつ、もう動いてしまったら変に動くと危ないと覚悟を決めている自分もいた。
下から校長の頑張ってねーだかよろしくねーだかの声がどんどん遠ざかっていく。
ガシャン、と音がなり体育館のステージ上に立たされ全校生徒が僕に視線を向けた。目の前には生徒生徒生徒生徒生徒、しかしその光景はよく見るとすごく異常で不気味だった。
数百人いるであろう生徒が男女で完全に別れて座っているのだ、僕から見て右に男左に女真ん中には絶妙な距離感。学ランにセーラー服、ズボンにスカート、短髪に長髪、男女完全に別れており別々に陣営をとっている。
この光景に戸惑っている間体育館の中では沈黙が続きその後少しずつ、男たちがなぜだか盛り上がっていた。
あまりに突拍子のない出来事ではあるが集会の並び方が男女別々ってこともあるのかもしれない、いや十分にあり得るだろう。気をとりなおして自己紹介だ。
「は、はじめまして。佐藤なみか…」
僕の自己紹介を強引に遮る形で突然体育館中に強烈な爆発音が響きわたった。ステージの上からだとよくわかる、体育館後ろで突然爆発が起きたのだ、体育館倉庫が煙をモクモクとあげながら燃えている。
爆発後すぐ何人かの生徒が同時に空中になにかを放り投げた、それらは煙をあげながら大きな音を出し炸裂した。どうやらネズミ花火やらロケット花火みたいだ、体育館全体が煙に包まれ火災報知器が作動し警報音が鳴り響く。
正直何が起きてるのか理解できない、突然何が起こってるんだ!?
戸惑っていると背後から高らかな笑い声が聞こえてきた。
「ハーッハッハッハッハーーーッハッハッハッハーーーーーッハッハッハッ!!」
振り向くと背丈が同じくらいで肩に少しかかるくらいの黒い髪をした元気そうな女の子が笑っている。な、なんだこの人……いつからそこにいたんだ!?
「ハッハッハー、そう身構えないでくれ。私はこの学校の生徒会長 春時雨雫 だ。この緊急事態だ、私に付いてきておくれ。」
そう言って手を差し伸べてくる彼女は不覚にもかっこいいと思ってしまうほどキマっていた。あまりにかっこよく手を取ろうとしたらまたも後ろから声が聞こえてくる。
「やめろーー!お前らに渡すかーー!それに生徒会長はぼくだーー!」
声の方を振り向くと背丈の小さい栗色髪の毛で短めのボブヘアーの女の子?いや、学ランを着ているからおそらく男だろう可愛らしい子が慌てふためいてる生徒たちを掻き分けこっちに向かってきた。
「へっ、そいつはこっちのもん…ってにょわわわあああーーーー!?」
ようやく着いたと思ったら、彼がステージに登った瞬間下にあったネットが上に吊りあがりその男の子を捕まえてしまった。
ええー、なんだこれ…。正直もう僕の脳が考えることを放棄している、大丈夫かあの人は。
「ハーッハッハッハッ、残念だったわねえー。悪いけどこちらの作戦に抜かりはないわ。あなたにはこっちに付いてきてもらうわよ。」
そう言って女の人が迫ってきた。もう訳がわからなすぎるが流れ的に今捕まってる男の子が正義の味方っぽいぞ?それにこの女の人顔が笑ってない、怖いんだけど!?
彼女に少し距離をとり対面した瞬間、僕の首根っこのあたりに殴られるような衝撃が走った……背後から殴られたのか。うっ……、視界が薄れてきて……。
気を失う間際、薄らぼんやりした視界のなかネットの中で暴れる学ランちびすけの「絶対助けてやる、待ってろよこのやろーー!」
そんな言葉が聞こえた気がする。
目の前が真っ暗になった。




