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1-3


1-3 「妹」

明暗の旅人亭。

アルラーン王国にある有名な冒険者ギルドだ。冒険者が集い、情報交換、依頼受付などを取り扱う店だ。なお、有料サービスで食事を出してくれる。

アルラーン王国で一番大きな、冒険者専門店である為か、店内のあちこちで斧、剣、弓などを見掛ける。

その店のカウンターにて、受付嬢が微笑み、目の前の少女に低い声で言葉を投げる。


「で。ゴブリンは討伐したんですか?」

「よ・・・・4体かな?」

「では、依頼失敗で宜しいですね」

「え。でも」


「よ・ろ・し・い・で・す・ね?」


「・・・・・。ハイ。ヨロシイデス」


厳しい。

クロウは内心そう思った。

日没ギリギリまで達成出来なかったので、当然であるが。

依頼書にクエスト失敗という意味を示す、ドクロの絵の判子が押しされる。


「では、次の依頼です」

「ちょ!? 少しは休めさせてよ!? 今日はもう遅いし・・・・・!」

「私もお姉ちゃんを休めたいんですが、”上”からの命令だそうです」


ルナは少し諦めた表情で新しい依頼書を出した。彼女はクロウとは血が繋がってないが、本当の姉妹のようにクロウを尊敬し、『お姉ちゃん』と呼んでいる。


「・・・・・。心当たりがあるから、仕方ないや」


”上”と言われて、真っ先に思い当たる人物が居た。”傲慢の神”ダライマンだ。

彼はクロウを下界に還す前に、こんな事を言っていた。


『あ。待ちなさい。・・・・いいか。お前がスムーズに俺を殺しに来る為に、あらゆる手段を用意しているからな。覚えておけ』


恐らく一日も早く実力を高めて貰う為に、明暗の旅人亭を動かしたのだ。


「お姉ちゃん。無理しないでね」

「大丈夫。必ず達成してくるから」

「でも、いつも1人だと心配かな。仲間が居ればいいのに」

「・・・・。仲間なんて要らないよ。特に恋愛したい奴とは関わりたくない」

「あ・・・・・。ごめんなさい」

「ああ、ルナは気にしなくていいから」


それでも明暗の旅人亭の受付嬢としてクロウに仲間を作って欲しいと思っているようだ。彼女が腕を組み、あらゆる方法を考え込むと。


「ルナさん。少し話いいですか?」


別の冒険者と思わしき人物が恐る恐る声を掛けた。


「あっ。ごめんなさい。・・・・この話、また後でね」

「うん。分かった」


クロウは空気を読み、2件目の依頼書を取って、早々にこの場から離れた。

ルナが笑顔で名も知らない冒険者に対応しているのを眺めながら。



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