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我、ご飯求む!中間(2)

 ビックウルフから逃げ延びて、かれこれ二、三時間は歩いているがまったくもってこの森から出られるような気がしないのはなぜなのだろうか?

山のふもとに町があるのは確認できているので、山に近づいてぐるりと回れば着くはずなのだが。それともまだ二、三時間経っていないとか?

 ふと甘い匂いが私の鼻を捉えた。

 匂いがするほうへ行くと、そこには絵に書いたようなお菓子でできた、まさにお菓子の家があった。

「え、嘘。でも、何か食べさせてくれるかもしれないし」

 それにほら、お菓子の家なんていうファンシーなもの作る人だもん。きっと親切に違いない!というか、自分のお菓子を他人に披露したくて仕方がないはずだ!

「ごめんくださーい」

 チョコのような色をした扉を叩いてみるが反応がない。手に何かが付いた感覚がするので見てみると扉と同じ色のものがついていた。

「もしかして、これは!?」

 ペロ

「おぉ!まじで見た目だけお菓子じゃなくて、まんまお菓子なのか!もう我慢できねぇ!」

 私は扉を殴り壊し、チョコのドアを上からガツガツ食べることにした。

「うひょーうめぇ!」

 ドアを食べ終えた後は、それだけじゃ飽き足らず壁のクッキーまでも平らげていく。

「こ、こらぁ!わしの家を食べるでないわ!」

 壁を一枚食べ終えたあたりで、部屋の地下からお婆さんが出てきた。

「え、ダメですか?」

「逆になんで良いと思うんじゃ?!」

「お菓子でできてるじゃないですか」

「お菓子である前に、これは家じゃ!」

「家である前に、これはお菓子ですよ」

 かじかじ

「だから、食べるではないと言っておろう!」

「えー」

「全くあんたは何用で来たんじゃ?」

 あれ、ドアとか壁とか食べたのにあんまり怒ってないぞ。やっぱ実は食べてほしいんだな!

「あなたの家を食べにきました!」

「馬鹿か!」

 杖で叩かれました。

「お、女の子をそんなもので叩いちゃだめなんだぞっ」

「あんた女だったのかえ。てっきり男で山賊だと思ったわい」

「ひ、ひどい!、まぁ、そんなことどうでもいいから、食い物寄越せー」

「否定するならそういう事言うんじゃないよ」

「はよぉ」

「まったくむかつく女だねぇ!」

「災害に巻き込まれたと思って諦めてもらえると、こちらとしても楽でいいですね。お互いハッピーになれるよ!」

「わしはハッピーか?まぁ、お菓子じゃ足らなかろう。ちゃんとした飯を出してやるわい」

 中に入り数十分、食べかけになっていた壁をかじりながら待っていた。

 お婆さんが地下から出てきて、両手に持ったお盆に乗せてあったのは、それは言葉を失うような芸術品であった。

 食べることを逆に躊躇うほどの料理に臆してしまったが、散々失礼を働いた私が、改めてこれを作ってもらって食べないというのはとても失礼に当たると感じ、それを丁寧に食べることにした。

「おいしかったよ。お婆さん」

「ふふ、そうかい。でもねあんた、それはな」

 お婆さんが何か言った瞬間、お腹がいっぱいになった私は、急激な眠気に襲われた。

「終わりを告げることになるんだよ」

 それに抗うことができず、目を閉じ机に体を預けた時だった。

 うおぉぉぉぉぉ!

 上半身の胃があるであろう場所がいきなり何も入ってなくてスカスカの状態になったような感覚に襲われた。

 その感覚はまさに前まで苦しんでいた。

 空腹の状態であった。

 なぜだ!これは明らかにおかしい。矛盾してる!

 目を閉じているはずなのに、だんだんと目の前が明るくなっていう矛盾までもが起き始めた。

 そのまま意識は薄れていくようなはっきりしていくような不思議な感じに襲われ私は―――

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