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プロローグ

テスト投稿。

例によって例のこどく、昔グリーにあげたやつです。

 今日は最悪だ・・・・・・。

 ただいまの時間は、夜の7時頃。

大体の家庭はこの時間は晩御飯であろう。

うちだってそうだ。

うちの晩御飯といえば、家族がテレビを見ながら、または話しながら笑いながら、和気藹々とテーブルに並べられたご飯に食べるものだ。

 だというのにだ。

 今日の晩御飯は、テレビの音を聞くものはおらず。

誰も話さず、誰もテーブルに置かれた食べ物に箸を伸ばそうとしない。

重い沈黙が場を支配していた。

 しかし、一人を除いて・・・・・・作った張本人だけは「早く食べないと俺が全部食っちゃうぞー」と言い、おたまでそれをすくい食べていく。

その食べ物は自分の存在をとても目が痛くなるような赤色で主張し。

ぐつぐつと煮られている音は、まるで覇を唱えているよう。

我々、母、妹、そして私は圧倒的敗北だった。

 それは父が言うのは、キムチ鍋だというのだ。

父が作ったキムチ鍋には、まったくもって野菜、肉などの具が見られない!

いや、だからといって、何も入って無いわけではないのだが、この良くわからないドロドロした何かは果たし具と言っていいのだろうか?

きっと母も妹も顔を下に向けて、同じ気持ちで父のキムチ鍋を見ているに違いない。そして、それがなんなのかを一生懸命考えているのだろう。

私は考える事を10秒ほどで止めた。

 きっと誰もが想像しただろう。

 父が一年ぶりに単身赴任から帰って来て、「俺が一年間で身につけた料理を披露してやろう!」と言われた時。

あの何かを始めたらとことんこだわり、自分が納得するところまでやり抜く父がどんな素敵な美しい料理という名の芸術品を持ってくるのか。

特に私はもちろん妹もアニメや漫画のような料理を創造したに違いない。

それが・・・・・・こんな・・・・・・のなんて。

「う、うぅぅん、料理、りょ、料理とは、う、うぅ」

妹は父の料理を見てポンコツになってしまった。

 さっきから父が悠々と食べているのできっと大丈夫だろうけど、父以外の誰かがあの明らかに辛そうな汁をふんだんに吸ったドロドロも食べて安否を確認したい。

「ね、ねぇお父さん、このドッロドロしたもの何?」

 観察と沈黙に耐えかね、ポンコツになった妹が復帰し、顔を下へ向けたまま、少し控えめな声で質問した。

「おぉ、これか?これはだな、野菜とかカキをミキサーにかけて米と一緒にドロドロになるまで煮たんだ」

「ど、どうしてこんな見てる目が痛くなりそうなくらい赤いの?」

「それはだな、ひたすらに辛い調味料を片っ端から入れたからだな」

「な、何を目指したらこれになったの!?」

「いやぁな」

 父が説明を始めようとすると私と母と妹は顔を同時に上げた。

「仕事が忙しくてな。料理をじっくりしている時間は無いし、何食っても味が薄く感じるんだよ。それでこの二つの条件をクリアーできる料理を考え、かつ食事っぽく食感も少し―――」」

「「「こだわるポイントがずれたか・・・・・・!」」」

「ん、何か言ったか?」

「「「んいや、何も!!」」」

「ん、そうか。まぁ、そんな感じでこうなった」

「な、なるほど。あーソウナンダー。ヘーダカラコウナッタノカー」

 妹が視線を下へ移すタイミングで片言になる。きっと無意識なのだろう。そうさせるほど父特製効率重視キムチ鍋には破壊力がある。

そう、これは仕方の無い事なのだ。誰が父を責められようか?

そして、それは私にも被害を及ぼしてきた。

「うぅ・・・・・・」

「なんだ、長女よ?嬉しくて涙が出てきたのか?」

 ちげぇよ!!キムチ鍋の湯気のせいで目が痛いんだよ!!とは言えないので。

「う、うん。そうなんだよ・・・・・・」

「そっかぁそっかぁ。今日、俺帰ってきて良かったよ!母さんはどうだい?」

「わ、私も涙を流したいほど嬉しいわよ?」

「俺は幸せ者だなぁ!」

 確かにそうですね。母さん言葉嚙んでるのにそう聞こえるなんて。

「ねぇ、あなた?この休暇は十分に休みましょう?そして、向こうへまた行ったら私がたまに作りに行ってあげるわ」

「お、そうか?それはありがたい!まだ食べてない母さんに俺がよそってあげよう!」

「あ」

 意気揚々と母の皿にキムチ鍋の中身をよそっていく父。

 それを見て目が暗くなり、まるで絶望しているかのような母。

「そうだ、母さんだけじゃ不公平だな。娘達のもよそってやろう!」

「「あ、え、あ、い―――」」

 お互いに食べたくないが、嫌だと言えないうちに皿に入れられるキムチ鍋の中身。

 この後、私達姉妹はあまり食べずというか、皿に入れられた分だけは食べ、残りは平然と食べる父と体を硬直させひたすらにキムチ鍋を食べる母に任せて、自室に戻った。

そもそも一皿食べるだけであまりにも辛すぎて一時間はかかった。

 そんなこんなで全然まったくもって満足いかず満腹にもならなかった晩御飯。時間は11時。

10時頃に冷蔵庫を漁っているところを父に見られ、「キムチ鍋の残りがあるぞ?」と言われ、キムチ鍋を出そうとしてきたので適当な事を言って逃げてきた。

きっとまだリビングには父と母が風呂上がりの談笑でもしているのだろう。冷蔵庫に行っても無駄である。

 今日はこのまま空腹のままで寝よう。幸いそこまで気になるほどでもない。というか、キムチ鍋のせいで感覚が変になっているのだろう。

 ベッドに寝転がり、延長させた紐を引っ張って明かりを消す。

 明日はお腹が空いて起きそうだなぁ・・・・・・。

そういえば残りがあるって事は朝にキムチ鍋を食べさせられるかもしれない。

明日は親が起きていないのを確認して、ちゃっちゃと冷蔵庫に行こう。

 そう心に決めて私は眠りについた。

 しかし、この空腹の眠りがまさかあんなちょっとした冒険をする要因になるとは、この時私は思いもしなかった。

最後まで読むと、くだらなっ!とかなんじゃこりゃ!とがいろいろ思ったら、全部まとめて「くだらなっ!」って感想、待ってまーす。

あ、でも、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

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