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第壱話 ー 其の八

春休みは課題に追われ、今後も学習が忙しくてあまり投稿出来ないと思います。

……まぁ、どれも言い訳ですが。

「……ゆうた」

「喋るな!おとなしくしてろ」


傷口が開く。分かってはいる。既に間に合わないと。だからって認めるわけにいかない。


「……ごめんね」

「なんで…謝んだよ…」

「だって…」


俺の頬に手を伸ばして触れる。


「こんなに…悲しい顔をさせちゃってる……」

「お前が謝ることじゃないだろ……!」


その手を握ってその温もりを欲する。


「俺が何も出来ないから、俺が、弱いから……」

「それこそ…悠太は悪くないよ……」


儚い笑顔を浮かべる。今にも消えてしまいそうな。


「……ねぇ、悠太?」

「なに……?」

「なんで……来てくれたの?」


その質問の意味。

それはあれか?俺が好きになるってことがよくわからないって、よく言ってるからか?力を持っていないのに、どうしてそんな真似したかってことか?……決まってるだろ。


「……お前を、失いたくないからだ」

「………そっ、か」


そしてにこやかに微笑む。


「ありがと」













「はぁぁぁぁぁぁっ!!」


五十嵐 玲は刀を振るっていた。


「はっ!!」

「もうちょっと、くっ!落ち着きなさい、よっ!」


エミシュの洋剣も刀を去なし斬りかかる。

一進一退の激しい攻防。人の目で追える速度などとうに超えて、斬撃と金属音がずれて聞こえる。つまりそれは、少なからずとも音速に達しているということだろう。


「……ねぇ」

「なに?あなたと話したくはないのだけれど」

「なんでそんな必死なの?」

「…は?」


玲には意味が分からなかった。なぜ急に気合を入れてその刀を振るうのか?その根源にあるものはなにか?それが分からないと言う。


「……わざわざ聞かなきゃいけないこと、それは?」

「私には分からないからことですもの」


欧米人のように肩を動かしてリアクションをとる。


「あなたたち人間みたいに…あなたはもう人間じゃないか。けど、元人間含めあなたたちみたいに友達意識ってのは、正直呪鬼にはあまりないのよねぇ。

なんていうか、結局は互いの利益を考えたお付き合い。自分にとって都合いいなら、よろこんで手を貸す。それでいつか手を貸してもらう。そういうので成り立ってるの、呪鬼(うちら)は。冷めてる関係だと思うかもしれないけど」


互いの利害を考えた上で結ばれる。得するなら手を貸し、しないなら無視する。手を貸したらいずれ手を貸してもらう。それは一種の契約。等価交換。


「だからよく分からない。こんな私でも、あなたがあの子が殺されたことに怒って今に至ってる、それくらいは分かるわよ」

「……分からないから、なんだと言うの?」


正直、今の玲にとってどうでも良かった。あなたたちの付き合いとかそう言った事情など知ったこっちゃない。

きっと何かの役には立つ。現に玲はそんな情報を得てはいなかった。今後何かに使えるかもしれない。

だが、どうでもいい。くだらない。今は強くそう思っている。あるのは一つの事実。


「くだらない」

「っ!!」


反射的に強く振るわれた刀。


「誰かのためにとか、もし頼まれもせずにしているんなら、所詮ただの自己満足に過ぎないじゃない。あなたが勝手にムカついて、あなたが勝手に敵討ちして、あなたが勝手に報われたいだけでしょ?ホント、くだらない」

「うっるさいっ!!」


違う


その二言は、口に出されることなく飲み込まれた。言い切れない。断言出来ない。疑ってしまった、自分を。


「……腕が鈍ってるのが、いい証拠じゃない……っ!!」

「-----っ!!」


吹き飛ぶ五体。体制を整えなきゃいけない、そのはずなのに動かない。


「………がはっ!!」


頭に浮かぶのは一つだけ。


(私は、なんのために……)















時は来た。


その時は来た。


目覚める時が来た。


なのに君は、いつまで眠っているんだい?


いいかげんにしてくれたまえ。


こっちも飽きてしまう。


期待が大きくなってしまうよ?


さて、場は整っているんだ。


君が踊るのも……















もうすぐだ








擬音が難しい。

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