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死霊王子と花の指輪  作者: くらげ
第四章 トリス先生たちの日常
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トリス先生の日常9

  それから一ヵ月後-


 呪いの森を歩きながら、私は奥さんに、昔のことをねちねち掘り返されていた。


「あんたには三回ぐらい振られたわね」

 私の記憶では彼女を明確に振ったのは最初の一回で、二回目の告白は告白と言うか脅しだったし、三回目は勝負に勝ったはずなのに、気づいたらなぜかこっちが負けていた。


「悪かったって。ほら、ここだ」


「本当に何も無いわね」

 奥さんは「本当にここ?」と疑わしげな視線を向ける。

 特に目印らしきものは無いが、私はこの場所を忘れることは無いだろう。

 私の侍女の遺骸が有った場所。


 明日には、正式に妻になるロザリーが焼いたマフィンと今朝方けさがた摘んだばかりの私の王城の薔薇ばらを置く。

 私の幸せを一番に気にかけて、願ってくれた侍女だ。

 まだ、この世に留まっているのだとしたら、私はもう大丈夫だから、あの世に逝くように伝えにきたのだが。


「私のことなど放っておいて、さっさと天国にっているかもしれないがな」


 エリエールが好きだった秋の薔薇ばらが風に香る。

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