冬の精霊は旅に出る
冬の精霊はいつも大忙し。朝は霜を凍らせて、夜は北風をビュウビュウ吹かせなければならないからです。
この季節になればもっと大変で、冬の妖精一番の仕事である、雪を降らす仕事まであります。
こんな仕事も感謝されれば遣り甲斐もあるのですが、雪が降って感謝してくれるのは子供くらい。大人はとても嫌そうな顔をします。唯一嬉しい顔をされるのは、クリスマスくらいでしょうか。
(もっとみんな楽しんでくれれば良いのにな)
そんな事を考える冬の精霊ビュウ。ビュウとは、お父さんとお母さんに、強くて寒い妖精になりなさいと付けられた名前です。
ビュウ自身も、そんな名前に恥じない様に、冬はビュウビュウ北風を吹かせていた時もあります。
だけど最近はそんな元気もありません。北風を吹かしても、聞こえて来るのは「寒い」とか「嫌だ」とか「ちくしょー」といった言葉ばかりだから。
(どうすれば北風を吹かして皆に喜んでもらえるのかな)
そんな悩み事をするビュウですが、答えはぜんぜん見つかりません。だって北風は、いつも嫌われるからです。
ビュウのお父さんも、若い頃は北風を吹いていたそうですが、旅人の服を脱がせようとする勝負で、夏の精霊に負けた事を今でも悔しがっています。だからビュウのお父さんも北風はそんなに好きじゃないそうです。それくらい、北風は嫌われています。
(一人で悩んでいても仕方ないか)
ビュウはこれまでずっと悩んできましたが、答えが出ませんでした。両親に相談する事も考えましたが、北風の奴めと悪態をつくお父さんを見れば、あまり良い相談相手には見えません。
(ちょっと暇を貰って、旅に出て見よう)
ビュウは自分の仕事を少し休んで、色んな冬の精霊に意見を聞こうと考えました。まず目指すのは北の方向。自分より、もっと寒い場所に住む冬の精霊なら、きっと良い意見を持っていると考えたからです。
北へ北へと向かうと、雪が降ってきました。とても白い雪で、さらさらしている印象があります。
実を言えば、ビュウは雪を降らすのが得意ではありません。北風を吹いたり、周りの温度を下げる事はできるけど、雪を降らそうとすれば、雨やみぞれになったりするし、上手く出来ても、すぐに溶ける牡丹雪みたいな物しか作れませんでした。
(こんなに綺麗な雪を降らす精霊が居るんだ。きっと、僕の悩みも解決してくれるに違いない)
そう考えて、ビュウはこの雪を降らす精霊に会って見る事にします。雪を降らすくらいだから、もっと空の上へ。雲に届くくらい上へ。
『なんだ、なんだ。余所者の精霊が、どうしてこんな所に来る』
ビュウは空の上で、齢を取ったお爺さんに会いました。彼もどうやら冬の精霊です。
「こんにちは、お爺さん。僕の名前はビュウです。他の精霊に相談したい事があったので、ここまで来ました」
ビュウは出会った精霊がお爺さんだったので喜びます。だって、自分より年齢が上なら、自分より物知りだから。きっと、自分で解決できない悩みも、解決してくれるでしょう。
ビュウは自分より年上の父があんまり役に立たなかった事も忘れて、そんな事を考えました。
『相談? 悪いがもう少しまってくれんか。今は雪を降らすのに大忙しでな』
お爺さん精霊は、雲を固めて雪にして、それを地上に降らしています。その手際たるや、ビュウではとても真似出来ない程に早く丁寧で、まさに職人技でした。
暫くビュウがその手際に見惚れていると、お爺さん精霊が手を休めます。
『ふう、今日はこのくらいにしておこう。坊や、ビュウと言ったか。なにか相談があってここに来たそうだのう』
手を休めたお爺さん精霊は、ビュウの相談に乗ってくれました。さっそくビュウは自分の悩みを話します。
「僕が仕事をしていると、皆が嫌な顔をするんです。寒いのは勘弁して欲しいとか、風が強くて困るとか。どうやったら喜んで貰える様な仕事が出来るのでしょう」
誰だって、人が喜ぶ仕事をしたいのだ。自分の仕事が嫌われ者の仕事だと見られては、やる気も無くなってしまう。
『喜んで貰える? 悪い事は言わん。そういう悩みはさっさと忘れた方が良い』
しかし、お爺さん精霊の返答は素っ気ない物でした。冬の精霊は、色んな生き物から嫌われている。そう言うのです。
「どうしてですか? 僕達は一生懸命仕事をしています。お爺さんだって、こんな綺麗な雪を降らせてる。この雪を見た人は、きっと喜んでくれるはずですよ」
サラサラとして、土に降ればきっと積もる事になるだろうお爺さん精霊の雪は、精霊が頑張って降らした努力の結晶でもある。
『そうかのう。雪が積もれば、寒さも勿論だが、その重さで建物を壊す事だってある。そうならないために、屋根の雪を降ろしたり、道の雪をどかしたりしなければならん。こんな雪なんて無い方がマシだとよく言われるのだが』
なんてことだろう。ビュウが綺麗だと思った雪は、この場所では邪魔物にされているのだ。
「だって、あんなにお爺さんは頑張って作ってたじゃないですか。どうしてそんな風に扱われるんですか?」
『仕方が無い事なんだよ。納得できないのなら、もっと北へ向かうと良い。わしらがどれだけ周りに迷惑を掛けているかわかるはずだ』
お爺さん精霊は、さらに北へ向かう様にビュウへと伝えると、再び雪を作り始めた。あれだけ迷惑になると言っておきながら、どうしてあんなにも一生懸命なのだろうか。
ビュウは不思議に思いながらも、お爺さん精霊に言われた通り、もっと北へと向かいます。その先にビュウの求める答えがあるかもしれないから。
北のさらに北側は、今までの寒さが暖かいと思えるくらいに寒い場所でした。水もすぐに氷になるし、バナナで釘だって打ててしまえます。
ですが冬の精霊にとっては、それほど辛くはありません。これくらいで堪えている様では、雪を降らしたり、北風を吹かしたりできないのです。
(うわあ。ここの雪は、雪じゃ無いみたいだ)
ビュウの知る雪は、白くてフワフワしているか粒っぽい物でしたが、ここの雪は透明で、キラキラしており、までガラスの粉が降っている様です。
(この雪を降らしているのは誰なんだろう)
もしかしたら、お爺さん精霊よりも凄い精霊なのかもしれません。ビュウは期待しながら、精霊を探します。
『おやおや、若い冬の精霊がこんなところで何をしているんだい?』
ガラスみたいな雪を降らしている精霊を、ビュウはようやく見つけました。精霊はお爺さん精霊よりも若い姿ですが、ビュウよりももっと年上です。
大人の精霊は、お爺さん精霊とは違って、雲を固めるのでは無く空に浮かぶ細かな水を凍らせています。キラキラした雪はこの様にして出来ていたのでしょう。
「こんにちは。僕は冬の精霊のビュウです。相談したい事があって来ました」
お爺さん精霊は仕方ないと言われましたが、それでも、人に楽しんでもらえる仕事がしたいと考えるビュウ。大人の精霊は、どんな答えを返してくれるのでしょうか。
『皆を楽しませたい? 他の季節の精霊ならともかく、冬の精霊には無理だよ』
大人の精霊の言葉は、ビュウにとって、とてもショックを受ける物でした。冬の精霊は皆を楽しませる事はできない。どうしてそんな事を言うのか。
『だって、冬は生き物がみんな静まり返っちゃうじゃ無いか。生き物は温かい場所が好きなんだ。冬の精霊が頑張ったら、生き物はみんな居なくなる』
それはその通りです。冬の精霊が本気になれば、生き物の命を奪ってしまう事すらあります。だからこそ嫌われているし、だからこそビュウは好かれたいと考えたのです。
「頑張ったって意味が楽しませる事ができないのなら、どうしてあなたは頑張って雪を降らしているんですか?」
そこがビュウには分かりません。みんなに喜んでもらえないのなら、働く意味とはなんでしょうか。
『そうだねえ。南のお爺さん精霊には会ったかい? ああ、会ったみたいだね。だったらお爺さんもそうなんだけど、僕も氷の精霊になるために頑張っているんだ』
氷の精霊? 始めて聞いた名前です。冬の精霊のビュウが聞いても、凄く寒そうな名前でした。
「氷の精霊になれば、何か良い事があるんですか?」
でなかれば、氷の精霊になろうとは思わないでしょう。
『凄く力を持った精霊なのさ。そんな精霊に僕もなりたいから、こうやって頑張ってる。力を強くすればするほど、氷の精霊に近づけるからね』
大人の精霊が頑張るのは、力を付けて、氷の精霊になりたいからでした。では、氷の精霊とはどんな存在なのでしょうか。ビュウは気になります。
『氷の精霊を見てみたい? なら、もっと、ここよりもおっと北に行けば良いよ。そこに氷の精霊が居るはずだ』
ビュウは大人の精霊が言う通り、もっと北を目指す事にしました。ビュウは仕事を頑張って出来る理由を、なんとしても見つけたかったのです。
北への道は、世界を白くしていく様な道でした。様々なら色彩を持つ世界は、大地が雪に覆われ、水が凍りついて、白一色に染まります。唯一、自分の色を持つ空も、天気が吹雪になれば、白色へと変わってしまう。
(まるで違う世界に来たみたいだ)
ビュウの住む町のぞっと北側は、こんな世界が広がっていたのか。そんな驚きを感じていると、ビュウの近くに周りと同じ色をした白い精霊が近づいてきました。
『あらあら、どうしたの? ここは冬の精霊が来るところでは無いわ』
白い精霊は女性でした。見知らぬ精霊を見つけて、心配になって話しかけてきた様です。
「こんにちは、僕は冬の精霊のビュウです。ここには氷の精霊に会いに来たんです」
ビュウはこれまでの経緯を話します。自分はどうすればみんなを喜ばせる事が出来るのか考えた事。相談する相手を探した事。他の冬の精霊は、氷の精霊を目指していると聞いた事。実際にこの目で見てみる事にした事。
『そうねえ。一応、私が氷の精霊よ。冬の精霊が目指す氷の精霊は、私みたいな精霊の事を言うの』
ビュウは喜びます。こんなにすぐに目的の相手に会えるとは予想外だったからです。
「それじゃあ、あなたはみんなを喜ばせる方法を知っていますか? 頑張って氷の精霊になれば、それが出来るかもと思ってここまで来たんです」
ビュウは、冬の精霊が頑張って氷の精霊を目指している理由を、氷の精霊がみんなを喜ばせる方法を知っているからだと考えました。
『残念だけど、それは無理ねえ』
ですが、氷の精霊でもみんなを喜ばせる事は出来ないと話します。
『ほら、周りの風景を見てみて?』
氷の精霊に言われるまま、ビュウは周りを見ます。そこには、見飽きた白い風景が広がるばかり。どこまでも白一色で、氷の精霊以外に、生きている者は居ないと思わせる場所でした。
「どうしてこんなに寂しい場所なんですか?」
そんな事をビュウは言ってしまいました。ここはとても寂しい。色鮮やかな風景も、動き回る生き物も居ない。
『それが氷の精霊の仕事だからよ。何もかもを凍らせて、こんな世界を世界中に広げる事がお仕事』
それでは、みんなを喜ばす事なんて絶対に出来ません。むしろ、喜ばせるみんなも凍らせてしまいそうです。
「どうしてそんな事をするんですか? こんなに凄い力を持っているのに」
世界をこれだけ凍らせる事なんて、ビュウには無理です。自分よりとても強い力を持っているのに、世界中を凍らせる事が仕事なんて、ビュウには納得できませんでした。
『仕方の無い事なのよ。冬の精霊が力を付けて氷の精霊になれば、周りを凍らせる事しか出来なくなるの。そうやって、世界中を凍らせれば、世界中に氷の精霊が溢れる事になる。その事が目的と言えば、目的ね』
仲間を増やす事が目的。そう言われても、ビュウにはピンと来ません。仲間なら、父や母が居るし、ここに来るまでに二人の冬の精霊に会いました。多分、世界中にはもっと多くの仲間が居る事でしょう。
別に世界中を凍らせてまで、仲間を増やす必要なんて無いと思うのです。
「それに、世界中を凍らせたら、氷の精霊以外、居なくなっちゃうじゃないですか」
その事が一番気になります。ビュウにとって、冬の精霊以外の生き物も、大切な世界の構成員です。そんな生き物たちを喜ばせたいと言うのがビュウの願いなのに、居なくなってしまうと言うのなら本末転倒でしょう。
『でも、氷の精霊以外には、わたしのやる事を認めてくれる生き物は居ないわ。だから、そうするしか無いのよ』
喜ぶ相手が少ないのなら、喜ぶ相手以外を凍らせてしまうしか無いと氷の精霊は話します。
その話をしている内に、ビュウはなんだかとても悲しくなってきました。世界中を凍らせる事しかでいない氷の精霊。力を付ければ、そんな精霊になる冬の精霊。自分がそうであると言う事が、なんだかとても悲しいのです。
『あらあら、泣いちゃだめよ。うん、そうね。君は氷の精霊に向いていないのかもしれない。ごめんなさいね、こんな話をして。そうだ、もっと君はもっと北を目指しなさい。これまで進んで来た距離よりもっと北側へ。そうしたら、君の相談相手が居るかもしれない』
氷の精霊は、ビュウの頭を撫でながらビュウにもっと北を目指す様に言います。北に何があると言うのでしょう。この白い世界は、北にどこまでも続いている様に思えました。
ビュウはまっすぐ北を進み続けます。どこまでも凍りついて、どこまでも白くて寂しい場所です。この世界が世界中に広がったとしたら、どんなに悲しい世界になるでしょう。
(ここは、なんだか嫌だなあ)
北へと進む足を止めそうになるビュウですが、氷の精霊に言われた事を思い出し、前へと進み続けます。
諦めず北へ進み続けると、可笑しな事が起こりました。白い風景に、他の色が混じり始めたのです。
土の色でした。足を進める毎にその色は多くなって行き、草地の色も混じり始めます。降る雪は少量になって行き、寒さもそれ程では無くなります。
(温かくなって来てる?)
北へと向かっているのに、ビュウの周りはどんどん温かくなって行きます。ついには雪が溶け、白の景色よりもそれ以外の景色が多くなりました。
ビュウが北を目指し続けた結果、北極点を抜け、いつのまにか南を目指していたのです。氷の精霊がさらに北を目指す様に言ったのは、南へ向かう様にと言う事でしょうか。
彩り豊かな景色が広がって行く中、ビュウは少し不安になりました。
(やっぱり、冬の冷たさより、こう言う温かい方がみんな喜ぶんだろうなあ)
今まで寂しかった景色が、美しい物に変わって行く程、自分は本当に必要とされて居るのだろうかと不安に思ってしまいます。
あんな寂しい景色しか作れないなら、自分が居る意味とはなんだろう。
『あれ? もしかしてあなたは冬の精霊さんですか?』
落ち込んだビュウが俯いて歩いていると、頭の上から誰かが話し掛けてきました。ビュウはそちらを振り向きます。
『ご、ごめんなさい! 春が来るのはもう少し先でしたか? でもわたし、そろそろ春の季節かなあって思って来ちゃったんです』
ビュウに話し掛けてきたのは春の精霊の女の子でした。春の精霊は、ビュウの仕事を奪ってしまったと思ったらしく、ぺこぺこと頭を下げています。
「あ、そんなに謝る事はないって。僕はここの冬の精霊じゃあ無いんだからさ」
リュンの担当は、ずっと南に向かった場所です。それとも、もっと北に向かった方が近いのかもしれません。
『あれ? それじゃあ、ここの冬の精霊さんはどこに?』
そんな事、ビュウは知りません。この場所には初めて来たのですから。
「僕は一度も見た事は無いけど……」
氷の精霊に会って以来、他の精霊に会ったのは、これが初めてでした。
『良かったあ。それじゃあ、やっぱりわたしの仕事の番なんですね』
そう言って、笑いながら春風を吹かせる春の精霊。ビュウの北風よりずっと温かくて、優しい風です。きっと、みんなが喜ぶ風でもあるのでしょう。
「あの、ちょっと聞いても良い?」
春の精霊は、いったい冬の事をどう思っているのか。そんな事を聞いてみました。
『冬ですか? とっても良い季節だと思います!』
ガッツポーズをして、元気よく返答する春の精霊。ビュウにとってはとても意外な言葉です。冬が良い季節なんて言葉を聞いたのは、これが初めてでしたから。
『冬はお休みの季節なんです。色んな生き物が、体を休めてゆっくりする季節。わたしも、冬が無ければ疲れてバテちゃいますよ』
春も夏も秋も、みんな元気に走り回る季節です。そうやって動き続ければ、その内疲れて倒れてしまう。春の精霊はそう言います。
『だけど冬だけは、みんなを休ませて上げられる季節じゃないですか。だから良い季節なんです』
ビュウの思ってもみなかった意見でした。冬なんて、みんな元気が無く嫌われている季節だとばかり思っていましたから。
「僕はずっと、他の季節は喜ばれるけど、冬は嫌われているとばかり思っていたんだ」
だから、せめて少しくらいは喜んでもらえる事をしたいと思って、色んな精霊に相談し続けたのです。
『どうしてそう言う事を言うんですか? 冬の精霊さんは、そのままでみんなを元気にして上げているじゃないですか』
冬に休ませて、次の活力にする。そう言った役割もあるのかと、ビュウは初めて気が付いたのです。
「そうだよね。一つの季節だけで考えちゃあ駄目なんだ。僕の前にも後にも、違う季節があって、そのために僕が居て……」
他の季節もきっと同じです。みんなが寒い冬を過ごす事が出来るのは、きっと他の季節があるからなのです。そうやって、お互いがお互いの季節のために働いている。
「ありがとう、春の精霊さん。僕、もっと色んな季節を見てくるよ」
そう言って、ビュウはさらに北へと進みます。もう北の頂点を過ぎたのですから、南と言った方が良いでしょうか。とにかくビュウは、まっすぐ前へと進み続けました
春の次には、ビュウが苦手な熱い夏の精霊に会い、その暑さは好かれたり嫌われたりしている事を知り、そして生き物の原動力となっている事を知ります。夏の次には秋の精霊です。秋は春と似ていますが、多くの実りを周りに与えています。春が始まりなら、秋は答えでしょうか。これまでの季節で培った物が、この季節に結果を出してくれるのです。
そうしてとうとう冬の季節。これまでの季節を走り抜けた生き物たちに、冬は休み時間を与えています。
ビュウが今まで見ていた冬の景色とそう変わらない物でしたが、ビュウ自身が見ている物は大きく変わっていました。
(みんなには好かれないし、褒められもしないけど、僕らが居るおかげで次の季節が来て、楽しむ事が出来る。なら、僕らが仕事をする意味は確かにあるんだ)
冬は籠って体を休める季節。それを無駄に喜ばれたりすれば、せっかくの休みが台無しになるでしょう。だから、別に嫌われたって構わない。そう考えられる様にビュウは成っていたのです。
(元の場所に戻ろう。きっと、これまでとは違う思いを持って、仕事が出来そうな気がする)
家で不貞腐れている父に、これまでの旅を教えてあげるのも良いかもしれません。父がどう思うかはわかりませんが、北風にだって、ちゃんとその意味があるんだと言う事を話せる気がするビュウでした。