聖手のマッサージ師3期1-12話
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『癒しの手、貴族の心』 第3期
~未亡人サロンのマッサージ師~
アニメ第3期 全24話 完全台本 Vol.1(第1話〜第6話)
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■ 第3期 世界観・背景
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2期から約一年後。
ライアン・ソルベール(23歳)は分院の施術師長として活躍しながら、
本院サロン・フルールにも毎週通い続けている。
アデライドとは「春の花屋」の約束を果たし、
ゆっくりと、でも確かに距離が縮まり続けている。
そこへ今期、また新たな6人がサロン・フルールへ新規登録。
今回は特に若い方々が多く——
夫を早くに亡くし、まだ悲しみの整理もつかないまま、
それでも前を向こうとしている若い未亡人たちが中心となる。
3期はこれまでより「若さゆえの不器用さ」と「等身大の悲しみ」が色濃く描かれる。
ライアんは施術師長として2年間の経験を持ちながらも、
若いヒロインたちの心の重さに、改めて向き合う。
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■ 主人公(継続)
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◆ ライアン・ソルベール(23歳)
本院・分院の施術師長。天然おっちょこちょいは健在。
アデライドとの関係はゆっくりと深まり続けている。
後輩の施術師も一人増え、少しだけ「先輩」らしさが出てきた。
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■ 新ヒロイン6人プロフィール
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◆ 新ヒロイン① フローラ・デュボワ伯爵夫人(19歳)
外見:淡い栗色のくせっ毛ボブ、茶色い瞳。ふんわりした雰囲気。
性格:天真爛漫でよく笑うが、実は誰よりも夫のことを思い続けている。
感情が顔に全部出るタイプで、嬉しい時も悲しい時も隠せない。
結婚三ヶ月で夫が戦死。「もっと一緒にいたかった」という気持ちが消えない。
口癖:「えっ!?そうなの!?(驚き過多)」
◆ 新ヒロイン② アンナ・ルソー男爵夫人(18歳)
外見:ショートカットの黒髪、黒い瞳。凛々しくはっきりした顔立ち。
性格:強がりで負けず嫌い。泣くことを「弱さ」と思っていて、頑として泣かない。
でも一人の時間に夫の形見をぎゅっと握っている。
結婚二ヶ月で夫が病死。「弱い自分を見せたくない」という意地が強い。
口癖:「泣いてない! 目にゴミが入っただけ!」
◆ 新ヒロイン③ セリーヌ・マルタン子爵夫人(21歳)
外見:ウェーブがかった赤みがかった茶髪、緑の瞳。落ち着いた美人。
性格:本をよく読む知的な女性。でも頭で考えすぎて行動できないことが多い。
「理屈では分かるのに、気持ちがついてこない」というのが悩み。
結婚一年で夫が事故死。感情を論理で説明しようとするが、うまくいかない。
口癖:「論理的に考えると……でも、どうしてか……(止まる)」
◆ 新ヒロイン④ リズ・ベルナール侯爵夫人(20歳)
外見:サラサラのプラチナブロンド、青い瞳。上品で繊細な美貌。
性格:完璧なお嬢様育ちで何でも「正しくやらなければ」という強迫観念がある。
失敗を極度に恐れ、挑戦を避けがち。でも内心は好奇心旺盛。
新婚一週間で夫が急死(心臓発作)。悲しむ「正しい方法」が分からなくて混乱している。
口癖:「正しいやり方を……教えてもらえますか?(不安そうに)」
◆ 新ヒロイン⑤ ミレーヌ・フォンテーヌ公爵夫人(22歳)
外見:ゆるいウェーブのオレンジがかった金髪、蜂蜜色の瞳。健康的な明るさ。
性格:社交的でにぎやかだが、他人の目を気にしすぎる。
「どう見られているか」が常に気になって、本音を言えない。
結婚半年で夫が遠征中に病死。「ちゃんと悲しめているか」を他人に確認したがる。
口癖:「私、変じゃないですか?(他人の評価を求める)」
◆ 新ヒロイン⑥ ジュリエット・クロワ男爵夫人(18歳)
外見:ふわふわの金髪、大きな紫の瞳。どこか儚げで、でも芯がある。
性格:口数が少なく人見知りだが、信頼した相手には本音を全部話す。
音楽が好きで、ピアノを弾くことが唯一の感情表現の出口になっている。
結婚式の翌日に夫が急病で倒れ、一週間後に亡くなった。
「夫婦だった時間がほぼなかった」という虚無感を抱えている。
口癖:「……(弾く)(ピアノで感情を表現する)」
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■ 継続サブキャラ
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◆ ソランジュ院長(52歳) 変わらず穏やかな柱
◆ ギャスパール(27歳) クレールと交際中、少し丸くなってきた
◆ リーゼ(20歳) 今期も記録を続ける
◆ クレール(27歳) たまにサロンに顔を出す
◆ 後輩施術師・レオン(19歳)新登場。ライアんを慕う真面目な新人
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■ 1期・2期ヒロイン 3期開始時点の近況
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アデライド:ライアんとの「春の花屋」が年中行事になっている。
セレスティア:相変わらず施術中に寝る。でも寝顔が穏やかになった。
イザベル:剣術教室が繁盛中。弟子が4人に。
エルミーヌ:サロンで普通に喋れるようになった(大成長)。
クロエ:「まだ計算中」を続けている。でも最近、笑顔が増えた。
レティシア:カミーユの「お姉さん」ポジションが定着。
ヴィオレット:詩集第五弾が出版された。
ソフィー:市場を制覇し、今は近隣の街の市場を攻略中。
マドレーヌ:整理がかなりついてきた。穏やかさがさらに増した。
アンジェリカ:ノート第六冊目。
エヴリン:音楽堂の中ホールでコンサートができるまでに成長。
フランシーヌ:雷の日に自分から廊下に来なくなった(大成長)。
テレーズ:予言的中率が少し上がった(本人談・検証中)。
ナタリー:差し入れ三年継続中。
オリアンヌ:採集エリアを王都近郊の山まで拡大。もちろんライアんを誘う。
カミーユ:貴族協会でスピーチができるようになった。声はたまに震えるが。
リリアン:一人で現実の街を歩けるようになった。
ベアトリス:スープのレパートリーが五種類に。
マリアンヌ:月四回、自分のために花を買う。
ロレーヌ:笑えない夜があっても、朝には自分で立ち上がれるようになった。
エレオノール:個展が年二回になった。声で話す言葉が少しずつ増えた。
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第 1 話(第3期)
「また春が来た、また始まる」
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【オープニング映像】
春の王都。白亜のサロン・フルール。
看板の下に「本院・訪問施術・分院連携」の文字が並んでいる。
ライアんが廊下を歩いてくる——去年より少しだけ落ち着いた足取りで。
でも曲がり角で。
(ドン!!)
ナレーション(ライアン):
「3年目が、始まりました」
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【シーン①:院長室 朝 (新任の紹介と後輩・レオン登場)】
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ソランジュ院長が二人を前に座らせている。
ライアんと、もう一人——緊張した顔の若い男性。
ソランジュ:「ライアン、こちらは今日から本院に配属となる新人施術師の
レオン・デュプレです」
レオン:(びしっと姿勢を正して)
「レオン・デュプレと申します! よろしくお願いします!!
ライアン先輩の施術を学ぶために参りました!!」
ライアン:(少し驚いて)「先輩……あ、はい、よろしくお願いします」
ソランジュ:「それから今日から新しい担当者が6名加わります。
今回は特に若い方々で——皆さんまだ20代前半です。
ライアン、丁寧に向き合ってください」
ライアン:「はい。精一杯やります」
レオン:(ライアんを見て、キラキラした目で)
「先輩! どうやったら先輩みたいな施術師になれますか!?」
ライアン:(少し困って)
「えっと……ただここにいるだけで、気づいたらみなさんが教えてくれました」
レオン:(メモしながら)「「ただいるだけ」……名言だ……!!(震える手で記録)」
ライアン:(苦笑いして)「名言じゃないと思いますが……」
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【シーン②:廊下 (1期・2期ヒロインとの再会)】
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廊下でナタリーが箱を持って待っていた。
ナタリー:「ライアンさん! 3年目おめでとうクッキー!!」
ライアン:「ありがとうございます! 相変わらず早い!!」
イザベル:「相棒! 今年もよろしく!」
ロレーヌ:(元気よく)「ライアンさーん!!」
ベアトリス:(廊下の端で)「……来たか(無表情だが目が穏やか)」
そこへ——見慣れない顔が廊下の向こうから現れる。
淡い栗色のくせっ毛。フローラ・デュボワ伯爵夫人。
フローラ:(ライアんを見て、ぱっと目が輝いて)
「あ!! あなたが担当の施術師さんですか!?」
ライアン:(少し驚いて)
「は、はい! ライアン・ソルベールと——」
フローラ:(ぐいっと近づいて)
「若い!! え!? 施術師長ってもっとおじさんかと思ってた!!
えっ!? いくつですか!?」
ライアン:「に、二十三です……」
フローラ:「え!? 五つしか違わない!?(驚き過多)」
ライアン:(苦笑いして)「そうですね……」
フローラ:(ぱっと笑顔になって)
「よろしくお願いします!!
私、フローラ・デュボワといいます!!(元気いっぱい)」
イザベル:(後ろから小声で)「……お前と同じ雰囲気だな、相棒(ソフィーのことを指して)」
ソフィー:(後ろから)「わ! 元気な人来た!!」
フローラ:「わ!! 元気な人いた!!」
二人、即座に意気投合。
ライアン:(苦笑いしながら、去年と全く同じ光景に)「……また……」
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【シーン③:施術室 (フローラとの初施術)】
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施術室。フローラが施術台に横になっている。
ライアんが施術を始めると——
フローラ:(元気よく)
「これって話してていいですか!? 沈黙苦手で!!」
ライアン:(苦笑いして)
「どうぞ。……でも、途中で眠くなっても大丈夫ですよ」
フローラ:「絶対眠らないです!!(宣言)」
ライアン:(施術しながら)
「……肩がずいぶん張っていますね」
フローラ:(少し間があって)「……そうですか?」
ライアン:「ずっとこの状態ですか?」
フローラ:(元気な声のまま、でも少しだけ揺れて)
「……うーん、最近ちょっと眠れなくて。
夫のことを考えると……止まらなくなるから」
ライアん、手を止めずに聴く。
フローラ:「三ヶ月しか一緒にいられなかったから……
もっと話したかったこと、したかったことが多すぎて。
考えると止まらなくて……だから昼間はなるべく考えないようにして……
でも夜になると全部出てきて……」
ライアン:(静かに施術しながら)
「……考えることを止めなくていいですよ」
フローラ:(少し驚いて)「止めなくていい?」
ライアン:「止めようとすると、余計止まらなくなることがあります。
考えたい時は考えて……疲れたら眠れる体にしていきましょう」
フローラ:(しばらく沈黙して——じわっと目が潤んで)
「……そっか……止めなくていいんだ」(小声で)
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【シーン④:待合室 (アンナとの出会い)】
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待合室。ライアんが入ると——
壁際の椅子に黒髪のショートカットの女性が座っている。
腕を組んで、正面を向いて、きりっとした顔。
アンナ・ルソー男爵夫人。
ライアン:(近づいて)「アンナ・ルソー夫人ですか? ライアン・ソルベールと申します」
アンナ:(じろっとライアんを見て)「……若いな」
ライアン:「よく言われます」
アンナ:(立ち上がって)「男性施術師というのも、最初は抵抗があった。
でも……院長が「ここに来なさい」と言うから来た」
ライアン:「はい。できる限り丁寧にやります」
アンナ:(少し間があって)「一つ言っておく。
私は泣かない。どんなことを言われても泣かない。
それだけ頭に入れておいてくれ」
ライアン:(きょとんとして)「……泣かなくていいですよ。泣くのが目的の場所じゃないので」
アンナ:(少し驚いて)「……そうなのか」
ライアン:「はい。ただ体を楽にする場所です」
アンナ:(少し間があって、かすかに表情が和らいで)「……そうか。なら、いい」
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【シーン⑤:ラッキースケベ① 廊下の三つ巴】
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その日の午後。
ライアんが廊下を歩いていると——前から勢いよくフローラが走ってくる。
フローラ:「ライアンさん! さっきの話の続き——」
後ろからアンナが早歩きで来ていて——
フローラが急に止まったせいでアンナがフローラの背中にぶつかって——
フローラがライアんに突進する形に。
ドン!!
フローラがライアんの胸元に顔を埋めた状態になる。
フローラ:(顔を上げて、真っ赤になって)「えっ!?えっ!?えっ!?(驚き過多)」
アンナ:(フローラの背中に当たったまま、固まって)「……(真っ赤)」
ライアン:(両手でフローラを支えながら、動けなくて)「……大丈夫ですか……二人とも……」
アンナ:(体を起こしながら、きっぱりと)
「……私は泣いていないし、転んでもいない。問題ない(でも顔が赤い)」
フローラ:(離れながら、まだ真っ赤で)
「えっ!?これって普通じゃないですよね!?えっ!?(混乱)」
ライアン:(苦笑いしながら)
「……普通ではないですが、サロンでは……たまに……」
後ろからレオンが来て一部始終を見て——
レオン:(メモしながら)「……先輩……これが噂の……!!(震える手で記録)」
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【シーン⑥:夕方 中庭 (アデライドとの春の再会)】
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夕方の中庭。白薔薇が今年も咲き始めている。
アデライドが先に来ていて、薔薇を見ている。
ライアん、近づく。
アデライド:(振り返って、静かに微笑んで)
「……また春が来ましたね」
ライアン:(隣に立って)
「はい。今年も咲きました」
アデライド:(薔薇を見ながら)
「……新しい方々が来たそうですね」
ライアン:「はい。若い方々ばかりで……」
アデライド:(少し間があって)「若い方々の悲しみは……また、種類が違うから。
丁寧にやりなさい」(お姉さんのような口調、でも目は温かい)
ライアン:(少し笑って)「はい。夫人みたいに言いますね」
アデライド:(少し目を丸くして)「……失礼ね」(でも口元が緩んでいる)
ライアン:(笑いながら)「今年も来週、花屋に行きますか?」
アデライド:(少し間があって、静かに)「……行きます。約束通り」
夕日が中庭の薔薇を染める。
3年目の春が、静かに始まっていた。
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「3年目が始まりました。
レオンくんが来て、初めて「先輩」になりました。
新しい6人は……また全員、それぞれで。
フローラさんの「止めなくていいんだ」という声が、
今日はずっと頭の中にあります。
アデライド夫人との中庭は、今年も変わらずきれいでした。
……今年も、全力でいきます」
次回予告:
「第2話! セリーヌ夫人の「論理で分からない気持ち」に向き合う施術。
リズ夫人が「正しい悲しみ方」を探して迷子になる。
『頭と心が、一致しない日』!」
【第3期 第1話 了】
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第 2 話(第3期)
「頭と心が、一致しない日」
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【シーン①:施術室 (セリーヌとの初施術)】
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施術室。セリーヌ・マルタン子爵夫人が横になっている。
落ち着いた美人で、開口一番——
セリーヌ:(静かに)
「ライアンさん、一つ確認させてください。
施術というのは、肉体的な疲労を回復するためのものですよね?」
ライアン:「それも含みますが——心の状態も体に影響しますから、両方を見ます」
セリーヌ:「……なるほど。
では……心の話もしていいですか?」
ライアン:「もちろんです」
セリーヌ:(施術が始まると、少し考えてから)
「……論理的に考えると、夫の死は不可抗力で、私にできることは何もなくて、
悲しむことは正常な感情反応で——わかっているんです。
でも……どうしてか、体が言うことを聞かなくて。
朝起きられない日があったり、食欲がなかったり。
論理では「それも正常」と分かるのに……どうにかしようとすると、動けない」
ライアン:(施術しながら)
「……頭で分かっていることと、体が動くことは、別のことですよ」
セリーヌ:(少し驚いて)「そうなんですか?」
ライアン:「はい。体はもう少し、時間がかかります。
でも——夫人の体は今、ちゃんと正直に悲しんでいます。
それは……頭が「正常」と言っているのと、同じことですよ」
セリーヌ:(少し間があって、静かに)
「……論理と体が、ようやく一致した感じがしました」
(長い沈黙の後、ほうっと息をついて体の力が少し抜ける)
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【シーン②:図書室 (セリーヌとの読書会)】
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施術後、セリーヌが図書室にいる。
ライアんが通りかかると——
セリーヌ:(本を読みながら)「ライアンさん。少し聞いてもいいですか?」
ライアン:(入って隣の椅子に座る)「どうぞ」
セリーヌ:(本から目を上げて)
「夫が好きだった本があって……読み返しているんですが、
途中で止まってしまう。夫が笑いながら話してくれた場面が出てくると——」
ライアン:「……止まりますか」
セリーヌ:「そこで論理が止まるんです。
感情が先に出てきて——何も考えられなくなる。
それが不思議で、怖くて」
ライアン:(穏やかに)
「……感情が論理より先に出てくる場所が、一番大切な場所なんだと思いますよ」
セリーヌ:(少し目が潤んで)「大切な場所……」
ライアン:「夫さんと共有した場所は——論理じゃなく、心で覚えているから」
セリーヌ:(しばらく本を見つめて、また読み始める。今度は途中で止まっても、続きを読んだ)
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【シーン③:施術室 (リズとの初施術)】
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リズ・ベルナール侯爵夫人が施術室に入室。
プラチナブロンド、上品な佇まい。でも目が少し不安そう。
リズ:(座りながら)
「あの……施術を受ける時の、正しい作法を教えていただけますか?」
ライアン:(少し驚いて)「作法……ですか?」
リズ:「はい。横になる向きとか、服装とか、話していいのかどうかとか……
正しいやり方がわからないと、不安で」
ライアン:(穏やかに)
「施術に正しい作法はないですよ。楽な姿勢で、話したければ話して、
眠くなったら眠っていいです」
リズ:(ぽかんとして)「……正しいやり方が、ない?」
ライアン:「はい。夫人が一番楽な形でいいです」
リズ:(少し間があって、台に横になりながら)
「……夫が亡くなった時も……正しい悲しみ方が分からなくて。
どれくらい泣くのが正しいのか、いつ日常に戻るのが正しいのか——
全部分からなくて、すごく混乱しました」
ライアン:(施術しながら)
「悲しみにも正しい形はないですよ」
リズ:(少し驚いて)「ないんですか?」
ライアン:「はい。たくさん泣いても、泣けなくても、どちらも正しいです。
夫人の気持ちが——それが答えです」
リズ:(長い沈黙。じわっと目が潤んで)
「……正しくなくていいんですね……(初めて知ったように)」
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【シーン④:ラッキースケベ② 本棚の谷間で】
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図書室。セリーヌが上の棚の本を取ろうとして、脚立に乗る。
ライアんが通りかかると——
セリーヌ:「ライアンさん、あの本を——」(脚立が揺れる)
ライアン:(慌てて脚立を支えに行くが——)
脚立が傾いてセリーヌが落ちかかり、ライアんが受け止めようとして——
本棚の間の細い通路で、セリーヌをライアんが支えた状態になる。
至近距離。
セリーヌ:(ライアんの目の前で、いつもの論理的な顔が完全に崩れて)
「……論理的に考えると……これは、とても……近い……(顔が赤い)」
ライアン:(同じく赤くなって)「……はい、近いです……一旦、降りますか……」
セリーヌ:「……そうですね……論理的に……そうですね……(降りながらも顔が赤い)」
レオン:(入口からこの光景を見て、即座にメモして——震えながら)
「……先輩の技術は……図書室でも……!!(記録)」
ライアン:「技術じゃないです!!」
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【シーン⑤:夕方 中庭 (1期ヒロインとの日常)】
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中庭でエルミーヌとカミーユが新しいヒロインたちと話しているのを発見。
エルミーヌ:(リズに、ぽそっと)「……最初は、私もここのやり方がわからなくて。
でも……気づいたら、居場所になっていました」
リズ:(少し驚いて)「そうなんですか?」
カミーユ:(背筋を伸ばして、でも穏やかに)
「正しいやり方じゃなくても、来続けることが大事だと思います。
私も、最初は緊張で体が固まっていたから(苦笑い)」
リズ:(じわっとして)「……来続けること……」
ライアん、少し離れた場所からその光景を見て——
胸が温かくなる。
ライアン:(心の中:(1期・2期のみんなが……新しいみんなを迎えてくれている))
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「セリーヌ夫人は頭で考えすぎて、体が追いつかない。
リズ夫人は正しい形を探しすぎて、自分の気持ちが見えなくなっている。
二人とも、若いから——というより、真剣だから、なのかもしれない。
エルミーヌ夫人とカミーユ夫人が新しい方々に話しかけていた。
2年間の積み重ねが、こういう形で生きるんだと思いました」
次回予告:
「第3話! ミレーヌ夫人の「他人の目」が炸裂する施術!
そしてサロンにピアノの音が響く——ジュリエット夫人の言葉なき告白。
『評価と、音の言葉』!」
【第3期 第2話 了】
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第 3 話(第3期)
「評価と、音の言葉」
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【シーン①:施術室 (ミレーヌとの初施術)】
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施術室。ミレーヌ・フォンテーヌ公爵夫人が施術台に横になっている。
オレンジがかった金髪、蜂蜜色の瞳。明るい雰囲気だが——
入室してからライアんの顔色を何度も確認している。
ミレーヌ:(施術が始まってすぐ)「あの……私、変じゃないですか?」
ライアン:「え? 何が、ですか?」
ミレーヌ:「施術の受け方、変じゃないですか? 横になる向きとか、表情とか……
他の方はどうしていますか?」
ライアン:(少し考えて)「みなさん、それぞれです」
ミレーヌ:「そうですか……あの、笑っていた方がいいですか? 暗い顔の方がいいですか?」
ライアン:(きょとんとして)「どちらでもいいですよ。今の夫人の顔でいいです」
ミレーヌ:(少し間があって)「……私、悲しんでいますか? ちゃんと悲しめていますか?
周りの人に「もっと泣いていいのよ」と言われるたびに、
自分の悲しみ方が足りないのかと思って……」
ライアン:(施術しながら、穏やかに)
「悲しみに「足りない」はないですよ。夫人の悲しみは、夫人のものですから」
ミレーヌ:(少し止まって)「……私のもの?」
ライアン:「はい。誰かに正しいと言ってもらう必要はないです」
ミレーヌ:(長い沈黙。それからぽつりと)
「……ずっと……誰かに「それでいい」と言ってもらいたかったのかもしれない」
ライアン:(穏やかに)「……それでいいですよ」
ミレーヌ:(目が潤んで、でも笑って)「……ありがとうございます(小声)」
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【シーン②:音楽室 (ジュリエットとの出会い)】
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サロンには小さな音楽室がある。
ライアんが廊下を通ると——ピアノの音が聞こえてくる。
扉を少し開けると——ふわふわの金髪の小柄な女性がピアノを弾いている。
ジュリエット・クロワ男爵夫人。
曲は——最初は静かで、次第に揺れていく。
悲しいとも、懐かしいとも言い難い旋律。
ライアん、扉の前で立ち止まって聴いている。
曲が終わる。
ジュリエット:(気配を感じて振り返る。ライアんと目が合う)
しばしの沈黙。
ライアン:(静かに)「……きれいな曲でした」
ジュリエット:(また鍵盤を見て——今度は短い、柔らかな和音を一つだけ弾く)
ライアン:(その音を聴いて)「……ありがとう、ということですか?」
ジュリエット:(少し驚いた顔になって——こくんとうなずく)
ライアン:(穏やかに微笑んで)「……初めまして。ライアン・ソルベールです。
担当させていただきます」
ジュリエット:(また鍵盤を見て——穏やかな短い旋律を弾く)
ライアン:「……よろしくお願いします、ということですか?」
ジュリエット:(こくんとうなずく。かすかに口元が緩んで)
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【シーン③:感動シーン ジュリエットの施術と音楽】
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ジュリエットの初施術。
口数がない。でも施術前に——小さなメモを渡してくる。
「言葉が出ない時、ピアノで話します。迷惑ですか?」
ライアン:(読んで、首を横に振って)「迷惑じゃないです。でも……施術中はピアノが弾けないので、
言葉じゃなくて、体で聴かせてください。
ほぐれた場所、楽になった場所——全部、体が教えてくれますから」
ジュリエット:(少し驚いて、それからゆっくりうなずく)
施術が進む中で——
ジュリエットの体が少しずつ緩んでいくのが、ライアんの手に伝わる。
ライアン:(静かに)「……夫さんと、どれくらい一緒にいましたか?」
ジュリエット:(少し間があって、指を一本立てる——一週間)
ライアン:「……一週間」
ジュリエット:(うなずく。目が潤んでいる)
ライアン:(施術しながら)
「……一週間でも、ちゃんと夫婦でした。
時間の長さより……一緒にいたという事実の方が、大切だと思います」
ジュリエット:(しばらく沈黙して——静かに、声を出さずに涙が流れる)
ライアん、手を止めずに、ただそこにいる。
施術が終わった後、ジュリエットが音楽室へ行って——
今日初めて、穏やかな旋律を弾いた。
〔BGM:ピアノのソロ、静かに〕
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【シーン④:ラッキースケベ③ 音楽室での珍事】
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翌日。音楽室でジュリエットがピアノを弾いている。
ライアんが施術後の片付けを持って音楽室を通ろうとして——
扉の蝶番がきしんで、大きな音を立てる。
ジュリエット:(びくっとして鍵盤を叩いてしまい、不協和音が響く)
ライアン:(慌てて)「すみません!!」
ジュリエット:(びっくりした顔のまま、ライアんを見て——だんだんおかしくなって、
肩が小さく揺れ始める)
ライアン:(ジュリエットの様子を見て)「……笑っていますか?」
ジュリエット:(うなずきながら、声は出さないけど、確かに笑っている)
ライアン:(ほっとして、でも恥ずかしくて)
「……よかった。笑えて。でも、びっくりさせてしまってすみません」
ジュリエット:(鍵盤で、おどけた明るい短いメロディを弾く)
ライアン:(聴いて)「……大丈夫、ということですか?」
ジュリエット:(うなずいて、また小さく笑っている)
ライアん、その笑顔を見て——胸が温かくなる。
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【シーン⑤:ミレーヌと1期ヒロインの交流】
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待合室でミレーヌがロレーヌと話している。
ミレーヌ:「……私、いつも誰かに「それでいい」って言ってほしいんですよね。
自分でジャッジできなくて」
ロレーヌ:(少し考えて、笑いながら)「わかるよ。私も最初そうだった。
でも……ライアんさんに「それでいい」って言ってもらったら、
だんだん自分でも言えるようになってきた気がする」
ミレーヌ:「自分で……?」
ロレーヌ:「うん。最終的には自分が一番、自分のことわかってるから。
……ま、時間かかるけどね(笑)」
ミレーヌ:(じわっとして)「……時間かかっていい、んですかね」
ロレーヌ:「かかって当然でしょ! 私も2年かかってるし!!(明るく)」
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「ジュリエット夫人はピアノで話す。
最初は言葉が出なくても——音ならちゃんと届く。
ミレーヌ夫人は「それでいい」を誰かから欲しがっている。
でも……ロレーヌ夫人が「自分で言えるようになる」と言ってくれた。
3期はヒロインたちが、ヒロインたちを助けることが増えてきた。
2年間の積み重ねが、こういう形で咲くんだと思います」
次回予告:
「第4話! 新旧27人が初めて全員集合する大茶会!
アンナ夫人が誰かに心を開く瞬間——その相手は誰!?
フローラとソフィーとロレーヌの「元気トリオ」が大暴走!
『27人分の春』!」
【第3期 第3話 了】
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第 4 話(第3期)
「27人分の春」
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【シーン①:大広間 合同茶会 (27人全員集合)】
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春の大広間。ソランジュ院長主催の合同茶会。
1期15人、2期6人、3期6人——27人全員が揃う。
ライアんが入室すると——27人分の視線が一斉に向く。
ライアン:(3年目の余裕で……少しだけ……でもやっぱり圧倒されて)
「……(こんにちは、と言おうとして)……こ……(固まる)」
ナタリー:(最速で)「差し入れです!!」
フローラ:(次いで)「えっ!?これ全員ライアンさんの担当!?(驚き過多)」
ロレーヌ:「全員!!(元気よく)」
フローラ:「えっ!?えっ!?えっ!?(驚き過多、限界)」
ソフィー:「すごいよね!!(なぜか誇らしそう)」
アデライドが端の席から静かにライアんを見ている。
ライアんと目が合うと——かすかにうなずく。
ライアん、少し落ち着いて笑顔になる。
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【シーン②:茶会 各所での交流】
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〔元気トリオ:フローラ+ソフィー+ロレーヌ〕
フローラ:「市場制覇って何!?(驚き)」
ソフィー:「やった!!」
ロレーヌ:「伝説だよ!!」
→ 三人でソフィーの武勇伝を語り合って盛り上がる。
フローラ:「私も行きたい!! 連れてって!!」
ソフィー:「行こう!!」
ロレーヌ:「行く!!(即答)」
〔アンナ+イザベル〕
アンナ:(イザベルを見て)「……剣術をやっているのか?」
イザベル:「ああ。教室もやってる」
アンナ:(少し目が輝いて)「……私も少し、やっていた。夫に習って」
イザベル:(ぴしっと向き直って)「なら今度来い。一緒にやろう」
アンナ:(驚いて——少しだけ、心の固い部分が緩んで)「……いいのか?」
イザベル:「当然だろ(にやっとして)」
〔セリーヌ+ヴィオレット+マドレーヌ〕
セリーヌ:(ヴィオレットの詩集を見せてもらっていて)「……これ、論理を超えた言葉ですね」
ヴィオレット:(静かに)「詩は、論理の届かない場所に行くために書くので」
セリーヌ:(少し驚いて)「……そうか。論理の外がある……」
マドレーヌ:(穏やかに)「感情が論理を超えることが、人間らしさかもしれないわね」
〔ジュリエット+エヴリン〕
二人が端の席でお互いの音楽の話をしている(ジュリエットはメモで返答)。
エヴリン:「ピアノで話すの、素敵だと思います」
ジュリエット:(メモに書いて渡す)「歌で話すのも、素敵だと思います」
エヴリン:(受け取って、目が潤んで)「……ありがとうございます」
〔ミレーヌ+クロエ〕
ミレーヌ:「……私、変じゃないですか?(やっぱり聞く)」
クロエ:(扇で笑いながら)「変かどうかは私が決めることじゃないわよ。あなたが決めなさい」
ミレーヌ:(少し驚いて)「私が……決める?」
クロエ:「そう。あなたの評価の基準を、他人に渡しすぎてるわ。取り返しなさい」
〔リズ+カミーユ〕
リズ:「正しいやり方が……いつも気になって」
カミーユ:(少し笑って)「わかります。私も最初は正しい貴族の振る舞いが絶対だと思ってた。
でも……震えながらでもできることが、一番正しいんだって、今は思います(背筋を伸ばして)」
リズ:(カミーユの背筋を見て)「……そうかもしれない(少し背筋が伸びる)」
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【シーン③:ラッキースケベ④ 27人茶会の大混乱】
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茶会の中盤。
フローラが「えっ!えっ!」と驚きながら動き回っていたら——
ナタリーのケーキが乗ったテーブルの角に激突。
フローラ:「えっ!?(ケーキが揺れる)」
ライアん:(反射的に飛んでケーキを受け止めに行くが)
元気トリオの三人(フローラ、ソフィー、ロレーヌ)が
全員同じ方向に動いてライアんに収束してきて——
ドドドン!!
ライアんを中心に三人が前後左右からぶつかってきて、
ケーキはナタリーが「ケーキ!!!(三回目)」と叫んで守る。
ライアん、四方から支えられた状態で宙に浮く寸前。
アンナ:(遠くから見て、腕を組んで)「……(目を細めながら、でも口元が微かに緩いで)……」
セリーヌ:(論理的に)「……この状況は……論理的に言えば、ライアンさんが人気ということでは……(赤くなる)」
ジュリエット:(端で笑いを堪えている——肩が揺れている)
リーゼ:(記録しながら)「……27人!! 過去最多人数!!(震え)」
レオン:(記録しながら)「……先輩の引力は……物理法則を超えている……(震え)」
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【シーン④:茶会後 アデライドとの一コマ】
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片付けの後。アデライドがいつもの窓際に立っている。
アデライド:「……3年目も変わらないのね」
ライアン:(苦笑いして)「……変わらないです」
アデライド:(少し笑って)「……27人でも、あなたはあなた、か」
ライアン:「……夫人は、嫌になりませんか? 毎年、新しい方が増えて」
アデライド:(少し間があって、静かに)
「……私が最初に来た日を、覚えていますか?」
ライアン:「はい。廊下で迷子でした」
アデライド:(かすかに笑って)「……あなたが案内してくれた。
あの時の気持ちが、今の私の全部の始まりです。
……だから——新しい方が増えることは、嬉しいんです。
あの時の私と同じように、誰かが変わっていくから」
ライアン:(じわっとして)「……夫人……」
アデライド:(静かに)「……来週、花屋に行きましょう」
ライアン:(笑顔で)「はい。行きます」
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「27人が揃った春の茶会。
フローラさんとソフィー夫人とロレーヌ夫人が組んだ瞬間——
大変なことになると思っていたら、本当に大変なことになった。
でもアンナ夫人がイザベル夫人と話していたのが、嬉しかった。
アデライド夫人が「嬉しい」と言ってくれた言葉は、今夜もずっと続いています」
次回予告:
「第5話! アンナ夫人、イザベルの剣術教室に参加!
強がりの壁が、少しずつ崩れていく——。
レオンが初めて単独施術に挑戦し、盛大に失敗する。
『剣と、弱さを認める日』!」
【第3期 第4話 了】
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第 5 話(第3期)
「剣と、弱さを認める日」
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【シーン①:イザベルの剣術教室 (アンナの参加)】
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王都近郊の練習場。イザベルの剣術教室。
アンナが木剣を持って立っている。腕を組まず、しっかりと構えている。
イザベル:(アンナの構えを見て)「……なかなかいい構えだな。夫に習ったと言ったな?」
アンナ:「ああ。結婚する前から、少し習っていた。
夫が「剣を持つ女性は美しい」と言って、一緒に練習してくれて」
イザベル:(素振りを見ながら)「……夫さん、いい人だったんだな」
アンナ:(少し止まって)「……ああ(短く)」
素振りを続ける中で——
イザベル:「……なあ、アンナ。泣かないのは、意地か? それとも本当に泣けないか?」
アンナ:(一瞬だけ動きが止まって)「……意地だ(きっぱり)」
イザベル:(少し笑って)「正直だな。……私も最初はそうだった」
アンナ:(驚いて)「あなたも?」
イザベル:「ああ。武人の家だったから——泣くことが負けだと思ってた。
でも……ここに来て、泣くことが弱さじゃないって知った。
まあ……ライアンのせいなんだが(苦笑い)」
アンナ:(少し間があって、また素振りを始めながら)「……ライアンさんは、どうしたんだ?」
イザベル:「ただそこにいた。……それだけで変わった。
不思議だろ?(笑いながら)」
アンナ:(少し間があって、静かに)「……不思議、だな(小声)」
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【シーン②:施術室 (アンナとの施術・感動シーン)】
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同日の夕方。アンナの施術。
剣術の後で体が少しほぐれている。
ライアン:(施術しながら)「……今日、剣術教室に行ったんですね」
アンナ:「ああ。久しぶりに木剣を持った」
ライアン:「どうでしたか?」
アンナ:(少し間があって)「……夫を思い出した。一緒に練習した時のことを。
それが……辛くて、でも……悪くなくて」
ライアン:(施術しながら)「……悪くなかった、か」
アンナ:「ああ。思い出して辛くなることが——全部悪いことじゃないのかもしれない、と
今日初めて思った」
ライアン:(穏やかに)「……そうですよ。辛さの中に、温かさもある」
アンナ:(少し間があって。じわっと目が潤んで——でも拭こうとして——止まる)
ライアン:「……拭かなくていいですよ」
アンナ:(固まって)「……泣いていない。目に——」
ライアン:(遮らずに、施術を続けながら)「……ゴミが入っているんですよね」
アンナ:(少し驚いて——そのまま——静かに涙が一粒流れる)
ライアン:(施術しながら、ただそこにいる)
アンナ:(しばらくして、小声で)「……これは、ゴミのせいだ」
ライアン:(施術しながら)「……そうですね(優しく)」
アンナ:(またしばらくして)「……次も来る」
ライアン:(嬉しくなって)「はい。待っています」
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【シーン③:レオンの単独施術 大失敗】
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ライアんが分院に行っている間、レオンが単独でフローラの施術を担当する。
レオン:(緊張して)「フローラ夫人、よろしくお願いします!!(敬礼)」
フローラ:「えっ!? ライアンさんじゃないの!?(驚き過多)」
レオン:「本日は私、レオン・デュプレが——」
フローラ:「えっ!?若い!? えっ!?ライアンさんより若い!?」
レオン:「は、はい……十九歳です……」
フローラ:「えっ!?私より一つ下!?(驚き過多が止まらない)」
レオン:(完全にペースを乱されて)「は、はい……では施術を……」
施術が始まるが——レオンが緊張のあまり力加減を間違えて、
フローラが「ちょっと痛い!」と言ってしまい、レオンがさらに慌てて、
なぜか敬語が崩れ始めて「……あ、大丈夫!?大丈夫!?」と友達口調になる。
フローラ:(きょとんとして)「……大丈夫だよ?(受け入れた)」
レオン:(我に返って真っ赤になって)「す、すみません!!敬語!!」
フローラ:(笑いながら)「いいよ友達口調で!!私もそっちが楽!!(元気に)」
レオン:(さらに赤くなって)「……施術師として失格だ……(落ち込む)」
夕方。ライアんに全部報告するレオン。
レオン:「……先輩……私は施術師として失格でしょうか……(うなだれて)」
ライアン:(少し考えて)「……フローラ夫人、次も来ますか?」
レオン:「は、はい。「また来るね!」と言って帰られましたが……」
ライアン:(笑って)「なら大丈夫ですよ」
レオン:「え?」
ライアン:「また来てもらえるなら——それが答えです。失格じゃない」
レオン:(目を輝かせて)「……先輩……!!(メモする)」
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【シーン④:ラッキースケベ⑤ 剣術教室帰りの惨事】
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剣術教室から帰ったアンナとライアん(見学に行っていた)が
サロンの玄関で靴を脱いでいると——
フローラが「ライアンさーん!!」と廊下を走ってきて——
玄関の段差でつまずいて——
ライアんに向かって飛んでくる形に。
ライアン:(受け止めようとするが勢いが強くて——アンナに向かってよろける形に)
アンナ:(とっさに壁に手をついて三人が玄関でだんごになる)
フローラ:(顔を上げて、ライアんとアンナと至近距離で)
「えっ!?えっ!?えっ!?(驚き過多が極まる)」
アンナ:(壁に手をついたまま、真っ赤になって)「……目にゴミが……(誰も信じない)」
ライアン:(三人の状態を確認して)「……みなさん怪我はないですか……」
フローラ:「……ないけど……えっ……これって……(顔が赤い)」
アンナ:(そっと体を離して、きっぱりと)「……見なかったことにする」
レオン:(遠くから記録しながら)「……先輩は今日も……引力が……」
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「アンナ夫人が「ゴミのせいだ」と言いながら泣いた。
その一粒が、今日一番大切なものでした。
レオンくんが失敗しながらも、フローラさんにまた来てもらえた。
「また来てもらえるなら答えだ」——これ、誰かに教えてもらった言葉でした。
ギャスパールさんだったかな……」
次回予告:
「第6話! 訪問施術でジュリエット邸へ——夫との一週間の思い出が溢れる場所。
そしてミレーヌ夫人が「自分で評価する」練習を始める。
リズ夫人が初めて「正しくない行動」を意図的にとる。
『正しくない日と、音が届く場所』!」
【第3期 第5話 了】
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第 6 話(第3期)
「正しくない日と、音が届く場所」
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【シーン①:ジュリエット邸 訪問施術】
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ジュリエット邸。
通されたのは小さなピアノが置かれた居間。
壁に一枚だけ、写真ではなく肖像画が掛かっている——穏やかな目の若い男性。
ライアン:(静かに)「……夫さんですか?」
ジュリエット:(うなずいて——ピアノに近づいて、短い穏やかな旋律を弾く)
ライアン:(聴いて)「……好きでしたか? 夫さんのことが」
ジュリエット:(うなずいて、また弾く——今度は少し切なげな旋律)
ライアン:「……一週間でも、ちゃんと伝わっていましたか?」
ジュリエット:(少し間があって——今度は弾かない。メモを取り出して書く)
「わからない。伝える時間がなかったから」
ライアン:(受け取って、静かに)
「……伝える時間がなかったなら——これからの時間で、伝え続けられますよ。
夫さんへの気持ちを、ピアノで。今日みたいに」
ジュリエット:(長い沈黙。目が潤んで——ゆっくりとピアノに向かって、弾き始める)
今度の旋律は——悲しくも切なくもなく、ただ温かい音だった。
〔BGM:ピアノのソロ、部屋に静かに響く〕
ライアん、その音を聴きながら——施術の準備をしながら——
胸の中に何かが積み重なっていくのを感じていた。
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【シーン②:サロン (ミレーヌの「自分評価」練習)】
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翌日。ミレーヌがライアんに話しかけてくる。
ミレーヌ:「……昨日から、クロエさんに言われたことを試してみているんですが」
ライアン:「どんなことですか?」
ミレーヌ:「自分で「それでいい」って言う練習です。
朝起きた時に——「今日の私、それでいい」って、鏡に言ってみました」
ライアン:「……どうでしたか?」
ミレーヌ:(少し間があって)「……最初は恥ずかしかったです。
でも……三回言ったら、少し、楽になった気がして」
ライアン:(笑顔で)「それでいいですよ(本人に)」
ミレーヌ:(ぱっと顔を上げて)「えっ、今ライアンさんに言われた「それでいい」と、
自分で言った「それでいい」、どっちが嬉しいかわからなくて……」
(少し考えて)「……同じくらい、かもしれない(驚いた顔で)」
ライアン:(嬉しくなって)「それが、正解です」
ミレーヌ:(じわっとして)「……自分で言えるようになるんですね……
ロレーヌさんが言っていた通り……(小声)」
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【シーン③:リズの「正しくない行動」】
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その日の午後。
リズが廊下でソフィーと二人でいる。
ソフィーが市場の話をしていて——
ソフィー:「屋台のタコス、めちゃくちゃ美味しいんだけど——
食べながら歩くやつ! あれ絶対食べてほしい!!」
リズ:(少し考えて)「……歩きながら食べるのは……お行儀が悪いですね」
ソフィー:「でも美味しいよ!!」
リズ:(また少し考えて、思い切って)「……一度だけ、試してみてもいいですか?」
ソフィー:(目が輝いて)「行こう!!今すぐ!!」
夕方。歩きながらタコスを食べているリズとソフィー。
リズの顔が——少し赤いが、確かに笑っている。
リズ:(タコスを食べながら)「……お行儀が悪いです……(小声)」
ソフィー:「美味しい?」
リズ:(少し間があって)「……美味しいです(認めた)」
ソフィー:「それが全て!!(ガッツポーズ)」
その夜、ライアんへの報告。
リズ:「……今日、正しくないことをしました。歩きながら食べました」
ライアン:(くすっと笑って)「……どうでしたか?」
リズ:(少し赤くなって)「……美味しかったです。怖くなかったです(少し驚いた顔で)」
ライアン:「……正しくないことが、全部怖いわけじゃないんですね」
リズ:(ゆっくりと、うなずいて)「……そうかもしれない。初めて知りました」
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【シーン④:ラッキースケベ⑥ ジュリエット邸の帰り道】
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ジュリエット邸からの帰り道。
ライアんが石畳を歩いていると——後ろからジュリエットが走ってくる気配。
振り返ると——ジュリエットがライアんに何かを渡そうと駆けてきて、
石畳の段差に引っかかってよろけて——
ライアんが腕を伸ばして支えると、ジュリエットが胸元に顔を埋める形に。
しばしの沈黙。
ジュリエット:(離れて、真っ赤な顔で——メモを差し出す)
「忘れ物、渡したくて……(メモには「今日のピアノ、ありがとうございました」と書いてある)」
ライアン:(真っ赤になりながら、メモを受け取って)
「……こちらこそ、聴けてよかったです」
ジュリエット:(また顔が赤いまま、小さく——声に出して)
「……また、弾きます」(声に出した、初めて)
ライアン:(驚いて、嬉しくなって)「……聴きます。必ず」
ジュリエット:(うなずいて、急いで邸に戻っていく——後ろ姿が少し、楽しそうだった)
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【シーン⑤:夜 アデライドとの時間】
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夜の廊下。アデライドが窓の外を見ている。
ライアんが帰ってきて、隣に立つ。
アデライド:「……今日は遅かったですね」
ライアン:「ジュリエット夫人のところへ訪問施術で」
アデライド:(静かに)「……ピアノで話す方だそうですね」
ライアン:「はい。でも今日——初めて声で話してくれました。一言だけ」
アデライド:(少し間があって、静かに微笑んで)「……よかった」
ライアん、その横顔を見て——
ライアン:「……アデライド夫人も、最初は言葉が少なかったですね」
アデライド:(少し驚いて)「……そうでしたか?」
ライアン:「はい。でも今は——こうして話してくれる(笑顔で)」
アデライド:(少し頬を染めて、窓の外を見て)「……あなたがいたから、でしょう」
ライアン:(じわっとして)「……こちらこそ、です」
春の夜の風が窓の外を吹いていた。
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「ジュリエット夫人が声で話してくれた。
一言だけ。「また弾きます」。
でも——声に出した言葉は、どんなに短くても、届く。
ミレーヌ夫人が自分で「それでいい」と言えるようになってきた。
リズ夫人が「正しくないこと」をやってみて、怖くなかったと言った。
みんな、少しずつ、自分の形を見つけていっている。
これが、3年目の春です」
次回予告:
「第7話! 3期前半の大きな山場!
セリーヌ夫人が、感情が論理を超えた瞬間——泣けた日。
アンナが初めて「泣いた」と認める日。
そして後輩レオン、先輩の偉大さを改めて思い知る。
『論理の外側と、認めた涙』!」
【第3期 第6話 了】
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【第3期 Vol.1(第1話〜第6話) 完】
続きは第3期 Vol.2(第7話〜第12話)に収録されています
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『癒しの手、貴族の心』 第3期
~未亡人サロンのマッサージ師~
アニメ第3期 全24話 完全台本 Vol.2(第7話〜第12話)
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第 7 話(第3期)
「論理の外側と、認めた涙」
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【シーン①:図書室 (セリーヌが泣けた日)】
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昼過ぎの図書室。
ライアんが廊下を通ると、図書室から微かな音が聞こえる。
息をのむような——静かな泣き声。
扉を少し開けると、セリーヌが本を膝に置いたまま、
手で口を押さえて、声を殺して泣いている。
ライアん、入るべきか迷って——でも自然に中へ。
そっとセリーヌの隣の椅子に座る。
セリーヌ:(ライアんに気づいて、あわてて目を拭いて)
「……すみません。論理的に考えれば、公共の場で泣くのは——」
ライアン:(静かに遮って)「図書室は、泣いていい場所ですよ」
セリーヌ:(少し驚いて)「……そういう規則はないはずですが」
ライアン:(穏やかに)「規則じゃなくて……そういう場所だと、僕が思っているので」
セリーヌ:(少し間があって、また涙が滲んで)
「……夫が好きだった本のページを開いたら……
夫の字で書き込みがあって。
「ここが好き」って……一言だけ。
論理的に考えれば……懐かしいと思うのは正常で——でも今日は、
論理が全部止まって……感情だけになってしまって」
ライアン:(静かに)「……泣けましたね」
セリーヌ:(少し驚いて、自分の涙に気づいて)
「……泣けた……(初めて認識したように)
ずっと、泣けなかったんです。論理で全部説明しようとして——
でも今日は……止まらなくて」
ライアン:(穏やかに)「感情が論理を超えた場所に、夫さんがいたんですね」
セリーヌ:(本を見て、夫の書き込みを指でそっとなぞって)
「……「ここが好き」……こんな一言が……これほど……」
(また涙が流れて——今度は止めない)
〔BGM:静かなチェロのソロ〕
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【シーン②:施術室 (セリーヌの施術・変化)】
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その後の施術。
セリーヌの体が、今日は入室の時から少し違う。
力の抜け方が、前より自然だ。
ライアン:(施術しながら)「……体、少し変わりましたね」
セリーヌ:「……そうですか?」
ライアン:「はい。泣いた後って、体も少し変わるんです。
ずっと固めていたものが、少し解けた感じがします」
セリーヌ:(静かに)「……感情が体に影響するんですね。論理で理解していたことが、
今日は体で分かった気がします」
ライアン:(施術しながら)「夫さんの書き込み、これからも読みますか?」
セリーヌ:(少し考えて)「……読みます。泣いてもいいと分かったから、
もう怖くない……かもしれない(少し自信なさそうだが、でも確かに)」
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【シーン③:施術室 (アンナが「泣いた」と認める)】
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午後。アンナの施術。
今日も腕を組んで入室してくるが——昨日より少し、目が柔らかい。
ライアン:(施術が始まって)「……今日はイザベル夫人の教室に行きましたか?」
アンナ:「ああ。今日は二人で素振りの練習をした。
……夫と練習した時と同じ型を使ったら——」(少し止まる)
ライアン:(手を止めずに)「どうなりましたか?」
アンナ:(少し間があって)「……泣いた」(きっぱりと)
ライアン:(少し驚いて)「……ゴミではなくて?」
アンナ:(少し間があって——かすかに口元が緩んで)
「……今日は、泣いた(認めた)」
ライアン:(嬉しくなって、でも静かに)「……よかった」
アンナ:(少し間があって)「……よかった、というのか。泣いたのに」
ライアン:「泣けることが、ということです」
アンナ:(施術台の上で、静かに天井を見て)
「……意地を張っていたのが、馬鹿みたいだったかもしれない(小声)」
ライアン:(穏やかに)「馬鹿じゃないですよ。
意地を張ることで立っていられた時間があったはずです。
それがあったから——今日、泣けた」
アンナ:(長い沈黙。じわっと目が潤んで——今日は拭かない)
「……そうか(小声)」
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【シーン④:ラッキースケベ⑦ レオンの記録と巻き添え】
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その日の夕方。レオンがライアんの一日の動きをメモしながらついて歩いている。
レオン:(歩きながらメモして)「……先輩は感動的な場面の後でも動じないんですか?
図書室でセリーヌ夫人が泣いた後も、施術室で自然に……」
ライアン:「動じますよ。心の中ではかなり。ただ顔に出さないようにしているだけで」
レオン:(メモしながら感動して)「……プロだ……先輩はプロだ……」
二人が廊下を歩いていると——曲がり角からフローラが飛び出してくる。
フローラ:「ライアンさん! 聞いてください! 今日レオンくんと——」
ライアン:(立ち止まるが)
フローラが勢いよく来て、ライアんを避けてレオンの方へ向かって——
レオンがメモをしていて前を見ておらず——
フローラとレオンが廊下で正面衝突。
フローラ:「えっ!?(驚き過多)」
レオン:「ふっ!!(メモが宙を舞う)」
二人、廊下で座り込む。
ライアん、その横でメモを拾いながら。
ライアン:「大丈夫ですか……?」
フローラ:(レオンを見て)「えっ!?レオンくん大丈夫!?(急に心配する)」
レオン:(頭を押さえながら、フローラと至近距離で、真っ赤になって)
「……だ、大丈夫です……(敬語が崩れかけて)大丈夫だよ……(崩れた)あ、敬語……!!」
フローラ:(笑いながら)「いいって言ったじゃん!!(嬉しそう)」
ライアん、二人を見て——なんとなく、温かい気持ちになる。
レオン:(ライアんに向かって、赤い顔で)「……先輩……私は今、施術師として——」
ライアン:「大丈夫ですよ(笑いながら)」
レオン:「なぜ!?(でも嬉しそう)」
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【シーン⑤:夜 中庭 (ライアんとギャスパール)】
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夜の中庭。ギャスパールがいる。
ライアんが近づくと——
ギャスパール:「……今日も盛りだくさんだったな」
ライアン:「はい。セリーヌ夫人が泣けた日で、アンナ夫人が泣いたと認めた日で」
ギャスパール:(少し間があって)「……変わったな、お前」
ライアン:「え?」
ギャスパール:「3年前は泣いている人の前で何もできなかっただろ。
今は……ただそこにいることの意味を知っている」
ライアン:(少し考えて)「……ここのみなさんに教えてもらいました」
ギャスパール:(少し笑って)「そういうことにしておけ。
……お前自身が変わったんだよ(ぼそっと)」
ライアん、その言葉を聴いて、中庭の空を見上げる。
春の星が、少しだけ見えていた。
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「セリーヌ夫人の涙は、論理を超えたところから来た。
アンナ夫人が「泣いた」とはっきり言った。
どちらも、今日一番の場面でした。
ギャスパールさんが「お前自身が変わった」と言ってくれた。
……3年間で、何かが変わったのかな。
まだ自分ではよく分からないけれど——嬉しかったです」
次回予告:
「第8話! フローラ夫人の「止まらない気持ち」が溢れる夜。
ジュリエット夫人が初めて人前でピアノを弾く——その場に居合わせたのは誰?
『止まらない夜と、届いた音』!」
【第3期 第7話 了】
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第 8 話(第3期)
「止まらない夜と、届いた音」
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【シーン①:中庭の端 夜 (フローラの「止まらない夜」)】
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夜の中庭。
フローラが一人でベンチに座っている。
昼間の元気な顔ではなく——ただ静かにうつむいている。
ライアんが気づいて近づく。隣に自然に座る。
フローラ:(ライアんに気づいて)「……来た」
ライアン:「来ました」
フローラ:(少し間があって)「……夫のこと、考えてたら止まらなくなって。
えっ、ってなるでしょう? 思い出すたびに「えっ!?もう一回!?」ってなって、
また「えっ!?」ってなって、止まらなくて」
ライアん、隣でただ聴く。
フローラ:「……三ヶ月しかいなかったから……覚えていることが少なくて。
少ないのに——一個一個が、すごく大きくて。
夫の笑い声とか、手の温かさとか——覚えていることが少ない分、
全部が鮮明で……それが、止まらなくなる理由なのかなって」
ライアン:(静かに)「少ないから大切に覚えているんですね」
フローラ:(少し間があって)「……そう、か。
少ないことが、悲しいことだと思ってたけど……
少ないから大切なのかな(噛み締めるように)」
ライアン:「……どちらも、本当のことですよ」
フローラ:(じわっと目が潤んで)「……えっ……どっちも……(鼻をすする)」
ライアん、ただ隣にいる。
フローラ:(しばらくして、静かに泣いて——それからぽつりと)
「……少ない思い出、全部覚えておく。ずっと」
ライアン:「……覚えていてください」
〔BGM:静かなギター〕
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【シーン②:音楽室 夜 (ジュリエットが人前で弾く)】
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深夜に近い時間。
ライアんがフローラの件で中庭から戻ってきた時——
音楽室からピアノの音が聞こえる。
扉を開けると——ジュリエットが弾いている。
今日は昼間に弾くことが多いジュリエットが、夜に弾いている。
中に入ると——気づかなかった先客がいる。
エヴリンが端の椅子に座って、目を閉じて聴いていた。
ライアん、静かにその隣に座る。
曲が続く。
今日の旋律は——悲しみと、でもそこに混じる何か温かいものが共存している。
聴いていると、胸の中でいろんなものが動く。
曲が終わる。
エヴリン:(目を開けて、目が潤んでいる)「……きれいだった……」
ジュリエット:(二人が聴いていたことに気づいて——驚いて、でも逃げない。
ゆっくりとライアんの方を向く)
ライアん、うなずく。
ジュリエット:(声に出して)「……聴いてくれて、ありがとう」(二言目が声で出た)
エヴリン:(思わず立ち上がって)「また聴かせてください!!(感動して)」
ジュリエット:(少し驚いて——でも、小さく笑ってうなずく)
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【シーン③:ラッキースケベ⑧ 深夜の廊下で】
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音楽室を出たライアん。
廊下を歩いていると、向こうから来るのはリズ。
リズ:(夜に廊下を歩いていて)「……眠れなくて、歩いていました」
ライアン:「そうですか。一緒に歩きますか?」
リズ:(少し驚いて)「……いいんですか?」
ライアン:「夜の廊下は歩いていいです(笑顔で)」
リズ:「……正しいですか? 深夜に男性と廊下を——」
ライアン:(穏やかに)「正しいかどうかより——眠れない夜に一人より、
誰かと歩く方が楽なら、それでいいと思います」
リズ:(少し間があって、隣に並んで歩き始めて——ふと壁際の台に足をぶつけて前のめりになる)
ライアん、とっさに手を出して支えるが——
リズが反射的にライアんの腕にしがみついた状態になる。
リズ:(気づいて、真っ赤になって離れようとするが、離れ際に声が出て)
「……正しい方法で、離れ方を……(混乱)」
ライアン:(同じく赤くなりながら)「……お怪我は?」
リズ:(ゆっくり離れて、整えながら)「……ないです。
でもこれは……お行儀が悪かったですね(自己評価)」
ライアン:「……怪我がなければ大丈夫ですよ」
リズ:(少し間があって、また歩き始めて——ぽつりと)
「……正しくなくても大丈夫、って……少しずつ、信じられるようになっています(小声)」
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【シーン④:翌朝 (各ヒロインの朝)】
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朝。サロンの廊下。
フローラ:(少し目が赤いが、笑顔で)「おはようございます!!(いつもの元気)」
ライアン:「おはようございます。昨夜は眠れましたか?」
フローラ:(少し間があって)「……少し泣いたら、眠れました(正直に)」
ライアン:(嬉しくなって)「よかったです」
セリーヌ:(本を持って廊下を歩きながら)「……おはようございます。今日も本を読みます(宣言)」
ライアン:「泣いても大丈夫ですよ」
セリーヌ:(少し赤くなって)「……わかっています(でも嬉しそう)」
アンナ:(廊下でライアんとすれ違いながら)「おはよう(短く)」
ライアン:「おはようございます」
アンナ:(少し間があって)「今日も剣術をする(報告)」
ライアン:「行ってらっしゃい」
アンナ:(少し歩いてから振り返って)「……また来る(サロンに)(宣言)」
ライアン:(笑顔で)「待っています」
ジュリエット:(音楽室の前でライアんに会って——声に出して)「おはようございます(三言目)」
ライアン:(嬉しくなって)「おはようございます。今日も弾きますか?」
ジュリエット:(うなずいて、小さく)「……エヴリンさんが聴きに来ると言っていました」
ライアん、その言葉に——じわっとして。
ライアン:「それは楽しみですね」
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「フローラさんが「少ない思い出を全部覚えておく」と言った。
ジュリエット夫人が、人前でピアノを弾いた。
エヴリン夫人が涙目で聴いていた。
音楽は言葉じゃないけど——届くものが確かにあった。
リズ夫人が「正しくなくても大丈夫、と信じられるようになっている」と言ってくれた。
ゆっくりだけど、確実に変わっている。
3年目の春は——本当にいい春だと思います」
次回予告:
「第9話! 王都への合同外出企画! 27人が街に出る!
ミレーヌ夫人が「自分で決める」初めての選択。
そして——アデライドとライアんの「花屋の約束」、今年も果たされる。
『27人分の街と、春の花』!」
【第3期 第8話 了】
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第 9 話(第3期)
「27人分の街と、春の花」
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【シーン①:王都外気浴 (27人の春の街)】
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春の王都。桜に似た白い花が街路樹に咲いている。
27人がそれぞれのペースで街を歩く。
〔元気トリオ+レオン〕
フローラ:「えっ!?この街こんなにでかいの!?(驚き過多)」
ソフィー:「屋台!!あそこ!!」
ロレーヌ:「行こう行こう!!」
レオン:(三人についていって)「先輩から「元気な三人組には気をつけろ」と言われましたが……(すでに引っ張られている)」
〔アンナ+イザベル〕
二人が無言で並んで歩いている。言葉は少ないが、並び方が自然だ。
アンナ:「……剣の道具屋がある(発見)」
イザベル:「行くか」
アンナ:「行く」
→ 二人で道具屋へ(無言でも楽しそう)
〔セリーヌ+ヴィオレット+マドレーヌ〕
書店の前で三人が釘付けになっている。
セリーヌ:「この詩人の新作が——」
ヴィオレット:(目が輝いて)「存じています。昨日入手しました」
セリーヌ:(驚いて)「早い!」
マドレーヌ:(微笑みながら)「二人とも、本が好きなのね」
〔ジュリエット+エヴリン〕
楽器屋の前で二人が立っている。
エヴリン:「これ、ジュリエットさんが好きそう!(楽譜を指差して)」
ジュリエット:(メモに書いて)「一緒に選んでいいですか?」
エヴリン:「もちろん!!(嬉しそうに)」
〔ミレーヌ+クロエ〕
カフェの前でミレーヌが立ち止まっている。
ミレーヌ:「……ここ、入っていいですか?(クロエに確認する前に——自分で止まって)
……変でしょうか(また聞いてしまって)」
クロエ:(扇で笑いながら)「あなたが入りたいなら入ればいいでしょう」
ミレーヌ:(少し間があって、自分で扉を開ける)「……入ります(自分で決めた)」
クロエ:(満足そうに後からついていく)
〔リズ+カミーユ〕
市場の屋台前でリズが「歩き食べ」を再挑戦している。
リズ:(クレープを食べながら歩いて)「……お行儀が悪いです(でも顔が笑っている)」
カミーユ:(隣で同じく食べながら)「……でも美味しい(照れながら)」
リズ:(少し驚いて)「夫人も……」
カミーユ:「緊張しながらでもできることが正しいと……思って(背筋を伸ばして歩きながら食べる)」
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【シーン②:ラッキースケベ⑨ 花屋の前の大混雑】
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花屋の前。
ライアんとアデライドが並んで花を選んでいる——今年の春の恒例行事。
そこへ元気トリオが「花!!花!!」と走ってくる。
フローラ:「えっ!?この花きれい!!えっ!?えっ!?」(花屋に突進)
ソフィー:「私も見る!!」
ロレーヌ:「わーきれい!!」
三人が花屋に突進してくる動線の真ん中に——
ライアんとアデライドが立っていて。
アデライド:(気づいて一歩横へ)
ライアん:(逆方向へ)
三人がちょうど二人の間を通り抜ける形になって、
フローラが「えっ!?」と叫びながらライアんの腕に手をかけてバランスを取り——
ロレーヌがアデライドの腕をとっさに掴んで止まる。
一瞬の静止。
アデライド:(ロレーヌに腕を掴まれたまま、静かに)「……気をつけなさい」
ロレーヌ:(離れながら)「す、すみません!!(笑いながら)」
フローラ:(ライアんの腕から手を離して、真っ赤になって)「えっ!えっ!すみません!!」
ライアん、アデライドを見る。
アデライド:(ライアんを見て、小さくため息をついて——でも今日は口元が緩んでいる)
「……毎年、花屋は騒がしいですね」
ライアん:(苦笑いして)「すみません……」
アデライド:(また花を選び始めながら、静かに)「……いいえ。賑やかな方が、春らしい」
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【シーン③:花屋の前 (ミレーヌの「自分で決める」)】
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少し離れた花屋の前。
ミレーヌが一人で花の前に立っている。
クロエはカフェで休憩中。
ミレーヌ、花を見渡して——一本、手に取る。
黄色い小さな花。
ミレーヌ:(心の中で:変じゃないか? でも……好き。
好きだから変じゃない。自分が決めていい)
花屋の店主:「お一人ですか?」
ミレーヌ:(少し間があって)「……はい。自分のために、買います」(初めて、誰かに確認せずに言えた)
夕方。ライアんに黄色い花を見せながら。
ミレーヌ:「……自分で選びました。変じゃないですよね?(また聞いてしまう)」
ライアん:(笑って)「きれいです」
ミレーヌ:(少し間があって)「……きれいかどうかは、私が決めて——きれいです(自分で言えた)」
ライアん:(嬉しくなって)「それが正解です」
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【シーン④:花屋 (アデライドとの春の約束)】
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騒ぎが収まった後の花屋。
アデライドが淡いラベンダー色の花を一輪選んで——ライアんに渡す。
アデライド:「……今年はこれにしました」
ライアン:(受け取って)「……ありがとうございます。去年と違いますね」
アデライド:(少し考えて)「……去年は春の花を、と言いました。
今年は——あなたに似合う色を、選びました」
ライアン:(少し驚いて、花を見て、それからアデライドを見て)
「……ラベンダー色が、ですか?」
アデライド:(少し赤くなって、でもまっすぐに)
「……穏やかで、温かくて、どこにでも合う色。
……あなたのことを考えたら、この色を選んでいました」
ライアん、花を見て——じわっと目が熱くなって。
ライアン:(笑顔で)「……大切にします。ずっと」
アデライド:(静かに、でも確かに)「……来年も来ますか?」
ライアン:「来ます。毎年来ます」
アデライド:(かすかに、でも確かに笑って)「……知っています」
〔BGM:バイオリンとピアノの優しい二重奏〕
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「アデライド夫人が「あなたに似合う色」と言って花を選んでくれた。
ラベンダー色の花は、今日から部屋に飾っています。
ミレーヌ夫人が「自分で選びました」と言えた。
花屋で一人で言えた、その言葉が——今日の春の花と同じくらい、きれいでした。
27人の街歩きは今年も賑やかで、今年も花屋で騒ぎになりました。
来年もそうなるんだろうなと思うと——なんか、嬉しいです」
次回予告:
「第10話! アンナが「夫のことを、誰かに話す」初めての夜。
フローラとレオンの関係が少しずつ変化してきた!?
そして——1期・2期ヒロインたちの「近況発表会」!
『話せた夜と、積み重なった日々』!」
【第3期 第9話 了】
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第 10 話(第3期)
「話せた夜と、積み重なった日々」
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【シーン①:施術室 (アンナが夫の話をする)】
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施術室。アンナが施術台に横になっている。
今日は珍しく、入室した時から少し柔らかい顔をしている。
ライアン:(施術しながら)「……今日は違いますね」
アンナ:「何が?」
ライアン:「顔が少し、柔らかい」
アンナ:(少し間があって)「……今日、夫のことを——話した。
イザベル夫人に」
ライアン:(驚いて、でも静かに)「初めてですか? 誰かに話すのが」
アンナ:「ああ。今まで話せなかった。
話すと泣くと思っていたから——泣きたくなかったから、話さなかった」
ライアン:(施術しながら)「……泣きましたか?」
アンナ:(少し間があって)「……少し(きっぱりと)」
ライアン:(穏やかに)「イザベル夫人は?」
アンナ:(少し口元が緩んで)「……「そうか。強かったんだな、夫さん」と言った。
それだけだった。余計なことを何も言わなかった」
ライアン:(くすっと笑って)「イザベル夫人らしいですね」
アンナ:(少し笑って——珍しく、ちゃんと笑った)「ああ。……あの人、好きだ(友人として)」
ライアン:(その笑顔を見て、胸が温かくなって)
アンナ:「……夫の話、もう少ししてもいいか?」
ライアン:「もちろんです。聴きます」
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【シーン②:厨房周辺 (フローラとレオンの変化)】
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昼。厨房前の廊下。
レオンが資料を持って歩いていると——フローラが「レオンくーん!!」と走ってくる。
フローラ:「今日の施術どうだった!?(友達感覚で聞いてくる)」
レオン:(慌てて)「ふ、フローラ……夫人! 施術の内容は——」
フローラ:「秘密でいいよ! そっちじゃなくて、うまくできた?って!」
レオン:(少し間があって)「……今日は……少し、うまくできた、かもしれない(恥ずかしそうに)」
フローラ:(ぱっと笑顔になって)「よかった!! 私の時と違って!!(笑いながら)」
レオン:(顔が赤くなって)「あれは……!!」
フローラ:(笑いながら)「ライアンさんみたいになれるといいね(真剣に)」
レオン:(少し間があって、真剣な顔になって)「……なります。必ず(力強く)」
フローラ:(その目を見て、ぽかんとして——少し頬が赤くなって)「……うん(小声)」
ライアん、廊下の端からその様子を見て——くすっと笑う。
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【シーン③:1期・2期ヒロイン近況発表】
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午後の大広間。
ソランジュ院長が「春の近況共有の時間」を設けた。
3期の新ヒロインたちが先輩ヒロインたちの話を聴く場。
テレーズ:(星図を広げて)「今年の星は……全員に幸運を告げています(満足そうに)」
→ 新ヒロインたち:(ぽかんとしている)
エヴリン:「先月、音楽堂の中ホールでコンサートができました。
来月は大ホールに挑戦します」
→ フローラ:「えっ!!(驚き過多)大ホール!?すごい!!」
ベアトリス:「スープのレパートリーが七種類になった(報告)」
→ アンナ:「……なぜスープを?(真剣に聞く)」
→ ベアトリス:「……研究だ(きっぱり)」
カミーユ:(背筋を伸ばして)「先月、貴族協会の会議で代表スピーチをしました。
声は少し震えましたが——言えました」
→ リズ:(目が輝いて)「……震えながらでも、正しくできるんですね(感動)」
→ カミーユ:(微笑んで)「正しいというより——やれた、ということだと思います」
ロレーヌ:(元気よく)「笑えない夜があっても、翌朝は起きられるようになりました! 成長!!」
→ フローラ:「……えっ(少し目が潤んで)それ、すごい(小声)」
エレオノール:(声に出して)「個展が……今年で四回目になります。
少しずつ……声で話せる言葉が……増えました」
→ ジュリエット:(その言葉を聴いて、メモに書いて渡す)「私も……増やしたいです」
→ エレオノール:(受け取って、静かにうなずいて)「……一緒に」
ライアん、端からその全員の顔を見て——
3年間で変わったもの、変わらないものを、静かに噛み締める。
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【シーン④:ラッキースケベ⑩ 近況発表後の混乱】
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近況発表が終わって、大広間が賑やかになった頃。
ナタリーが差し入れのケーキを持って入ってくると同時に——
フローラが「えっ!?ケーキ!?えっ!?」と驚いて立ち上がって椅子を倒して、
倒れた椅子がソフィーの足に当たってソフィーが「おわ!!」と前のめりになって——
前のめりのソフィーがレオンにぶつかり、レオンが資料を落として、
資料を拾おうとしたフローラがナタリーのケーキの台に頭をぶつけて——
ケーキが宙を舞う。
今回はライアんが両手を広げて真下に入って——キャッチ成功。
全員:(拍手)
ライアン:(ケーキを持ったまま、苦笑いして)「……今年初めて、止められました」
ナタリー:(感動して)「ライアンさん!!成長!!(涙目)」
レオン:(震えながらメモして)「……先輩が今期初めてケーキをキャッチ……これは……歴史的……!!」
アデライド:(端から見ていて、静かに)「……成長、ね(かすかに笑って)」
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「アンナ夫人が夫の話を、人に話した。
フローラさんとレオンくんが、なんか良い感じになってきた気がする。
今日初めてケーキをキャッチできました。
3年かかりました(笑)。
アデライド夫人が「成長、ね」と言った。
その一言が——今日、一番嬉しかったです」
次回予告:
「第11話! セリーヌ夫人が「論理の外」へ踏み出す旅——夫の故郷を訪ねる計画。
ジュリエット夫人が、サロンで初めて「みんなの前」でピアノを弾く。
『故郷と、みんなの前』!」
【第3期 第10話 了】
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第 11 話(第3期)
「故郷と、みんなの前」
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【シーン①:施術室 (セリーヌの決断)】
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セリーヌの施術。
今日は珍しく、横になる前に話したいことがあると言った。
セリーヌ:(椅子に座って)「……来月、夫の故郷を訪ねようと思っています」
ライアン:(少し驚いて)「……どうしてですか?」
セリーヌ:「夫の書き込みがある本を読み続けていたら——
出身の村の川の話が出てきて。「ここの川が世界一きれいだ」と書いてあった。
論理的に考えれば……行く必要はないんですが。
でも——行きたいと思った。理由なく、ただ」
ライアン:(嬉しくなって)「それが答えですよ」
セリーヌ:(少し驚いて)「理由なく行きたいが、答えですか?」
ライアン:「はい。論理の外から出てきた気持ちだから——本物です」
セリーヌ:(少し間があって、静かに微笑んで)
「……論理の外が、怖くなくなってきました。
泣けた日から——少しずつ」
ライアン:「……一人で行きますか?」
セリーヌ:(少し考えて)「……一人で行こうと思います。
夫と二人で行くつもりだった場所だから——
今は、私だけで行って、夫の分も見てきたい」
ライアン:(真剣に)「……気をつけて行ってきてください」
セリーヌ:(うなずいて、立ち上がりながら)「……帰ってきたら、報告します(笑顔)」
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【シーン②:大広間 (ジュリエット、みんなの前で弾く)】
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ある午後。
エヴリンが「ジュリエットさんのピアノを、みんなに聴かせたい」と提案して、
大広間に小さなピアノが運ばれてきた。
ジュリエット、緊張した顔で椅子に座っている。
周りには集まった20人ほどのヒロインたちと、ライアん、レオン、ギャスパール。
エヴリン:(そっとジュリエットの隣に立って)「大丈夫。私も最初は怖かった。
でも弾き始めたら——届くから」
ジュリエット:(エヴリンを見て、ゆっくりうなずく)
ピアノの前に向かって——
最初の一音が、静かに広間に響く。
全員が、静かになる。
ジュリエットの旋律が広間を満たす。
悲しみと、温かさが混じった音。
一週間の記憶と、それでも続く時間が、音になっている。
数分後、曲が終わる。
しばしの沈黙。
それから——拍手が、静かに、でも確かに広がる。
ジュリエット:(顔を上げて、27人の顔を見渡して——目が潤んでいる。
でも逃げない。小さく、でも確かに)
「……ありがとうございます(声で)」
エヴリン:(隣で泣きながら拍手して)「きれいだった……!」
ライアん、端から見て——目が熱くなって。
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【シーン③:ラッキースケベ⑪ 感動の後で】
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ジュリエットの演奏が終わった後の大広間。
みんなが口々に「きれいだった」「また聴きたい」と言いながら散り始める。
ジュリエットがピアノから立ち上がって、ライアんの方へ歩いてくる——
感謝を伝えようと。
その途中、広間に残っていた椅子の足に引っかかってよろける。
ライアん、とっさに前へ出て——ジュリエットの手を掴む。
二人、向かい合った状態で止まる。
ジュリエット:(真っ赤になりながら、でも今日はピアノじゃなく——声で)
「……ありがとう(小声)」
ライアン:(同じく赤くなりながら)「……弾いてくれて、ありがとうございます。
すごくきれいでした」
ジュリエット:(また少し赤くなって、でも逃げなくて——ゆっくり離れながら、声で)
「……また、弾きます」
ライアン:(笑顔で)「待っています」
レオン:(端で記録しながら、目が潤んでいる)「……先輩の……先輩の……(感動と記録が混ざって)」
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【シーン④:ギャスパールとクレールの近況】
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夕方。サロンの玄関でギャスパールとクレールが並んでいる。
クレールが小さな箱を持っている。
ライアんが通りかかると——
クレール:(ライアんに気づいて微笑んで)「こんにちは。今日も賑やかそうですね」
ライアン:(笑顔で)「ジュリエット夫人のピアノがあって——きれいでしたよ」
ギャスパール:(少し羨ましそうに)「……聴けなかった」
クレール:(ギャスパールに)「次に来た時に聴かせてもらいましょう(穏やかに)」
ギャスパール:(少し赤くなって)「……ああ」
ライアん、二人の自然な並び方を見て——じわっとする。
ライアン:(心の中:(ギャスパールさんが柔らかくなった。
クレールさんのそばにいる時の顔が——全然違う)
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「ジュリエット夫人が、みんなの前でピアノを弾いた。
一週間の夫婦の時間が——音になって、広間に満ちた。
あの音を、ずっと覚えていると思います。
セリーヌ夫人が夫の故郷へ一人で行くと決めた。
論理の外へ踏み出す、その背中が——きれいでした。
ギャスパールさんは今日も幸せそうでした。いいことです」
次回予告:
「第12話! 3期前半の締めくくり!
全員が集まる「初夏の夕べ」!
そしてライアんが、後輩レオンに初めて「先輩として伝えること」を話す夜。
アデライドとの三年目の誓いが更新される——。
『積み重なった夏の夜と、伝えること』!」
【第3期 第11話 了】
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第 12 話(第3期)
「積み重なった夏の夜と、伝えること」
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【シーン①:初夏の夕べ 開幕】
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初夏の大広間。緑と白の花で飾られた会場。
27人が集まっている。
エヴリンの歌で始まる。今日は新曲——初夏の風と、誰かへの感謝を乗せた歌。
去年より声量が上がり、表現がさらに深くなっている。
拍手の後、ナタリーの差し入れが並んで、パーティが始まる。
各所の交流:
〔フローラ+ロレーヌ+ソフィー「元気トリオ」〕
フローラ:「えっ!市場制覇、一緒に行く!いつ行く!?」
ソフィー:「来週!!」
ロレーヌ:「行く!!」
フローラ:「えっ!!(嬉しくて驚く)」
〔アンナ+イザベル〕
二人が端の席で並んで、剣術の話を静かにしている。
言葉は少ないが——完全に「仲間」になっている。
〔ジュリエット+エヴリン〕
ジュリエットが今日は声で話している場面がある。まだ短いが——確かに増えた。
エヴリン:「今日の演奏、また聴きたい!!」
ジュリエット:(声で)「……今日は聴いてください(エヴリンに)」
〔セリーヌ+マドレーヌ+ヴィオレット〕
セリーヌ:「来月、夫の故郷に行きます」
ヴィオレット:(静かに)「行ってらっしゃい。言葉が出てきたら……詩にしましょうか(提案)」
セリーヌ:(少し驚いて、嬉しくなって)「……ぜひ(笑顔)」
〔ミレーヌ+クロエ〕
ミレーヌ:「今日の服、自分で選びました。変じゃないですよね——と言いかけて……
変じゃない、自分で決めます(自分で止めた!!)」
クロエ:(扇の向こうで満足そうに笑って)「成長したわね」
〔リズ+カミーユ〕
リズ:(カミーユのスピーチの話を聴きながら)「震えながらでも正しい……ではなく、やれた——
今日は「やれた」を使ってみます(決意)」
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【シーン②:ラッキースケベ⑫ 夕べの大団円崩壊】
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夕べの後半。
フローラが「えっ!?飾りがすごい!?」と感動しながら走り回っていて——
ナタリーのケーキのテーブルに激突。
今回はライアんがすぐに飛んでキャッチ体勢——
しかしフローラがライアんにぶつかって、ケーキが反対方向へ飛んで——
レオンが「受け取ります!!(先輩から学んだ)」と飛んでキャッチ成功。
全員:(拍手)
レオン:(ケーキを持って、真っ赤な顔で)「……できました(震えながら)」
ナタリー:(感動して)「レオンさん!!成長!!(涙目)」
フローラ:(レオンを見て、ぱっと笑顔になって)「えっ!!すごい!!(本気で驚く)」
レオン:(フローラに笑顔を向けられて、顔がさらに赤くなって)「……ありがとう(友達口調が出る)」
ライアん、ケーキを持ったレオンを見て——3年前の自分を思い出して、じわっとする。
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【シーン③:スタッフルーム (ライアんがレオンに伝えること)】
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夕べの後。スタッフルームでライアんとレオンが片付けをしている。
レオン:「……先輩、今日のケーキキャッチ、うまくいきました」
ライアン:「見てました。よかったです」
レオン:(少し間があって)「……先輩は、3年間でどうやってここまでになったんですか?」
ライアン:(少し考えて)「……うまくなろうとしたわけじゃないんです。
ただ……ここにいる方々が、毎回何かを教えてくれた。
失敗しても来てくれる、また話してくれる——それが全部、先生でした」
レオン:(メモしながら)「……ではレオンも、お客様方に教えていただく……」
ライアン:「はい。でも一つだけ——先輩として言うことがあります」
レオン:(まっすぐに見て)「はい!!」
ライアン:(真剣に)「……ただ、そこにいてください。
うまい言葉より、うまい技術より——その人のそばにいること。
それが一番難しくて、一番大切です。
施術師として、ずっとそれだけを大事にしてきました」
レオン:(静かに聴いて、ゆっくりとメモして——それからメモを閉じて)
「……先輩。メモじゃなく、ここに(胸を指して)入れます」
ライアん、その言葉を聴いて——じわっとして。
ライアン:(笑顔で)「……よろしくお願いします、レオン」
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【シーン④:夜 中庭 (アデライドと三年目の誓い)】
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夜の中庭。白薔薇が初夏の風に揺れている。
アデライドが先に立っていた。
ライアんが近づく。
アデライド:(静かに)「……今年の夕べも、賑やかでしたね」
ライアン:「レオンが初めてケーキをキャッチしました」
アデライド:(くすっと笑って)「……見ていました。あなたの3年前みたいだった」
ライアん、その言葉を聴いて——笑いながら少し目が潤む。
アデライド:(少し間があって、白薔薇を見ながら)
「……ライアン。一つ、聞いていいですか?」
ライアン:「はい」
アデライド:(振り返って、まっすぐライアんを見て)
「……来年も、再来年も——ここにいますか?」
ライアン:(迷わずに)「います。ここにいます」
アデライド:(少し間があって——ゆっくりと、白薔薇を一輪手に折って、ライアんに渡しながら)
「……知っています。でも……聞きたくなった」
ライアん、白薔薇を受け取って——アデライドの目を見て。
ライアン:(静かに、でも確かに)「……聞いてくれて、ありがとうございます。
これからも——ここにいます。夫人の隣に」
アデライド:(かすかに、でも確かに微笑んで)「……知っています」
初夏の夜風が、白薔薇を揺らした。
〔BGM:バイオリンとピアノ、静かに〕
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【エンディング・次回予告】
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ナレーション(ライアン):
「レオンくんが「メモじゃなく、ここに入れます」と言った。
3年前の自分より——ずっとちゃんとした言葉だと思った(笑)。
アデライド夫人が「知っています」と言う。
でもそれが——一番温かい言葉だと、今は知っています。
3年目の前半が終わりました。
後半も——ここにいます」
次回予告:
「後半突入! 第13話!
セリーヌ夫人が夫の故郷から帰ってきた日——その報告とは。
そして3期新ヒロイン6人、それぞれが転機を迎える後半がスタート!
『川のほとりで、見てきたもの』!」
【第3期 第12話 了】
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【第3期 Vol.2(第7話〜第12話) 完】
続きは第3期 Vol.3(第13話〜第18話)に収録されています
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