文化祭、始まりました。
文化祭当日。
学園はいつも以上に騒がしかった。
校舎のあちこちから「闇の叫び」が響き、黒い幕や鎖の装飾が廊下を埋め尽くしている。
俺はエレナと一緒に、正門をくぐった。
エレナは黒いワンピースに薄い黒いパレオを羽織り、髪をゆるく結んでいる。
いつもの厨二病衣装ではなく、普通の女の子らしい服装だ。
彼女は俺の手をそっと握り、小さな声で言った。
「……みお。今日は……一緒に回ろう」
俺は頷いて、彼女の手を握り返した。
「うん。どこから行く?」
エレナは少し照れながら、
「……まずは……私たちの学年から」
俺たちは一年のフロアへ向かった。
教室の入り口には「闇の迷宮カフェ」の看板。
中に入ると、黒い布で仕切られた迷路のような席配置。
生徒たちが黒いエプロンで給仕している。
その中に、ルナがいた。
ルナは……男装していた。
黒いタキシードに蝶ネクタイ、髪をオールバックにして、骸骨リングを外してシンプルに。
彼女はトレイを持って俺たちに気づくと、目を輝かせて駆け寄ってきた。
「エレナちゃん!みおちゃん!来てくれたんだ~!どう?私、今日男装バトラーだよ!『闇の執事ルナ』!カッコいいでしょ!」
エレナは少し呆れた顔で、
「……ルナ……貴様、意外と似合ってるな」
ルナは得意げに胸を張る。
「でしょでしょ!今日はみおちゃんみたいな可愛いお客さんを、おもてなししちゃうんだから!はい、特別席へご案内します~!」
俺たちはルナに案内されて、奥の席に座った。
メニューは「闇の紅茶」「封印のケーキ」「古代の闇スムージー」。
どれも真っ黒い見た目だけど、味は普通の紅茶とケーキだった。
ルナが給仕しながら、興奮気味に言う。
「ねえねえ!次は絶対アリスちゃんのクラス行って!アリスちゃん、今日すごいコスプレしてるんだから!」
俺とエレナは顔を見合わせた。
アリスが……コスプレ?
一年のクラスを後にして、二年へ。
アリスのクラスは「闇の図書館」。
黒い本棚が並び、薄暗い照明で幻想的。
入り口で、アリスが立っていた。
アリスは……メイド服だった。
黒と白のクラシックなメイド服に、フリルのエプロン。
眼鏡はそのままで、髪をポニーテールにまとめ、リボンを付けている。
彼女は俺たちを見つけると、顔を真っ赤にして俯いた。
「……み、みお……エレナ……来てくれたんだ……」
エレナが目を丸くする。
「……アリス……貴様、こんな……可愛い服を……」
アリスは耳まで赤くなって、
「……会長に……強制されて……『闇の図書館の案内役』だって……もう……恥ずかしくて……死にたい……」
俺は思わず笑ってしまった。
「似合ってるよ、アリス。可愛い」
アリスはさらに赤くなって、
「……みおに……そんなこと言われると……もっと……恥ずかしい……」
ルナが飛び込んできて、アリスを抱きしめる。
「アリスちゃん超可愛い~!メイドアリス最高!写真撮ろ撮ろ!」
アリスは「やめて……!」と抵抗するけど、ルナはスマホ……ないから、記憶に焼き付ける勢いで見つめている。
俺とエレナは笑いながら、アリスに紅茶を頼んだ。
アリスは震える手で紅茶を運んでくる。
彼女は俺の前にカップを置いて、小さな声で言った。
「……みお……ありがとう……来てくれて……」
俺は微笑んで、
「うん。アリスも、がんばってるね」
アリスは頰を赤らめて、俯いた。
セレスティアのクラスは「闇の占い館」。
黒い幕と水晶玉、鎖の装飾。
セレスティアは……魔法使いのコスプレだった。
黒いローブに尖った帽子、鎖をアクセサリーのように巻きつけている。
彼女は俺たちを見つけると、優雅に手を広げた。
「ふふふ……ようこそ、闇の占い館へ。光の残滓と闇の姫……貴方たちの未来を、覗いてあげましょう」
エレナがため息をつく。
「……セレスティア。貴様、いつもより派手だな」
セレスティアは鎖を鳴らして笑う。
「当然よ。今日は私が闇の魔女。みお、貴方の運命を占ってあげましょうか?」
俺は苦笑した。
「いや……いいよ。怖いこと言われそう」
セレスティアは水晶玉を撫でながら、にやりと笑う。
「ふふふ……貴方の未来には……たくさんの闇が待っているわ。でも……その闇の中に、光が少しだけ混じっている……面白い運命ね」
俺とエレナは顔を見合わせた。
セレスティアはいつも通り厨二病だけど、どこか本気っぽい。
俺たちは占いを断って、次の教室へ。
最後はリリス会長のクラス。
「闇の貴族舞踏会」。
教室全体が黒と赤の装飾で、仮面舞踏会風。
リリス会長は深紅のドレスにマント、仮面を手に持っている。彼女は俺たちを見て、優雅に一礼した。
「ようこそ、みお、エレナ。我が舞踏会へ」
エレナが少し緊張した顔で、
「……会長。今日は……いつもより、華やかだな」
リリスは微笑む。
「当然だ。今日は闇の貴族として、君たちを迎える。みお……貴方の光は、今日も美しい」
俺は少し照れた。
「……ありがとうございます」
リリスは仮面を俺に差し出した。
「みお。仮面をつけて、舞わないか?エレナと……二人で」
エレナが俺の手を強く握る。
俺は頷いた。
「……うん。踊ろう、エレナ」
音楽が流れ始めた。
俺とエレナは仮面をつけて、教室の中央で踊る。
エレナのドレスが揺れ、俺のラッシュガードの下の心臓が速くなる。
彼女は俺の肩に手を置き、囁く。
「……みお。今日は……ありがとう。みんなに……会えて……嬉しかった」
俺は彼女の腰に手を回して、微笑んだ。
「俺も。エレナと一緒にいられて……幸せだよ」
文化祭は、まだ始まったばかり。
俺たちは、手を繋いで、次の教室へ向かった。
第二十二話です!ありがとうございました!
文化祭が始まりました!
文化祭はまだ続きます!今回の話短くてすいません、、




