休息、始まりました。
夏休み初日。
俺は自室ですでに水着を着ていた。
更衣室問題が面倒すぎるから、昨夜のうちに準備を済ませておいた。
黒いラッシュガードの上着に、膝丈のハーフスパッツ。
鏡で見ると、うん……完全に女の子だ。
胸元はもちろん平らだけど、全体のシルエットが細くて、髪も少し伸びてるせいで、どう見ても女子の水着姿。
この学園では、これが俺なんだよな……。
上にTシャツと短パン着て、すぐに脱げるようにした。
「これで大丈夫だろ……」
学園内にある「闇の水晶プール」へ向かう通路を、俺は一人で進んでいった。
なんとか言い訳を並べてエレナたちとは現地集合になった。
通路の先で扉を開けると、そこはもう別世界だった。
天井は高いドーム状で、黒い岩肌に埋め込まれた青い水晶が、まるで夜空の星のように輝いている。
巨大な施設は波のプール、流れるプール、ウォータースライダー、飛び込み台、子供用の浅いエリアまで揃っていて、全部が今日は貸切。
水面がキラキラ反射して幻想的だ。
空気はひんやりして塩素の匂いと甘いアロマが混ざっている。
生徒会の権限、相変わらず異常だ。
すでに生徒会メンバーは全員来ていた。
エレナは黒いワンピース水着に、肩に薄い黒いパレオを巻いている。
胸元が少し開いていて、白い肌が際立つ。
セレスティアはゴシック調の黒いビキニに鎖のアクセサリー。
ルナはピンクのフリル付きスク水で、頭に小さな角のヘアピン。
アリスはシンプルな紺のワンピース水着で、眼鏡を外して髪をポニーテールにまとめている。
リリス会長は深紅のビキニにマントを羽織ったまま、優雅にプールサイドに立っている。
俺が現れると、エレナが目を輝かせて駆け寄ってきた。
「みお! 遅いぞ!早く服を脱げ! 水着姿を見せろ!」
「いや、ちょっと待って……」
俺はTシャツを脱ぎ、ラッシュガード姿になった。
みんなが一瞬、静かになる。
エレナが目を丸くした。
「影の眷属・みお……その水着……すごく……かわいらしいな」
ルナが飛び跳ねる。
「わー! みおちゃん、めっちゃ可愛い!ラッシュガードなのに、スタイルいい~!」
セレスティアが鎖を鳴らして笑う。
「ふふふ……光の残滓が、水着でより輝いているわね」
アリスは俺を見て、頰を少し赤らめて目を逸らした。
リリス会長は優雅に微笑む。
「素晴らしい。さあ、闇の水晶プールで、夏の儀式を始めよう」
俺は内心でため息をついた。
みんなの水着姿を見て、少し照れる。
エレナの胸元が少し開いているのがやっぱり気になって、視線を逸らした。
セレスティアの鎖が水着に絡まって、妙にセクシー。
ルナのフリルが揺れて、無邪気で可愛い。
アリスのワンピース水着はシンプルだけど、体のラインがきれいに見えて……ドキッとした。
リリス会長のビキニは堂々としていて、女王様みたいだ。
俺はラッシュガードで隠してるけど、みんなの視線が痛い。
最初は5人で遊んだ。
波のプールで浮き輪に乗って、波に揺られる。
ルナが「わーい!」と叫びながら飛び込んでくる。
エレナが俺の手を引いて、一緒に波に乗る。
「貴様、波に飲まれるなよ!」
彼女の笑顔が近くて、胸がざわついた。
アリスは少し離れたところで、静かに浮かんでいる。
俺は彼女に近づいて、声をかけた。
「アリス、楽しい?」
「……うん。みおと……一緒にいられて……嬉しい」
アリスは小さく微笑んだ。
その笑顔が、胸に刺さる。
お昼を食べた後、みんな自由行動になった。
俺は気になってたウォータースライダーエリアへ行くことにした。
そこに、アリスが一人で立っていた。
彼女は俺を見つけると、少し照れたように手を振った。
「……みお。一緒に……乗らない?」
俺は頷いた。
「うん。行こう!」
ウォータースライダーは高さ10メートルくらいの急な滑り台。
二人乗り用のチューブに乗り、アリスが前、俺が後ろ。
アリスは緊張で体を硬くしている。
「怖い……」
俺は彼女の背中に手を回して、優しく声をかけた。
「大丈夫だよ。俺が後ろにいるから。一緒に滑ろう」
アリスは小さく頷き、俺の腕をぎゅっと掴んだ。
スタートの合図で、チューブが滑り出す。
急降下。
風が顔を叩く。
アリスが小さな悲鳴を上げる。
俺は彼女を抱きしめるようにして、守る。
ウォータースライダーの最後で、水しぶきが上がる。
アリスは笑っていた。
「……楽しかった……みお、ありがとう」
俺は彼女の笑顔を見て、胸が温かくなった。
次に波のプールへ。
セレスティアが一人で波に揉まれながら、何か変なことをしている。
鎖を鳴らしながら、波に逆らって泳いでいる。
「セレスティア、何してるの?」
彼女は波から顔を上げて、にやりと笑う。
「ふふふ……これは闇の波動を鍛える修行だ。光の残滓である貴様には、分からぬだろうが、この波に抗い、闇の力を高めるのだ!」
「……そっか。がんばって」
セレスティアはさらに波に挑む。
俺は苦笑しながら、離れた。
流れるプールでは、ルナがずっと浮き輪に乗って浮かんでいた。
ピンクの浮き輪に寝そべって、のんびり流されている。
「ルナ、楽しそうだね」
ルナは俺を見て、手を振る。
「みおちゃん! 一緒に乗ろうよ~!浮き輪二人乗りできるよ!」
俺はルナとは違う浮き輪に乗り、ルナと並んで流れる。
ルナは笑いながら話しかけてくる。
「ねえ、みおちゃん!エレナちゃんと最近どう?なんか、すっごく仲良くなったよね!」
「……うん。まあ、監視されてるけど」
ルナはくすくす笑う。
「エレナちゃん、みおちゃんのこと大好きだもんね~!催眠のとき、本音出ちゃったし!」
俺は苦笑した。
「忘れてくれよ、あれは……」
俺は言葉に詰まった。
ルナはそれ以上追及することはなく、流れに身を任せてどこかに行ってしまった。
俺はそのまま陸に上がった。
ビーチチェアエリアでは、リリス会長が優雅に座って、飲み物を飲んでいた。
深紅のビキニにサングラス。
女王様みたいだ。
「みお。こちらへ来い。一緒に過ごそう」
俺はビーチチェアに座った。
リリスはグラスを傾けながら、微笑む。
「貴様、最近変わったな。光が……少し、闇に染まり始めている」
「そうかな?俺はいつも通りだけど」
リリスは笑う。
「ふふふ……それがいい。闇は、強制するものではない。自然に染まるものだ。貴様は……我々の仲間になりつつある」
俺は少し照れた。
「……ありがとう。リリス会長」
飛び込み台では、エレナが立っていた。
黒いワンピース水着姿で、高い台の上から俺を見下ろす。
手を振って、宣言する。
「影の眷属・みお!我、闇の姫エレナ・クロウリーは、今ここに!貴様が闇になる願いを込めて、飛び込む!」
エレナは綺麗なフォームで飛び込んだ。
水しぶきが上がり、俺は思わず拍手した。
いつからいたのか分からなかったがアリスが俺の隣で小さな声で呟く。
「……すごい……エレナ……かっこいい……」
俺はアリスを見て、微笑んだ。
「うん。エレナ、かっこいいよね」
アリスは頰を赤らめて、頷いた。
夕方近く、みんなでプールサイドに集まった。
エレナが俺の隣に座り、肩を寄せてくる。
「影の眷属・みお。今日は……楽しかったな」
俺は頷いた。
「うん。みんなと一緒で、楽しかった」
アリスが少し離れたところから、俺を見ている。
彼女の瞳が、柔らかい。
ルナが盛り上げる。
「次は夜のプールパーティーだよ~!」
セレスティアが鎖を鳴らす。
「闇の夜に、水晶の光で……最高の儀式になるわ」
リリス会長が微笑む。
「そうだな。休息は、まだ始まったばかりだ」
俺はみんなを見て、胸が温かくなった。
水面がキラキラ光る。
夏の闇が、俺たちを包む。
第十四話です!
あんまり話は進みませんでした、、すいません。
ですが、第十五話で夜のプールパーティーを行います。
そこで、物語が大きく動く出来事がありますので是非お楽しみに!
追記で、新しく書いた、課金妹、現実降臨のほうもよろしくお願いします!




