表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/48

22話 使役スキルのちがい


「実践って、いったい何をするのかな……?」


ワクワクと不安が混ざった気持ちを抱えて、ノエルは中庭に立っていた。昨日の勉強会の続きというには、少しだけ、様子が違う。昨日までは机や椅子があり、勉強会、といった印象だったが、今日は何も用意されてはいない。



「── よーし。今日は使役スキルの実践だ」


アリオスの掛け声に、ノエルはぴょんと跳ねるように背筋を伸ばす。


「はい!今日は何するの?スキルをつかうためにいっぱい運動するとか!?それとも ──」


「おっと、そんなに張り切らなくてもいい。今日は“使役スキル”を意識してもらうだけさ」


「えっ、でも……パパはそのスキル、《従繋帯》だっけ? 使えるけど……わたしにはまだよく分からないし……」


ノエルは不安そうに俯く。以前、モボンがノエルに同調して動いたあの行動── それが本当に“スキル”によるものなのか、彼女自身にもまだ確信はなかった。


「うん、それでいい。今日は、それを“確かめるための日”なんだ。でもね、実はパパ── このスキルを“教える”ことはできないんだよ」


「ええー!? 教えられないのに、実践って言ったの?」


ノエルは前回、アリオスに覚悟しておけ、と言われていたので、少女なりに構えていたのである。しかし、自覚出来ていないスキルの実践をするのに、教えてもらえないというのは無謀だと思い、アリオスに抗議した。




アリオスは、ふっと笑う。


「だから、“見せる”んだ」


家のドアが開く音とともに、静かに、重たく足音が中庭へと響いた。ノエルは思わず目を見張る。


「え?フォルド?」


フォルドは、そのままアリオスの隣まで歩き、ノエルに対面して静止する。


彼女にとってフォルドは、父とともに屋敷の奥にいる存在。めったに自分の前に出てくることはなかった。


「ちょっと協力してもらうんだ」




アリオスは、その場でクルッと180度体の向きを変え、ノエルに背中を見せている状態になる。


「さて── グー・チョキ・パー、知ってるな?」


アリオスはノエルに背を向けたまま問いかける。



「うん!」


ノエルは元気に頷くと、手のひらをパーの形に広げて見せる。




すると ──


アリオスは、手を挙げて彼女と同じ形に広げた。


「んん〜?」


「次」


「ええー、ちょっとまって……はい!」


ノエルがチョキを作ると、アリオスも一拍遅れて同じチョキを作った。ノエルは、アリオスがこちらを見ていないのにも関わらず、同じ手の形をしていることに気がついた。


「うそー! なにこれ、なんで!?」


今度はアリオスがノエルを向き、代わりにフォルドがノエルに背を向ける形になる。


「さて、じゃあ、もう一度だ」


「今度は見えてるでしょ?」


「いいから、やってみなさい」



ノエルがじゃあ……と、手を広げパーを作ると、フォルドがゆっくりとその腕を持ち上げ、パーを作った。


「……うわぁ……! すごい!」


「これは、パパの使役スキル《従繋帯》の力だ」


アリオスは静かに語り始めた。


「パパのスキルは“同調型”といって、魔物と五感を通じて繋がる。フォルドの目で見て、フォルドの手を動かせる。逆に、フォルドが見たものも、パパの頭の中に映るんだ」


「じゃあ、さっきのは、パパがフォルドの目で見てズルしてたんじゃない?」


アリオスはコテッとこけそうになる。「ず、、、ズルではないが……」と訂正しようとしていると、ノエルが、でも…… と何かに気付く。


「私はモボンの見てるもの見えないよ?」


「そう。ノエルとパパのスキルは、おそらく同じ使役スキルでも型が違うんだ。だから、教えられない、ってことだよ」




「なるほど〜…… でも、教えてもらえないならどうすればいいんだろ……」


うーん、と悩むノエル。そこに、アリオスが既に考えていたことをノエルに伝える。



「ノエルのはたぶん、“共鳴・共感・共有型”のどれかだ。モボンと一緒にいた時、何か“お願い”するような気持ちで話しかけたこと、あるだろう?」


「……ある……!」


「モボンがノエルの気持ちに応えようとした。それが、“スキルの兆し”なんだよ」


アリオスはノエルの頭をやさしく撫でる。


「パパのスキルは見せられても、同じようには教えられない。でも、ノエルはノエルだけのスキルを見つければいい」


「うん……」


「そして、もし何かがあっても── パパがそばにいる。だから、安心してやってごらん」


ノエルは、大きく息を吸って── コクリと頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ