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壱 ギター

 僕は高校受験の歳に勉強に疲れたから息抜きにリビングへ行こうと階段を降りながら両親に言われたことを考えていた……。


僕はそこそこの高校に行こうと思っていたが偏差値の高い高校が家の近くにあり、その高校が両親の憧れの高校だ。僕の通ってる中学からは毎年数人しか受からないような学校。


でも両親に後ちょっと頑張れば届くから受けてくれと言われていた。

当の本人である僕は、お試し受験で受かる気はなかったんだ、この後のことがおこるまでは……。


リビングに着き扉を開けると、母が開いたのに気付いた。「りょうちゃん、この子15歳なのに凄く歌が上手なの。」 と言った。

 テレビに目をやると何処にでもいる普通の女の子、背が小さいのだろうか?アコースティックギターが大きく見える。

すると、ちょうどサビだろうか?その子は大きく息を吸った……。


 “……“


時が止まったと思った。歌詞なんて耳に入って来なかったけどギターの音と声が凄すぎて息が詰まった。

 母「ねっ、すごいでしょ?」

と自慢げに話しかけてくる。

(今 とても良いとこなんだ、ゆっくり聞かせてくれ!)


歌が終わった時には頬に涙が流れていた。男なのにこんなことで泣くなんて……と思うかもしれない。でもそれくらい感動したんだ。

 両親に涙なんか恥ずかしくて見せられないから急いで自分の部屋に戻った。

SNSで検索してみるとトレンド上位を独占していた。

 WEBドラマの主題歌らしく、熱狂的なファンと一部の人しか知らなかったみたいだ。

 同い年でメジャーデビューしたて、でこんなに人気出るなんてすごいと思った。


 次の日学校では案の定、その話で盛り上がっていた。ほとんどの人がリアルタイムで見てなかったみたいで動画の拡散で見たらしい。

 (可哀想に、あの感動を味わえた僕は幸せ者だ。)

 と内心勝ち誇っていた。でもその話は学校では長く続かなかった。だって受験生だもん。

 皆んなそそくさと家に帰り勉強をした。一部諦めて遊んだり、部活の推薦で自分の力を磨いたり……。


(カッコいいな……。)

と内心思ったが、僕は大人しく家に帰って勉強をした。ヘッドホンであの日の曲をガンガンにして聴きながら。



そして月日は流れあの高校から受験結果が届いた。僕は柄にもなく、ジャンプをして喜んだ。

-合格-

の二文字に!そしてその日のうちにある場所へ行ったんだ。


実はあの日、寝る前に約束したんだ。



あの高校に受かったらギター買ってって。両親は合格を喜んで買ってくれたんだ、決して安くないけど……。



そのギターを持って僕は今みんなの憧れの武道館で歌っている。あの感動を今度は皆んなに。

どんなに苦しくても幸せが、感動があるんだよって。

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