6話 愛情の形について
「ねぇ」
就寝直前、隣で疲れ果て横になる彼女に、舞島に話しかけた。
「ん、もう寝るよ。なに?」
目を閉じながら彼女は答えた。
「僕たちってさ、百合になるのかな」
「きゅ、急にどうしたの?発情期なの?まだ欲求不満?」
驚いたようにパッと目を開き僕の顔を見た。布団の中で何かもぞもぞしているのを見るに卑猥なハンドサインでもしているようだった。
「人間はいつだって発情期なんよ。なんかさっきちょっと思ってさ」
「百合…なんじゃないの?だって好きでしょ私のこと」
「それはそうなんよ。でもさ…もし男がいたら?」
「百合の間に挟まるやつ?」
男という言葉を聞いて真っ先に思い浮かんだのがそれだったらしかった。
「また懐かしいネタなんな。そうじゃなくて同じくらいの年の。さ」
「大体理解したわ。恋愛対象になるかって話ね。同性しかいない環境だからってこと?」
「そういうこと~。僕たち成り行きで~みたいな感じあったんよ最初」
「そうね」
彼女は私から少し目をそらした。
「だからこれって百合だって言えるのかなって。男いてもこういう関係になってたのかなって思ったんよ」
「そもそも私たちは百合だぞ!っていう機会も相手もいないけどね~」
「そうだけどさ。でもちょっと気になっちゃって」
少し考えるようなパフォーマンスをしてから彼女はすぐに答えた。だが僕はそれがすでにいうことが決まっている時の行動だと知っていた。
「うーん。百合じゃないのかなぁ。逆に百合以外にどう表すのかって話しよね」
「じゃあ百合なのか」
「どういう愛の形かって感じじゃないのかな。女友達との差って」
「っていうのは?」
「likeかloveかってことよ」
誰もほかにいないのに僕の耳元で彼女はささやいた。
「わかりやすいたとえなんよ。ちなみに?」
「love一択でしょうよ」
即答だった。
「男がいても?」
「変わらないね。男のいる環境にいたことないからかもしれないけど。」
これまた即答だった。
「そっちはどうなの?」
「僕もだよ。うん」
「にしても本当にいきなりだったね。なんでこんな話を?私のこと嫌いになったとか?」
「ううん。そんなことないんよ。僕は。僕はいつの君も好きなんよ」
「love?」
「love。前は多分違かったかもだけど。いまはlove。胸張って言えるんよ」
「張る胸ないくせに。ま、いいや。じゃあもう寝るよ。明日も学校だし。明日も明後日もね。早く寝ないと」
彼女が右手で僕の左手を握った。
「うんそうだね。ずっとずっとね」
僕もそれを握り返した。
少し笑いあうと僕たちはそのまま眠りについた。
おやすみなさい。
変わらない毎日に。
おやすみなさい。
結構話が動きましたね
今後ともよろしくお願いします
反応していただけるとモチベにつながりますので何卒