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EP5-2(結羽、中2、春)

東京に来てからは一日一日が一瞬で過ぎていった。平日はお母さんの代わりに家事に追われ、週末は朝から面会時間ぎりぎりまで病室に篭っていた。体調が優れない日は殆んど寝たきりだったお母さん…。

それでも、何も話ができなくても同じ空間にいられるだけでその時は幸せだった。

「早く退院して一緒に大阪に帰ろう。」

眠っているお母さんの耳元にそうやって何度も話し掛けた。


そうして日々は過ぎ、季節は巡って東京で過ごす2度目の春。いつもの毎日。

その日も私は夕食の支度を終えてお父さんの帰りを待っていた。だけど…


「もしもし、結羽ちゃんか?」

かしわのおじさん?」

千葉に住んでいるおじさんはお父さんの兄にあたる人で、私たちが引っ越して来る時にはいろいろ面倒を見てもらった。


「お父さんに何か話?今日はまだ帰ってなくて。」

「そのお父さんの事なんだけどな…」

「??」

「さっき警察から電話があって弟が逮捕されたらしい。もちろん、何かの間違いに決まってる!だから結羽ちゃんも慌てる事はないから。」

「え…お父さんが…何で?」

「とにかく詳しい事が分かったらすぐまた連絡するから、今は落ち着いて家でじっとしているんだよ。いいね?」


その後、結局電話が鳴ることもお父さんが帰って来ることも無かった。

無力な私は、ただ部屋の隅っこでじっと固まっているしかなかった。電池が切れたロボットのように、思考停止状態でひっそりと。




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