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クルトゥスさん・2

ひとしきりブルースをからかっていたクルトゥスさんが話を戻したところで、クルトゥスさんのパーティメンバーさん達がお茶を持って来てくれました。

(持っていたのは一人ですけど)


見た目二十歳前半の女性、ライラヒルラさんと、性別不詳に見える二十代半ばの男性、ファラスさん、大柄で筋肉質な、ホラハさんの3人です。


お茶を持って来て、私達の観察をした後、すぐに部屋を出ようとしたのをアインが止めました。


「これから話すことはこの場だけのこととして、外に漏らさないで下さい」

との前置きで、私が別の世界から来た異世界人で、特殊なスキルを持っている事を話しました。

隠さなくていいのでしょうか?


「この事は秘すべきですけど、だからと言って全ての人に隠すのは、協力者を募れません。

正直に言いましょう、あなた方の事は調べされていただきました」

ホラハさん以外の3人が、アインに鋭い視線を送ります。


「その上で信頼できると判断し、できることなら協力関係を結べればと思います」

「………その調べたと言う事はあなた以外の人も知っているんですか?」

クルトゥスさんが抑え気味の声で問いかけて来ます。


「いえ。

私だけしか知りません」

山を越えてからアインの単独行動が多かったのは、この方々の情報を集めていたのでしょうか。


「………………ホラハとそちらの子供二人は席を外した方がよくないですか?」

チャックとシナトラに視線を向けるクルトゥスさん。


「いえ、この二人は彼の家族なのです。

シナトラはまだ子供ですけれど、キチンと話せばわかります。

子供だからと遠ざけていては、いつまでも無知のままです。

なのでどんな話をする時でも外させる事はしません」

シナトラが、面はゆい表情でアインを見ています。


「それにチャックは形は子供ですけど、中身はブルースより落ち着いていますよ」

「おい!」

悪戯っぽくアインが笑って言うと、部屋の中の空気が軽くなりました。


「そうですね、ホラハも大人の話だからとすぐに外さずに、キチンと教えていけばいい事ですよね。

わかりました。では話の続きをしましょう」

クルトゥスさんが一口お茶を飲み、テーブルに組んだ手を乗せ、話を続けます。


「貴方が調べたと言うのは、うちの3人の事情ですか?

それとも先日のスタンピートの事ですか?」

「両方だと思います」

アインが答えると、クルトゥスさん達がため息をつきました。


「その話はできるなら貴方の中だけにとどめていただけるとありがたいのですが」

「必要もないのに他人のことを吹聴しませんよ。

ただ特殊な事情のある彼のことを相談するのに、相談相手の現状を知りたかっただけです」

「貴方は相変わらず慎重派なのですね」

「そう言う性分ですから」


そういえばアインはクルトゥスさんの事を知っている様な事を言ってましたね。

西で活躍していた頃に顔を合わせていたのでしょうか。



「と言うわけで、無性の方々と同じく長生きするであろう彼に、何かアドバイスを頂こうと思いまして、山を越えて来たのですよ」

「我やコイツも長生きはするが、やはり種族がちがうからな、感じ方や考え方も違ってこよう」

アインの言葉を引き継いでブルースがクルトゥスさんに話しています。


「そうですね、亜人でも王様トカゲの亜人だと、他の種族の10倍近く長い寿命ですし、魔族は魔力の続く限り死なないと聞きますから、感覚が違うでしょうね」

「一つ訂正を。

魔族の寿命が魔素の保有量…魔力で左右されるのは正しいですけど、どんなに長くても500年前後ですよ。

でも彼の場合はこれからの行動でさらに延びますから」


以前調べた時、魔族の寿命は500年となっていましたけど、それは長くて500年なのですね。

魔素の保有量で寿命が延びるのなら、ブルースもそれくらい生きるのでしょうか。

私は現状220年でしたかねぇ。

長い気もしますけど、妻と分けると丁度いいくらいですね。


暫く考え込んだ後、顔を上げたクルトゥスさんが、

「アースと貴方は良いとして、そちらの二人」

と、チャックとシナトラを指刺す。



「その二人に余り心をかけない方がいいですよ」

ライラヒルラ「(ねえ、この部屋に来たの失敗じゃない?)」

ファラス「(そうだね、クーの昔馴染みを見に来ただけなのに、とても重苦しい話だよ)」

ホラハ「(ボク外に出された方が良かったなぁ)」


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