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子供とは空気の読めない存在ですよね

依頼は荷物の検品まででしたけど、支払いの計算に四苦八苦していたので、計算も手伝いました。

だって足し算ですよ?

足し算引き算なら暗算ででもできるでしょう。

掛け算割り算になると筆算になりますけどね。

数学は全然出来ませんでしたけど、算数なら……分数辺りまでは得意でしたよ。


日暮れ前には全て終わり、ギルドへ達成報告へ向かいました。


ギルドへ着くと、皆さん仕事帰りなのか、結構混んでいます。

報告が済んだ冒険者の方々は、早々に酒場で飲んでいますね。

シナトラの目が酒場に釘付けです。

チャックは依頼ボードへ向かいましたし、私一人で列に並びました。


順番になったので窓口へ行くと、受け付けに居たのは、昨日の年配の男性でした。

「あ、ブルースのお知り合いの職員さん」

私が言うと、年配の男性は吹き出しました。


「なんだよそれは。

そういやあ名乗ってなかったか?

俺の名前は、ガルガスって言うんだ。

まあ、よろしくな」

手を出されたので握手をしました。


「それで、昨日登録して何か依頼でも受けたのか?」

「ええ、依頼達成の書類をお持ちしました」


依頼達成の書類は、ギルドで依頼を受ける時に渡される書類で、依頼が終わった後に依頼主にサインと評価(○△✖︎)を書いてもらった物です。

これをギルドへ提出して、パーティの評価とするそうなのです。

その紙を3枚重ねて提出しました。


「お前らスゲーな、1日で3つ終わらせてきたのか。

町長んとこと商会なんて追加報酬払っても良いって追記があるぞ」

「満足していただけたのなら良かったです」

「じゃあ依頼達成の報酬は支払い窓口へ行ってカードを出してくれ。

ついでにランクアップもして行くか?」

「そうですね、お願いします」


私はシナトラとチャックを呼びました。

「ランクアップ出来るそうだから、カードを出して」

シナトラはゴソゴソとあちらこちらのポケットを探って、カードを取り出しました。

チャックはカードと一緒にボードから剥がしてきたのか、依頼書を5枚テーブルの上に置きました。


「これ、さっき回収した中にあると思うよ」

言われて見てみれば、採取の依頼書に描かれてある草や木の実は、草むしりや林からの帰り道で言われるままに回収した薬草や、木の実と同じ物ですね。


マジックバックに手を入れ、「この薬草とこっちの薬草とそっちの薬草、あとこの絵と同じ木の実」など、名前がわからないので、依頼書の絵を見ながら頭に思い浮かべると、キチンと絵と同じ薬草や木の実が出てきました。


「マジックバックか、初心者なのにいい物持ってるな。

どれ、ぱっと見間違ってない様だし、これは裏の買い取りカウンターに持って行ってくれ。

そこで買い取り完了書を持ってきてくれれば依頼完了だ」


どうやら仕事は完全分業制で、窓口の職員は査定…鑑定ができないので、買い取り窓口まで持っていかなければならないそうです。

逆に買い取り窓口の職員は、次から次へと持ち込まれる依頼品の鑑定や、買い取り品の鑑定と査定などで忙しく、依頼完了の手続きをしていられないので、書類にハンコを押すそうです。


それを持って支払い窓口で、依頼料や買い取りの代金を受け取って、受付で依頼達成の手続き……頭の中に『たらい回し』と言う言葉が浮かんできますね。

どの世界でもお役所仕事はあるもんですねぇ。


私達はまず買い取り窓口へ行き、ハンコを貰い、支払い窓口で最初の3件の代金と、薬草などの代金を受け取り、再びガルガスさんの元へ。

そこで依頼達成手続きをした。


「ランク9はこのままやっといていいな?

ランク8の戦闘テストは明日でも大丈夫だぞ、予約しとくか?」

「戦闘テストは武器を準備しておかないといけませんよね?」

「そうだな、魔法職なら武器はいらねえけど、武器で戦うのなら、どんだけ武器が使えるかを見るんだから、武器はあった方が良いぞ。

なんなら貸し出しもあるし」


どうやら武器を買うお金を貯める為にも、ランク8まで上げると言う方も少なくないそうです。

剣や槍はギルドで貸し出しもしていて、自分の武器を購入するまで、有料ですが借りると言う方法も有るそうです。

勿論壊したり無くしたりすると弁償ですけど。


弁償するのが嫌で、大事に使うので、自分の武器を手に入れても、粗雑に扱わなくなるので、ギルドは積極的に貸し出しをしているそうです。

武器の手入れを怠ると、危険性が増しますけど、武器の手入れ…メンテナンスをしない新人冒険者は一定数いるそうです。

武器は壊れ物だとわかっていないんでしょうね。


私の武器は特殊ですし、明日には出来上がりますので、明後日に予定を入れてもらいました。

チャックとシナトラも、私と同じ日程にするそうです。


ギルドを出たシナトラは、

「もっと剣の練習しなきゃね」

と意気込んでいます。

「別に戦うわけじゃないんでしょ?

どれだけ武器が扱えるか見るだけって言ってたから、素振りでもしてれぱ充分なんじゃない?」

「そうですね、私も明後日武器が出来上がったら、久しぶりに素振りをしないと、鈍っているでしょうね」


ふふふ、早く専用武器を手に入れたいですね。


宿へ戻ると、一階の酒場でブルースが待っていました。

「おお、遅かったな、待っておったぞ」

「おっちゃんどうしたの?

僕もおっちゃんに用事があるんだ」

ご機嫌な様子のブルースに、シナトラが駆け寄っていきます。


「まあ、我の話を先に聞け」

言いながらブルースがカードを取り出しました。

「ほら、どうだ!もうランク8だぞ。

もう少し上げたかったが、討伐に出るには遅い時間だったからな。

今日のところはこの辺で勘弁してやったぞ。

明日にでもランク7…いや、6まで行くやもしれぬな」


満面の笑顔のブルースに、空気が読めないシナトラが、

「僕達もランク9の依頼まで終わったよ。

ランク8の試験も受けるかって言われたけど、父ちゃんの武器がまだだから、今度にしたんだ。

武器さえあればランク8だったんだから、僕達もおっちゃんと一緒だね」

……あ、ほら、ブルースの顔が固まってしまったじゃないですか。


「ぬぅ、しかしな、我は試験も受かっているのだぞ。

我の方が凄かろう」

「えー、でも試験?は武器が使えれば戦って勝たなくても受かるって聞いたよ?

だから明日剣の振り方を見てくれる?」

シナトラ…悪気がないのはわかりますけど、ブルースが凹んでいるのにも気付いて下さいよ。


「わ、我は明日も忙しいから、お前の面倒など見ておる暇がない」

「えー、剣の使い方教えてくれるって言ったのおっちゃんじゃん」

「ぐぬっ…基本は教えてやったろ、それで試験は受かる。

なにせ簡単な試験だからな」

「簡単だからおっちゃんもすぐに受かったんだ」

……シナトラ、もう口を閉じた方が…あ、チャックが物理的に口を塞いでくれました。


大晦日ですね、皆さま今年は良い一年だったでしょうか?

私は今年も書きたいものを、書きたいように書きつつ、仕事場が変わったり、ひどい風邪を拗らせたり、車で事故りそうになったり……とりあえず生きてます。


話はまだ続きます、引き続き読んでいただけると嬉しいです。


次回更新は奇数日…明日です。

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