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第二の人生へ

「誰でも大好きな【金で買えないものはない、周りになんと言われようと揺るがないマネーゲームコース】なんてのはどう?

お金嫌いな人はいないでしょう?

億万長者目指そうよ」

「お金は有るにに越したことはないですけれど、日々が過ごせればそれで良いと思います。

余分なトラブルを生みそうですし」

「随分堅実ですね」

私はお金より大切なものを知っていますからね。

生活ができて、少しばかり蓄えられれば、それで充分ですよ。


「では堅実に生きていく為に【のんびりなんて出来るわけない、どこがスローなんだ?自然と共に生きていく、農業スローライスコース】などは?」

「農業ですか、体力に自信はありますけれど、農業は大変ですよね。

自然次第ですし、趣味の園芸などですとやってみたい気持ちはありますが、それで生活を成り立たせるのは、少し荷が重い気がします」

昔の知人が稲作農業をやっていましたけれど、話を聞くだけで大変さが伝わってきましたので、できればご遠慮したいです。


「以前の生活とかけ離れて【魔法を極めて全ての英知を己が手に、賢者、錬金術師コース】などはどうですか?

魔法のない世界からですから、少しは気になりませんか?」

「錬金術師…がよくわかりませんけれど、魔法と言うものには少しばかり惹かれますね」

「これからご案内する世界は、殆どのコースが魔法の使える世界です。

その中でも魔法を極める道ですね。

興味はありますか?」

正直に申しまして興味はあります。

ですが…、

「一つの物事にのめり込みがちな性格をしていると、自分では思いますので、このコースを選びますと妻との再会がとても遠そうですね。

少し悩みます」


「これで最後のとっておき、最近別口の仕事で一番人気の【皆様どれだけお疲れなの?もふもふとちびっ子に囲まれて癒しのある日常生活を。モフっ子パラダイスコース】ならどうだ!」

「それにします!」

おや、つい食い気味になってしまいました、お恥ずかしい。


私と妻の間には子供ができませんでした。

長い間不妊治療もしましたけれど、四十には諦めました。

二人だけの生活もいいのですが、話し合ってペットを飼うこととなったのです。

お喋り好きな妻に合わせて、話せる鳥…オカメインコを飼い、可愛がっておりました。

その子も数年前天寿を全うしてしまいましたが……。


「沢山の子供と動物に囲まれて過ごし妻を迎える……とても素敵ですね。

是非その世界で第二の人生を過ごしたいです」

想像するだけで顔が笑みの形をとってしまいます。

そんな私を見て「やっとここまで話が進んだか」と、少しお疲れ気味なお二人ですね、すみません。


「子供や動物がお好きなら、お奨めな星があります」

そう言ってして下さった説明は…。


その星では男性と女性、それと【無性】の三つの性があるそうです。

男性と女性は今まで生きてきた世界と変わらないですが、【無性】というのは【心を通わせた相手を、相手の了承が有れば人にすることができる】能力を持っている人だそうです。


男性と女性は子供を作れますが、無性の方は生殖能力がない為、子孫を残すことができません。

その代わりに動物を、獣人?などの亜人?にできるそうです。


「つまり子供ができなくても、ペットを言葉の通じる生き物に変化させ られる、ってこと」

「そんな性別の種族のいる世界です。

あなたにはその無性の方の持つ能力を付けようと思いますが、いかがですか?」

ペットが本当の意味で家族の一員となるのですか、素晴らしい。


「その世界では勿論魔法の有る世界ですから、初期魔法も使えるようにします」

「後は鑑定スキルなんかどう?」

どうと言われても…

「その鑑定とはどういった類のものでしょうか?」

詳しく聞いてみたところ、世界の違いで、見慣れないものも多くなります。

鑑定が有ると【それがどういったものなのか、どのように扱うのか】がわかるようになるそうです。

「ほかの魔法やスキルは急ぐ必要もないでしょうから、ポイントと交換してくだされば大丈夫かと思われます」


「わかりました、ではその家族を増やせるものと、魔法を使えるようにと、鑑定の三つでお願いします」

頭を下げると、

「え?そんなにスルッと決めていいの?

こちらのこれは提案だよ?

もっと違うものでもいいんだよ?」

そう仰って下さいますけれど、私、よくわからないのです。

なので申し訳ないけれど、丸ごとお任せするのが一番かと思いまして。

お二人はきっと私の不利になるものは薦めないでしょうから。


そう言葉にすると、少し照れたようですね。

いやはや、可愛いですねえ。


「ゴホン……では、その三つで決めさせていただきます。

向かう世界もその世界でよろしいですか?」

私は頷きます。

「では詳しい説明などは【オープン】と唱えて下さい。

目の前にタブレットのような物が浮かびます」

文字の浮かぶ場所を指差し「こちらの小型の様な感じのものです」と。

成る程、わかりやすいです。


「不明な点が有りましたら、ほぼそちらで解決できると思います。

使い方などもそちらでお調べください」

タブレットですか…実は苦手なんですけど、頑張ります。


「交換できるもの、現在のポイント、貯まっているゲージの量などもそちらで確認下さい」

これは確認することが沢山出てきそうですね。

戸惑っている私に、軽い感じのする男性が、意地の悪い笑顔を浮かべて言ってきました。


「後藤さんってこう言ったもの苦手そうだね。

入力方法をタッチキーじゃなくて、指で文字書き入力にしてあげようか?」

「是非それで!」

「お……おお」

本人はからかったつもりかも知れませんが、私にとってはありがたい申し出です。

指で字を書くのなら、調べ物もスムーズに行くと思います。


「ではサービスで変更させていただきますね。

後お伝えすることは…、言語は自動翻訳されますので、話すことと読むことはできます。

但し書くことは練習していただくこととなります。

世界が違いますので、今までの常識が通じない点も出てきますが、そちらはご了承下さい。

新しい世界で生きていく上で、行動し易い年齢にさせていただきます。

最初に着替え一式、最低限の装備や小物、それと準備金として、ある程度の換金用の貴金属を、お渡しさせていただきます」

「ありがとうございます」

「最初の生活はそれでどうにかなるから、後は自分でお金や物を増やしたりしてね」

「わかりました」


私が頷くと、手元のタブレットを覗き込み、大きく頷き、

「これでこちらでの手続きは終了となります。

そろそろ移動させていただきますがよろしいですか?」

「大丈夫です」

「第二の人生の目的は、【奥様にお会いする、家族に囲まれて生きていく】に設定させていただきます。

その目標を目指して、幸せな生活を送ってくださればポイントが貯まります。

そのポイントでさらに良い生活を送ってください」

「頑張ります」

「それでは以上で全ての説明が終了しました。

後の不明な点はタブレットでどうぞ」


そう告げた後、二人が一歩下がると、私の下が蛍光緑色に光出しました。


「「それでは良い人生を」」


二人の声が重なって、私が頭を下げると、さらに激しく光り出しました。




そして私は新たな世界へと旅立ったのです。




やっと前説が終わりました…長くてすみません。

ファンタジーの知識無い方々に、どこまでなら用語が通じるか、などを聞きながら書いていたら、どんどん長くなってしまっています…。


明日は異世界でまずは持ち物チェックです。


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