到着時間調節の為の野宿です
ブルースが王様トカゲの姿に戻り、四人で背中に乗りました。
昨日は背中に負われ、しがみついたまま王様トカゲの姿に戻ったのですが、今回は先に元の姿に戻ったので、どうやって登ろうかと思案していましたら、アインが魔法をかけてくれました。
「【軽量】…これでほぼ重さはなくなりましたから、チャックが背中まで運んであげて下さい」
魔法で軽くなった私は、チャックに抱えられて、ブルースの背中まで運ばれました。
アインは自分で背中まで浮かび上がってきて、シナトラはジャンプして飛び上がってきました。
背の上で【解除】と魔法を解いた後、アインはさらに魔法をかけます。
「【シールド】…これで風の抵抗も受けずに移動できます」
成る程、昨日は背中に張り付いていたのであまり感じませんでしたけど、普通高速で移動していたら、風の抵抗で吹き飛ばされてしまうことも有りますよね。
博識なアインが居てくださってありがたいですねえ。
「では行ってきます」
「いってらっしゃい」
アインは分裂体のヨルゼル氏と挨拶を交わしています。
ブルースが羽ばたくと、ヨルゼル氏の長い髪と軽そうな衣装がはためき、痩身の本人も飛んでいきそうです。
二、三度羽ばたくと、巨体がふわっと浮きました。
翼で飛ぶと言うよりも、浮力で浮かび、羽ばたきで方向を変えるような感じだそうです。
確かにこの巨体が飛ぶには、翼は小さいと思いました。
ブルースは、神殿(?)の上をぐるっと一周して、その場を飛び去りました。
神殿(?)の前庭には、沢山の人影が。
窓から空を見上げている人も居ます。
きっとあれは、隠れていた魔族の方々なのでしょう。
思った以上に沢山隠れていたようですね、5〜60人程居そうです。
どれほど広い地下室だったのでしょうね。
空から見ても広大な森を飛び続け、日が暮れる前に湖の近くに降りました。
湖から流れる川を伝って行けば、獣人の方々の暮らす村にたどり着くそうです。
今日はここで野宿して、明日の昼過ぎには村に着く予定だそうです。
ブルースの名を呼び人の形に戻した後、夕食の準備となりました。
以前は台所に立つ事などなかったのに、最近はおさんどん係ですねえ。
今日も適当に切った肉に、砕いた岩塩をまぶして、火で炙り、チーンと頭の中で鳴ったら出来上がりです。
今日はシナトラが湖で魚を獲ってきてくれたので、魚も焼きます。
でも魚を焼くなら、砕いただけより、粉?な塩が良いですねえ。
えーと、ミル?でしたっけ、胡椒などを粉末にするアレか、すり鉢が有れば良かったのですが。
食事の後、シナトラはブルースに剣の扱い方を教わっています。
チャックはアインと何か話していますね。
私は焚き火の側でタブレットを開き、試しに文字を書いてみましたら、出てきましたよ、広域地図。
しかし、現在地や縮尺が分かりませんねえ。
地図右上に米マークが有りましたので、タッチしました。
【広域地図
タブレットの性能が低いうちは『小学校低学年の教室に貼ってある地図』くらいの物でしかないよ。
タブレットの性能を上げて、役立つ物にバージョンアップして行こう。
タブレットは使えば使うほど性能は上がっていくよ。
性能が上がれば、色々便利になるから頑張って 】
タブレットも人と同じで、経験を積めばスキルアップするのでしょうか。
しかし、『小学校低学年の〜』とは何とも具体的なのでしょうか。
とりあえず、まめに使えば良いのですかねえ。
広域地図を消して今度は【時空魔法】を書き込んでみました。
【時空魔法
時間と空間の魔法だから、時間に関するイメージできるモノと、空間に関してイメージできるモノだと、熟練度によって何でもできるよ。
初歩のマジックバックに、何かを入れているだけでも、空間魔法をいつでも使っているって判定になるから、割とスキルアップしやすい、多様性のある魔法だよ 】
時間に関するイメージですか……急に言われても目覚まし時計くらいしか思い浮かびませんねえ。
空間ですと更に浮かびませんね……自分空間?パーソナルスペースですか?
ん?それだと結界になりますねえ。
結界はリストで別に有りましたから、空間魔法とは違うのですよね?
またもや文字数が多いですけど、調べないとわからないので、諦めて指で文字を書きます。
【結界魔法と空間魔法の違い
結界は孤立した魔法だよ。
シールドやバリアは、前面だけに展開される盾の魔法で、結界の発展系なんだ。
結界魔法はめっちゃ丈夫な繭に閉じ込めるって感じかな?
空間魔法だと、自分の周りに薄い膜を張ってスペース確保はできるけど、身を守る程の強度は無いよ。
空間は作れても、外からの攻撃には弱いから、外からの攻撃のない場所、時間魔法との合わせ技で、異次元に部屋を作るのはアリかもよ。
それか、結界魔法の中で空間魔法を使って快適空間にすれば、火の中水の中……も大丈夫かもね。
全ては熟練度を上げてからの話だから、気を付けてね 】
ほう、魔法とは何でもアリの面白いモノなのですね。
熟練度を上げる為にも魔法もタブレットもどんどん使うべきなのですね。
私はタブレットを消して、ついでにと自身を鑑定してみました。
【名前 ジョニー
年齢 19歳
種族 人族・男性
職業
健康状態 良好
《隠匿情報》
スキル タブレット・小
亜人化 言語変換 鑑定 調理 調合
魔法 火魔法・小+ 水魔法小+
風魔法・小 土魔法・小 回復魔法・小 時空魔法・小
眷属 チャックベリー(マネ鳥) フランクシナトラ(森オオネコ) ブルースリー(王様トカゲ) アインシュタイン(魔族・魔王)
ポイント累計 3ポイント
特記 異世界転生者
寿命 残り70年 】
時空魔法と眷族の項目が増えていますね………ってええー!寿命が10年から70年に伸びてる⁉︎
伸びすぎなのでは?
確か無性人の方の寿命はとても長がったですね、それに私は妻に寿命を分けますから、長いに越したことはないのですが、3ポイントで60年伸びるとは、予想外です。
1ポイントで20年なのですかねえ?
それと、火魔法と水魔法に【+】が付いているのは、料理で火と水の魔法を使うからですかねえ?
交換だけして使っていない調合も試してみないといけませんし、色々忙しくなりそうですね。
補足
アインの住む場所から飛んで行くと、野宿する必要の無い距離にある村なのですけど、夕方に着くと、村人達も夕食の準備や何やらで忙しいだろうから、到着時間を午前中にする為の時間調整の為の野宿……と言った感じです。
食事を取らないアインにすれば、客を招く為の食事の準備をする部下を、大変だなぁといつも見ていたので、気を遣った………と言う事だと思って下さい。




