助っ人追加
辻褄が合わないところが出てきましたので、部分的に改稿しました。
………今更ですが!
書類を見てみると、ここに居たのは10歳の人族とのハーフの女の子と、生まれて4年の獣人族ハーフの女の子の様です。
二人とも同じ場所に連れて行かれていますね。
連れて行かれたのは、医者……医位の位を持った人の屋敷です。
マップで確認したところ、この施設から北に有る屋敷のようです。
「どうやら位の高い方の様で、大きな屋敷で暮らしているそうですよ。
警備もそこそこ居たようです」
アインが子供を届けた職員から、さらに詳しい情報を聞き出したところ、屋敷も大きく、庭も広く、門だけではなく、庭にも警備がウロウロしていたとか。
「余程後ろめたいことがあるのでしょうね」
アインの言葉に頷きます。
しかし少々困りましたね。
子供が同じ場所に連れて行かれたのは、助け出すのが一度にできるから良いのですけど、広さがあり警備が厳重なら、人手が足りない気がします。
チャックには、空から全体の警戒をお願いしたいですし、シナトラは暴走しない様にアインと行動を共にしてもらうとして、私も一人ではちょっとばかし心許ないですね。
かと言って、皆まとまってと言うのは時間の無駄ですよね。
せめて後一人居れば良かったのにと考えていた時、
〈あー、なるほどね、この事だったんだね 〉
ティちゃんの呟きが聞こえてきました。
〈ねえ、ジョニー、アンタの昔の知り合いで、近距離戦の得意な人って居ないの? 〉
近距離戦と言うか、喧嘩の強い奴らなら、チームにモリモリ居ましたけど。
〈その中の一人喚べば戦力補充できるんじゃないの?
ほら、もう一回サービスの… 〉
あー、リーンカーネーションが2回使えるって言ってましたね、変なテンションのティちゃんが。
え?異世界から助っ人喚ぶの?
それってアリなんですか?
〈ほらー、元々は異世界から人を呼ぶのって、勇者召喚とか、英雄召喚、聖女召喚とかが王道なんだから。
だから全然OK、但し殺人鬼とか、ヤバいレベルの犯罪者は、喚んだとたんに送還されるからね 〉
私の知り合いにそんな人はいませんから。
え?でもマジで喚べるの?チームの仲間の内の誰かを?
うわっ、マジかよ、え?一人だけ選べって?難しすぎる。
ここはやっぱりヘッドを喚ぶ?
いや、俺と肩を並べてたマーク?それとも……。
懐かしい顔を思い浮かべていたら、
「どうしたんですかジョニー、あまり時間がありませんから、早く決めましょう」
アインに名前を呼ばれた。
そんな私の頭の中に、ふと一人の先輩が思い浮かんだ。
その先輩に憧れて、俺も鉄パイプを振り回す様になった。
その先輩の隣に並びたくて体を鍛えた。
その先輩がバイクを譲ってくれた。
その先輩が駆け落ちのカンパを集めて回ってくれた。
その先輩が居たから俺のニックネームはジョニーになった……。
もう一度一緒に暴れたいな…
「力を貸して下さい、城島 賢治先輩……」
眩しい白い光があたりを包む。
その光が収まると、そこに居たのは懐かしい顔。
「ん?あれ?ジョニー?
え?コレ夢だよな?最後に会ったジョニーよりちょっと成長してる?
え?ちょい待て、なんか俺の声も若くないか?」
「ジョージ先輩、お久しぶりっす!
先輩の力を貸してもらいたくって、異世界まで喚んでしまいました!
サーセン!!」
「は?異世界?なにこの夢、娘の部屋の本棚に有った小説みたいな流れだな」
「今ちょっと時間が無いので、記憶を流します。
ちょっと手を握らせていただきます」
私はジョージ先輩の手を握り、今回の襲撃のダイジェストを倍速で流し込みました。
「うわっ、何だコレ、目が回る」
最初は戸惑っていた先輩ですけど、直ぐに表情が変わりました。
映像を流し終わった頃には、眉間に深い皺が寄っていて、目つきも座っています。
「これマジか?
今現在起こっている事?」
「そうなんっす、それで戦力が足りなくて、先輩を喚んでしまいました!
………力、貸してもらえますか?」
「ったり前だろ!
大人が勝手に子供の自由を奪うとか、マジ許せんし」
「アザース!!」
「詳しい事はまた後で教えてもらうとして、直ぐに助けに行こう」
正義感の強い人だから、力を貸してもらえると思いましたよ。
今回の事以外の詳しい事は何一つ説明できていないのに、力を貸してくれるなんて、流石ジョージ先輩。
何年も顔を合わせていなかったけど、きっと先輩もいい歳だろうけど、昔のノリにこんな時なのにワクワクドキドキしてしまいます。
「あ、先輩、コレ俺のなんですけど、宜しければお使い下さい」
マジックバッグから鉄パイプを出して手渡す。
「おー、懐かしい感触だな。
でもお前の得物借りたらお前どうやって戦うんだ?」
「俺にはコレが有りますから」
わかりやすく掌に火の玉を出して見せると、ジョージ先輩はとても驚いた顔をしましたが、すぐにそれを納めて、
「その辺も後で聞くとして、早く移動しようぜ。
えーと……アンタ達との自己紹介も後でいいよな?」
私達のやり取りを黙って見ていたアイン達に、先輩が問いかけます。
「そうですね、今は時間が惜しいですから………。
ジョニー、私にも後で説明をお願いしますね」
ニッコリと笑うアイン………怖い。
色々終わった後、私は無事で居られるのでしょうか。
ワクワク顔のシナトラと、胡散臭げなチャックを連れて、私達は位持ちの屋敷へ向かいました。
ジョージ先輩の詳細は後日に。
ジョニーは無言で(ティちゃんとの脳内会議で)相談も無く召喚した事、2回も召喚出来ると聞いていなかった事など、色々と叱られます。
コレはご想像にお任せいたします。
ジョージ先輩のテンションは見た目の十代の頃の物ですけど、大人になった記憶は有ります。
その辺も纏めて後日に。
説明より先に進めます。
次回は短い閑話の様な話が入ります。




