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名前の由来

毛布を持って戻って来たアインは…二人になっていました。


「分裂しましたからね」


一人はシナトラに毛布をかけてくれています。

もう一人は持って来たお茶を配ってくれています。

分裂したから当たり前なのですけれど、そっくりですよ。

ただ、先程までより背が縮んでいる様な気がします。


私が不思議そうに見ていたからでしょうか、

「分裂しましたから、多少小さくなっていますけど、すぐに元の大きさに戻りますよ」

「そうなんですか、不思議ですね」

「コイツは我の事を規格外だとか言っておったが、コイツも充分規格外だからな」

私からすれば二人とも……いえ、

「他に無い能力を持っていて、お二人とも凄いと思いますよ」

そう言うと、二人とも少し面映い笑顔を返してくれました。



「そう言えばコイツの名前は天才からだと言っておったな」

「そうですね、私が知る歴史上でベストスリーに入る天才ですね。

アインはとても頭の良さそうな方ですから」

二人並んだアインが「ふふふ」と笑っています。


「なら我の名前はどうなのだ?」


身を乗り出してブルースが尋ねてきました。


「元居た世界でブルースの姿は【ドラゴン】と言う最強の想像上の生き物なんです」

「想像上?」

「伝説や神話やゲームなどに出て来ます。

西と東の地域で姿の差が有るのですが、どちらも偉大で最強。

誰も見たことのない筈なのに、多少の個性は有ったとしても【ドラゴンと言えばこの姿】と言う形が有るのですよ。

そのドラゴンに因んだ(?)方の名前で、私の知る中で、肉体で戦う最強の漢(の俳優)です」

私の答えに満足したのか、ワハハと笑っています。

私はチャックと視線を合わせました。


「なんだよ、オレの名前はお前の元家族の名前なんだろ?」

「そうですね、家族の名前からですけど、元になったのは、ロック界…音楽界の伝説と呼ばれたミュージシャン…音楽家の名前から付けたのですよ」

私の仲間内では【ロックの神様】とも呼んでいましたね。


「天才に最強に伝説ですか……随分と凄い名前ばかりですね」

「ではそこの子供は?」

頷くアインと、シナトラを指さすブルース。


「ブルースと同じ様な感じなのですが、元の世界に【虎】と言う動物が居まして。

【トラ】と言えば…で思い浮かんだ歌手の名前です」

「………………」

「………………………………」

「……………」

おや?なぜか皆さん無言ですね。

その無言を破って、呆れた様にチャックが言いました。


「あのさぁ、この名前の話はシナトラにしない様にしなよ」

ブルースとアインが頷いています。

「なぜでしょう?」

「………そこは自分で考えろ」

「はい…」

三人が同じ意見なのなら、そうした方がいいと言う事ですね。

シナトラ本人には言わないでおきましょう。




「お腹すいた!」

机にうつ伏せていたシナトラが、頭を起こすと同時に叫びました。

私達はと言いますと、チャックは庭へ出ています。

ブルースは寝椅子に横になり寝ている様ですね。

私はアインにこの世界の文字ほの書き方を教わっています。


「そう言えば我もすいたかな」

あ、ブルースは目をつぶっていただけの様ですね。

彼も起き上がりこちらを見ています。

「そう言えば結局お昼は食べていませんでしたね」

食事をしようとしていたところ、ブルースが飛来しましたから。


「すみませんアイン、何か食べる物はありますか?」

何か分けてもらえればありがたいと尋ねたのですが、

「私達魔族は食事をしませんから、飲み物以外は無いんですよ。

来客がある時には食材を準備しますけど、今回は急な事でしたから……」

すまなさそうに言われました。

そう言えば魔族の方は食事を必要としないんでしたね。


いつもの様にチャックが木の実やハーブなどを採りに、シナトラが狩に行こうとしていると、ブルースが

「狩なら我に任せるが良い」

と、連れ立って出て行きました。

残ったのは私とアインが二人です。

そのまま文字を教わりながら、アインと話をして待つことにしました。


「分裂した一方はここに残り、魔王としての仕事を続けます。

そしてもう一方があなた方に同行します。

そこで、この世界の知識をお教えするとしても、まずは今現在の情報のすり合わせからだと思うのですが、色々細かい事を教えて下さいますか」


一旦ペンを置いて、聞かれたことに答えましょう。

言われて隠すことでも無いですので、今までの出来事と、これからの目標、最終的な目標や、自分の能力などを伝えました。


ポイントの説明が厄介でしたけど、なんとか理解してもらいました。

やっぱり異世界と言えども、ポイントで能力と交換するなどと言うものは無いそうです。

経験を積んだ事により、できることが増えて行くと言うのですが、それはどの世界でも共通ですよね。

幸せを感じる事で能力を…と言うのは非常識だと言われてしまいました。

私もそう思いますけど、これはこう言うものと開き直るしか無いと思います。


鑑定は色々便利ですが、許可無く他人を鑑定しない様にと言われました。

それはそうですよね、個人情報は保護しないといけません。


タブレットに関しては、説明しようがありませんでした。

パソコンの様なもの、と言っても、パソコンの無い世界ですし、パソコンを詳しく説明する事は、年寄りには難し過ぎて……。


「色々教えてくれる見えない案内人の様なもの…ですかねえ」

何とか説明しようとしましたけれど、アインに

「知識を司る妖精みたいなモノですか?」

と言われて、少し面倒になったので、

「そう、それです」

と言ってしまいました。


因みに、鑑定もポイントの事も、タブレットも、別の世界から来たと言う事も、本名も全て秘密にしておく様にと言われました。


秘密だらけでミステリアスですね、私。


読んでくださりありがとうございます。

ブクマや評価いただけるとありがたいです。

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