表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/231

リーンカーネーション

気持ちが決まれば、後は喚ぶだけです。


ですがその前に……。

服や靴など、着る物は数着準備しました。

好みがありますから、数を揃えるのは、本人が来てからですね。


部屋は私と一緒ですけど、一応布団は用意しました。

一緒の布団でも良いんですけど、一応ね。



「町の人達にも、妻を喚ぶ事を伝えた方が良いのでしょうか?」

「こちらに来られた後に、故郷からいらしたと伝えればいいと思いますよ」

「喚ぶなら朝が良いのでしょうか、それとも夜の方が良いでしょうか?」

「昼で良いのではないか?」

「遠くから喚ぶのですから、喉が渇いてるかもしれませんね、お茶の準備も必要ですかね?」


「「「取り敢えず落ち着け」」」


いよいよ明日妻を喚ぶとなったら、ドキドキして落ち着かず、リビングの中をグルグルと歩き回っていると、

「明日失敗しない為にも、今夜はしっかり休むのが良いんじゃないのかな」

「コニーの言う通りですよ。

今日はゆっくりと寝て、明日は体調万全で魔法を使うのが良いと思いますよ」


さあさあ、部屋へ戻って下さいと、アインに背中を押されます。


「明日からは寝室は別になるのだろうから、チャックもシナトラも今夜はしっかり甘えときな」

「いつも甘えてなんて無いし!」

「え〜、明日から父ちゃんと一緒に寝れないの?」

コニーに送り出されたチャックとシナトラも、一緒に寝室へ向かいます。


「ねえ、父ちゃん、オクサンが来たら一緒に寝ちゃあダメなの?」

シナトラが不満気な顔で尋ねてきます。

子供とは言え、見た目は立派な成人男性のシナトラと、妻が同じ部屋で寝るのは、やはり抵抗が……。


でも、この一年半以上一緒の部屋で(或いは同じ布団で)寝てたのに、いきなり別々なのも、ちょっと可愛そうかも知れませんね。

それにチャックの魔素の循環も、出会ってから今までで、随分と良くなってきましたけど、完全に良くなったわけでも無いですから。


「うーん、たまには一緒に寝ようね」

「わーい!約束だからね」

喜ぶシナトラに頷きながら、

「勿論チャックも一緒に寝ましょうね」

チャックに声をかけると、

「べ、別にオレは一緒じゃなくても…」

と言いながらも嬉しそうです。


寝室で横になり、3人で話しているうちに、いつの間にか眠りに落ちていました。



翌日、午前中はソワソワしながら過ごし、昼食を食べて一休みした後、いよいよ魔法を発動させる事になりました。


イメージを固める時間もありましたから、バッチリです。


最初は、

『異世界から転生して召喚だか…、転生と言えば、魔界転○ですかね、あれってちょっと怪しい雰囲気もありましたよね』

と言う考えが浮かんだのですけど、魔界じゃないので、却下。


召喚だから、呪文は『エ○イムエッサ○ム』……いや、これも悪魔が来そうですよね。

それなら『エ○エ○アザラ○』…コレも違ーーーう!


いやいやいや、呪文は『リーンカーネーション』でいいんですよ、イメージが大切なんですから。


えーと…思い浮かべるのは、出会った頃ではなく、共に月日を過ごした後のを妻……癌の告知を受ける前の、穏やかな日々を過ごしていた頃の彼女。


色々乗り越えて、人生を重ねてきたあの頃、その妻を喚ぶのです。

あの笑顔、困った顔、拗ねた顔……私を見るあの視線………。

あの頃の妻が、今の私と同じ年齢の姿に入っていたら、どんな感じになったでしょう。



そのイメージを何度も頭の中で繰り返し、思い浮かべました。


亡くなった直後、妻の中から出た魂に語りかけ、呼び寄せるイメージで、喚びます。


ねえ、私との人生は幸せでしたか?


ねえ、もう一度私と人生を歩みませんか?


ねえ、二人でたくさんの家族に囲まれて、過ごしてみませんか?


ねえ、皆と一緒に幸せになりませんか?


ねえ、この世界でちょっと頑張ってみたんですよ。


ねえ、すごす町を、家族を、仲間を、ご近所さんを作ったんですよ。


ねえ、コレからまだまだ変わっていくこの町を、一緒に育てていきませんか?


ねえ、また私を愛してくれませんか?


ねえ、また私に愛させてくれませんか?


ねえ、今度は一緒に…………



「私の元へ来てください、【リーンカーネーション】」



目の前が白く光り、眩しくて目を閉じました。

瞼越しに光が収まったのが分かったので、目を開けると、そこには……………。  





やっとここまで辿り着けました。

描き始めた頃は、100話に行く前に再会するかな…なんてめちゃ甘い見通しでした………倍かよ!

話はもう少し続きます。

でっかいフラグかいしゅうも有りますので……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ