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グルグルうだうだしてしまいました

「と言うわけで、妻を喚べる事になりました」

朝食の席で、皆に報告します。


「おお、思ったより早かったな」

ブルースが肩をバンバン叩きながら言います。

「そうですね、私ももう少しかかると思っていました」

「まあ、早いに越した事はないな」


「父ちゃんの奥さん?

なら母ちゃん?」

シナトラが首を傾げながら聞いてきます。

「そうですね、そう呼んであげると喜ぶと思いますよ」


横からチャックの突っ込みが入ります。

「いや、『母ちゃん』はどうなの?

せめて『母さん』じゃないの?」

「ではチャックは『母さん』と呼んで下さいね」

「ちょっ…そんないきなり……、そんなの会ってみないと………」

赤くなり焦った声で、小声でブツブツ言っています。


「良かったですね、再開できる事になって」

アインの言葉に頷きます。

「そうですよね、普通なら二度と会う事なんて出来ないですもんね。

『次に生まれ変わったら…』とかドラマとかで耳にしますけど、生まれ変わったら、その生まれ変わりの人の人生で、『後藤 丈二』の人生では無いですから。

私は私として、妻と再び会う事が出来るのが、凄く嬉しいです」

アインはニッコリ微笑み、頷いてくれました。


「ジョニー頑張ったもんね、町も住みやすい場所になってると思うし、住民の皆も穏やかに暮らしているから、奥さんが見たら喜んでくれるんじゃ無いの」

「ありがとうコニー。

きっと喜んでくれると思います」


皆、笑顔で祝福してくれます。

勿論私も笑顔が絶えません。

ああ、本当に嬉しいですね。


「で、その奥さんはどんな女性なのだ?」

「あ、僕も気になる」

「そうだね、俺は詳しい具体的な事、聞いた事無いから教えて欲しいな」

ブルースとシナトラとコニーが尋ねてきました。


「妻ですか?

名前は百合江と言います。

お金持ちのお嬢様でしたけど、家族と反りが合わなくて、私と駆け落ちしたんです。

苦労を沢山かけました。

貧乏で、お腹いっぱい食べる事ができない時期もありました。

定職に就いてからも、慣れない仕事で八つ当たりした事もありました。

それでも私についてきてくれました。

家にいる頃は、料理も掃除もした事がなく、働いた事もないのに、本を読んだり、近所の人に聞いたりしながら、美味しい食事を用意してくれました。

家を買ってからは、庭に花を植えるだけでなく、ちょっとした家庭菜園を作ったり、古着をリメイクしたり。

贅沢と言えば、年に一度の旅行くらいでしたね………。

苦労ばかりかけていました……」


妻を思い出しながら話していて、ふと思ったのですけど…、


私は妻に会いたいですけど、果たして妻は私と再会したいでしょうか?


もしかして、亡くなる事によって、私から解放された、などと思っていたらどうしましょう。


浮かれた気分が萎んでしまいました。

その不安を皆に言うと、


「気にしすぎなんじゃない?

ずーっと仲良く暮らしてたんでしょ?」

と、チャックが軽く聞いてきます。

仲は良かったです。

喧嘩もした事がありません。

…私が八つ当たりしても、話を聞いてくれている間に落ち着いて、そこから喧嘩になるなんて事もなかったです。


「万が一再会したくなかったと言われたら、再び会えて良かったと思われる様にすれば良いのではないですか?」

「そう…ですね、アインの言う通りすね」

「悩んでも仕方なくない?

その為に頑張ってきたんでしょ。

ここで辞めたら、アイデンティティ崩壊でしょ」

「コニー……そうですよね、ここまで頑張ってきたのは、再び会う為です。

ここで辞めたら、今までの行いを否定する事になりますよね」


『ちょっと大袈裟過ぎない?』と言うシナトラの言葉は聞かなかった事にします。

チャックに蹴りを入れられていますけど、それも気付かなかったと言う事で。


「お前らしくないな、グダグダ悩まずに、やると言った事はやれば良い。

結果は後でしか分からぬのだから、まずはやれ」

ブルースが私の背中をバン!と叩きます。


「はは…グダグダ言ってすみません。

誰かに背中を押して欲しかっただけでしょうね。

なんだかんだ言っても、会いたいのですから、再会したら後悔させない様に、幸せにしてみせます」

拳を握って宣言すると、アインに首を振られました。


「幸せにするのではなく、皆で幸せにならないといけませんよ」

「だね、俺達もまとめて皆で幸せにならないと」

「僕は今でも幸せだよ!」

「シナトラは単純だからね。

……まあ、オレも幸せだけど」

「背中ならいくらでも押してやる。

皆で幸せに過ごそう」


皆の笑顔が嬉しいです。

視界が潤んでしまうのは仕方ないと思います。


妻を喚んで、皆で幸せに暮らす…最初からそのつもりだったのですから、初心を忘れずに、皆で幸せになりましょう。


私は妻を喚ぶ覚悟を決めました。





そこでふと気付いた事が………



今の家族構成、男性6人、両性1人、女性0……。

しかも半数は見た目成人男性って、倫理的にどうなんでしょう……。





家族構成の男性6人は、ジョニーも入れてです。

デイビッドは既婚者で、奥さんの家で暮らしているので、数に入れていません。

半数の見た目成人男性は、シナトラ、ブルース、アインです。

ジョニーの中では、真名をつけたか付けてないかで、家族か、家族以外かに分けています。

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