表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/231

じゃあまたね

「いい加減にしないか、二人とも。

水色のは無理強いしないと言う話だったろう。

ブルースも若い奴を揶揄うものじゃない」


その場を収めたのはヨルゼル氏です。

流石アインの半身、強いです。


《……そうね、落ち着いた方が良いわよね、貴方も私も》

言いながらエイティンさんはため息をつきます。


《……………すまない。

そうだな、別にこんなジジを無理やり誘うことは無かったんだ。

つい、同種より人族を選ぶってのが頭にきた》

一旦落ち着いた水色の方なのですが……


《またそんなこと言って。

貴方風の方を探していたじゃない》

《なっ!!》

《亜人化したけど、やっぱり人族とは相容れなかった様だから、島でゆっくりして欲しいって言ってたの、私聞いてたわよ》

《なっ! べ、別に! いや、俺、そんな事!》

エイティンさんに暴露されて、とても焦って取り乱しています。


「ほぅ、坊は我の事を心配しておったのか」

《だから違うって!》

人の悪い…いえ、意地の悪い(あれ、あんまり変わらない?)ブルースは、ニヤニヤと追い討ちをかけます。


《ま、まあ、真名を貰ったからって、精々後五十年くらいの事だろ、その後島で老後をのんびりすれば良いだけだからな。

そんな島が有るとだけ覚えておいてくれれば》

「ほほぅ、我の老後の心配までしておるのか」

《だから……あー、もう!》


揶揄いモードのブルースが、更に追い討ちをかけます。

「お前で遊ぶのも良いが、コイツの規格外が面白くての。

寿命も後300年以上有る様だし、我の寿命の方が先に来るだろうな」

《は??300年??!!》


面白かろうと笑うブルース、固まる水色の方、目を見開きこちらを見るエイティンさん、「そこまできましたか」とヨルゼル氏。

そして………


「ねえ、私そこへ行くわ」


マイペースなルシーさん………え?ルシー遠くへ行っちゃうんですか?


「私真名は付いてないし、亜人化して生活してたけど、元の姿に戻ってそっちに行っても良いかなって」

「え、ルシー、何か不満でも有るのですか?」

楽しく日々を過ごしていると思っていたのに。


「不満なんて無いわよ、ご飯は美味しいし、祭りは楽しかったし。

でも前みたいな全力が出せないのが、ちょっと窮屈かなって。

細かい決め事が面倒ってのも有るけど、んー…なんて言うのかな、なんか私違うって感じがするの。

ご飯は美味しいんだけどね」

確かに初めの頃は窮屈そうでしたけど、随分慣れてきていると思っていました。

もしかして、ご飯が美味しかっただけ?


「元々私って、人族に狙われるのが嫌で、なら亜人化しようって無性人を探してたんだもん。

人族の居ない場所があるって言うのなら、そこに行くのもアリなのかなって」

そうでしたね、そう言う始まり方でしたよね。


「それに他にも同種がいるんでしょう?

私、ブルースおじさん以外の王様トカゲって会ったこと無いの。

それにいずれは卵も生みたいって思っているし、私以外にも雌が居るなら、お友達になれるかもしれないし。

だって今の仲間って皆んな雄なのよ?

友達作りたかったのに雌が居ないんだもん」


ああ、すみません、確かに雌……女性は居ませんでしたね。

どうしても妻以外の異性を身近に置きたくないと言いますか、どう扱って良いか分からないと言いますか。


《え?友達になってくれるの?》

「是非お願い!

それにそっちの雄は強そうだから、思いっきり挑めそうだし」

《あら、貴女脳筋タイプなの?》

「のーきん?」

《拳で語り合おうぜ!ってタイプ?》

「よく分からないけど、思いっきりぶん殴っても丈夫そう」

《あははは、大丈夫、もし怪我しても私が回復魔法で治すから、いくらでも挑んで良いよ》

《え、ちょ……何を……》


うわーいと単純に喜ぶルシー、【初友達】と嬉しそうなエイティン、何やら巻き込まれている水色の方。


「ねえ、ブルース、やっぱり元の姿で暴れるのって、スッキリするの?」

小声で私が聞くと、

「そうだな、全力を出せる故、スッキリするのは当然だな」

ブルースも小声で返してきます。


そうなんだ、全力は出せないし、それまでとは違って色々細かい決まり事はあるしで、ストレスが溜まっていたのかも知れませんね………あのルシーですが。


「でもちょっとだけ心配があるんだけど」

急に表情を無くすルシーに、エイティンが焦ります。

《え、何か不安でもあるの?

何かあるなら言って、できる限りのことはするから》



「その島ってご飯美味しいの?」




半月後、ルシーは元の姿に戻り、西へと飛び立って行きました。

勿論、私とヨーコーが腕を振るい、盛大な送別会をしましたよ。


異性としてでは無いにしろ、ルシーを慕っていたヨーコーはショックだった様です。

案外懐いていた白雪も、随分引き止めていました。


二度と会えなくなるわけでも無いし、元々仮の名付けでしたけど、仲間が旅立つのは少し寂しく感じます。


今度会う時には、また美味しい物を沢山食べさせてあげましょう。


じゃあまたね、ルシー。




   〜蛇足な補足〜

女性の転生者を出したい、と言うか、【蓮の花に〜】の部分を書きたいと、70話を書いている辺りで思いまして、こんな所まで来てしまいました。

しかも六話も……。

ルシーが抜けるのは最初から決めてました。

同種の彼氏が出来て付いて行くはずが、友達とサンドバッグ……思いっきりジャレつける相手に付いて行く形になりました。

色々変わりますねぇ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ