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時間が経つのが早くって…

《そんなこんなでドラゴンに…王様トカゲになったの》


彼女のかいつまんだ一生の話を聞いたのですけど…ハッキリ言って胸糞悪いですねぇ。

私の妻も家族から虐げられていましたけど、ここまででは無かったです。


「私がその場にいたら、周りの連中ぼてくりまわしてけたぐってやったのに」

《あははは、何それ、方言?

でも今が楽しいから、過去はもう良いの。

転生したばかりの頃は人族だけじゃなくて、亜人も怖かったけど、ほら、私王様トカゲでしょ?

めちゃくちゃ強いのよ?

羽ばたいただけで人は転がって行くの》


まあ、そうでしょうねぇ。

基本的に大きさが違いますし。


《きっと転生した頃の私なら、貴方を見ただけで逃げ出していたかも。

でも今、とても幸せで楽しく暮らしているから、大丈夫なの。

そのいかにもな日本人顔も怖く無い理由の一つかな、とても懐かしく感じるわ》

「…強いお方なのですね」

《そうね、生まれ変わって120年も経つと、過去はずいぶん遠いわ。

仲間と時間が私を癒してくれたの》

「120年ですか……因みにお亡くなりになったのは何年くらいですか?」

《平成最後の年よ。

でもいつ死んだかなんて関係ないみたい。

飛ばされて来るこの世界の時間はランダムみたいだから》


そうなんですね、私てっきり明治時代生まれとか、その辺りの生まれの方かと思いましたよ。

その割には話の内容が明治生まれにはあり得ないなと。


《最初はこの身体をうまく動かせなくて、動きはおぼつかないし、王様トカゲなのにブレスも出せないしで、生まれ変わってもまた孤立するのかと思ったわ。

でもね、優しい悪魔さんの特典のおかげで歴代最年少のおさの補佐になれたの。

今の私は郷になくてはならない存在なのよ!

な〜んてちょっとドヤってみる私》

「特典、ですか?」


《私ね、王様トカゲで唯一の回復魔法持ちなの》


胸を張って顎を上げるエイティンさん。


《そうだぞ、エイティンは凄いんだ。

怪我や病気だけじゃなくて疲れも取れるんだぞ》


水色の方も話に混ざって来ます。


「ほう、我の他にも回復を使える奴が居たのか」

ブルース迄も会話に加わって来ました。


《え⁉︎ ジジ回復魔法使えるの?》

「はははははは、我を誰だと思っておる、回復魔法くらい楽勝よ」

《やるな、ジジ》

「そう思うのなら我をジジイ扱いするのをやめろ」

《ジジはジジだろ》


また二人でじゃれあい……言い争いを始めましたので、放っておきましょう。


「私はこの世界に来てまだ2年にもならないのですけど、ようやくこの世界独特の呼び名に慣れてきました。

でもやはり違和感が有るんですよね。

エイティンさんも思いませんか?

ドラゴンなのに王様トカゲと呼ばれる違和感とか」


そうなんです、つい先日も家の近所でオコジョを見かけて、

「あ、オコジョが居ますよ、可愛いですね」

と言ったら、チャックから

「アレは長ネズミなんだけど」

と突っ込まれてしまいました。

確かに長いですけど、オコジョってネズミじゃ無かった気がするんですけど…。


《ほら、日本でも良くあるじゃない?

【蓮の花に似てるから蓮華】【金魚のようだから金魚草】【朝に咲くから朝顔】【猫の尾に見えるから猫柳】とか色々と。

多分そういった感覚だと思うの。

だからこの世界の大雑把な名付けが特別おかしいと、私は思わないかな。

学者も居ないし、遺伝子を調べたりなんて出来ないから、見た目でわかりやすく呼ぶしかないと思うわ》


成る程、そう言われてみればなんとなくですけど、納得できますね。

そのうち其々が違う生き物とわかって、個別の名前を付けられる時代も来るかも知れませんね。


オコジョはネズミじゃ無いと判明する時も来るでしょう。

……イタチでしたっけ? 



《ああ、もう!分かった、分かったよ!

ソイツは人族だけど良い奴で、人族だけどエイティンと同じ様な生き物で、無性人生じゃ無いのに名付け出来る上に、人族なのに魔族並みに魔力が有って、人族なのにジジ以上に規格外って事なんだな》

「そうだ、コイツは規格外過ぎて尻拭いが大変なのだぞ。

だが器は大きくて情に熱く、真面目で向上心が有り、一人で抱え込みがちで案外キレやすく、よく考えるが割と思いっきりが良く、そのくせにグジグジ悩む事も有る奴なのだ」


…………ブルースさん、後半それ、褒め言葉じゃ無いですよね?


《あ…ああ、分かった。

人族だが、人族から外れた規格外、で良いんだな》

うむ、と大きく頷くブルースさん……。


取り敢えず水色の方の、私への警戒心は無くなった様です。

ブルースとのミーティングは決定的ですね、顔を貸してもらいましょうか。


じっとりとした視線をブルースにやると、いかにも「しまった」と言いたげな表情をして視線を逸らしました。


そんな私達に、案内の後仕事に戻っていたヨルゼル氏が、裏口から顔を覗かせ声をかけて来ました。


「そろそろ日が暮れますけど、話し合いは終わりましたか?」


「「《《 ……あっ!》》」」


辺りを見ると、沈みかけた夕焼けで、空の一部がオレンジ色に染まっています。

結構時間が経っているのに、話は何も進んでいません。


今日は一旦解散で、明日の昼過ぎにもう一度会う事となりました。


いつの間にか姿を消していたルシーは、応接室でお茶を飲みながらオヤツに山盛りソーセージを頂いていました。

………ソーセージってオヤツでしたっけ?

ちょっと前にハンバーガー食べてませんでしたっけ?


取り敢えず一旦帰ります。




ジョニー「エイティンさんは名前は自分で付けたのですか?」

エイティン「そうよ、ドラゴンだからね。ネタっぽいのを避けると女性はコレしか無かったの」

ジョニー「????」


ジョニーは所々で方言を使っていますけど、わざとですよ〜。

ふわっと出身地が九州方面だな、と思っていただけたら。

九州のどこ、とまでは明記しません。

あくまでもそっちかな、と言う感じで捉えていただければ……。

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