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進めダンジョン 2

「いや、アレな、非常にレアな薬品を作る材料になるんだ。

だから出来ればギルドが対策して採取したいって話なんだよ」

「んな事知るか!

激ムカつくんやけん、んなクソ植物燃やし尽くしちゃる!」


「ジョニーよ、落ち着け。

こんな洞窟の中で火魔法など使うと、我ら全滅するぞ」


………そうですね、火魔法など使うと酸欠になってしまいますね。

何だか変な言葉遣いとかボソボソ言っているチャックやシナトラを危険に晒すところでした。

ブルースの言葉に少し頭が冷えました。


それでも想い出を汚されたようで頭にきているのには変わりありません。

ギルドの利益など私には関係ありませんから、風魔法で切り裂いてくれましょうか。


私が魔法を発動しょうとしているのに気付いたラルーセンさんが、再度止めてきます。


「いや、ホントに待って!」

彼が言うには、アレはシフルって万能薬や、リベルって蘇生薬を作る原料の一つで、大変貴重なモノらしいです。

この大陸には自生していなく、別の大陸から輸入しているそうなのですが、量も少ない上高額なので、薬自体も位持ちの方でさえ、おいそれと手が出せない程の値段になってしまうとか。


更に言うなら、コレは餌を吸収する時、獲物の魔素も吸収するので、この大きさまで育っていると言う事は、魔素の含有量も相当量あり、質の高い薬ができるとか。


「これだけ量が有れば薬も大量に作れるだろう。

そうすれば値段も安くなるし、一般人でも手が出せる様になるかもしれないだろ。

そうすれば助かる命も増えるんだ」


この世界には高度医療は有りません。

回復魔法が有っても、あればあくまで【回復】であり、本人の再生力を活性化させるものですから、全てが治るものではないです。

しかし万能薬なら、生きてさえいればどんな怪我であろうと、不治の病であろうとも治るそうなのです。

蘇生薬に関しては、死後直後なら生き返る事ができ、生き返らせて万能薬を飲ませれば、後遺症もなく元に戻ると。


なんと都合の良い話でしょう。

そんな都合の良い物が、前の世界にも有ったなら…。

そんな考えが浮かびましたけど、その二つが有れば、今度こそ何があっても妻と一緒に天寿をまっとうできそうですね。


「………わかりました、細切れにするのは辞めておきましょう」

私が拳を下ろすと、ラルーセンさんは、ほっと安堵の息をこぼしました。


「しかし危なく無いのか?」

風魔法で匂いを散らしつつ、ブルースが尋ねます。


「調査の時は風魔法の使い手が居なかったから、強力な風魔法の使い手を手配中なんだ。

風魔法である程度の大きさに切り刻んで、時間を止められるマジックバッグを集めて、持ち帰る事になってる。

時間を止められるマジックバッグがなかなか集まらなくてな」


一般的に出回っているマジックバッグは、容量はピンキリですけど、時間を止める機能が付いている物は稀なのだそうです。

それなら………


「それなら我らを頼るが良い。

風魔法なら我とジョニーが得意だし、状態保全のマジックバッグは我ら皆持っておる」

更に言うならアイテムボックスも有りますしね。


「え?それは好都合。

だが俺が勝手に判断して良いかわからんなぁ」

まあ、職員になったばかりですから、勝手に物事を判断できないでしょう。


「餌も獲り尽くしてるようだし、グズグスしておると枯れるぞ。

それに我らのやる事に異議を唱える者もおらぬだろう。

良からぬ事をする訳でなし、お前は黙って見ておれば良い」

まあ確かにマリリンさん達なら、越権行為だなど文句を言う事は無いと思えます。


「それにコイツもストレス発散になるだろう」

ああ、そうですね、確かにこの苛立ちをぶつけて、切り裂いてやりたいですね。

でも…………。


「……………………そうだな、枯れさすよりはマシか。

ならあまり粉々にしない程度でよろしく」

考えて了承したラルーセンさん。

ブルースは私の背中をバンと叩き、耳元で囁きました。


「ああ言っておるが、お前の気の済む様にすれば良い。

なに、やってしまえばこちらのもんよ」

にゃりと悪い顔で笑うブルースは、私の為に言ってくれているのですね。

それでも私は………。


「確かに細切れに切り刻んでやりたいですけど、大層重要な薬作りの材料の一つなのでしょう?

それなら細切れにして取りこぼすのは勿体無い事ですよね」


ですから…と私は魔法を発動します。


「瞬間冷凍」


イメージは冷蔵庫のCMなどで、冷凍庫魚が瞬時に凍るイメージ映像。

生魚が早送りで凍りつく演出。

一気に凍らせるなら、液体窒素でも良いかと思いましたけど、液体窒素で凍らせた物を思い浮かべた時、バナナで釘が打てるし、薔薇の花は砕けて粉々になる映像です。

うっかり落として粉々になるのも困りますから、冷凍庫のイメージにしておきました。


「アイテムボックスに仕舞って、必要な分量を解凍して渡せば良いですよね」

言いながら完全に凍って動かなくなった人喰い花を仕舞います。

とっとと視界から消したかったので……。


「アイテムボックス持ってたんだ」

とラルーセンさんに言われて、知られたのは不味かったかと思いましたけど、ブルースが、


「大丈夫、お前の非常識は皆知っておる」

などと言われてしまいました。

不本意です。





チャック「まあ、町づくりとかであれだけ色々魔法使いまくってるから、今更アイテムボックスくらいで驚かない人、多いと思うよ」

ラルーセン「ああ、ただアイテムボックスが使えるんだなって思っただけだ」

デイビッド「なんでもアリだもんね、ジョニーって」

シナトラ「父ちゃんの非常識は常識だよ」

ジョニー「…………皆が酷いと思うのですけど…」

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