春と言えば
ガラス製作はルリャルさんと、その弟のリュロルさんがメインとして、後は興味のありそうな男女の計4名が携わる事になりました。
「農業をやるつもりでしたけど、とても興味があります」
とやる気のあるルリャルさん。
「興味があるなら挑戦してみて、無理なら他の仕事するなり、予定通り農業をするなり、やりたい事をやれば良いよ」
農家の子供だから農業に従事しなければならない、と言う事は無いですからね。
興味がある事をやってみて、自分に合った仕事に就くのが一番です。
「確か金属を混ぜるといろんな色のガラスが作れたはずです」
手作りグラス体験の時に、金属で着色していると聞いた覚えがある様な無い様な。
「色々試して上手くいったらステンドグラスにすれば、板ガラスを作るより楽にガラス窓が出来ると思います」
別に一枚ガラスに拘らずに、ステンドグラスにして、窓の大きさに合わせれば、ガラスを使ったオシャレ窓になるのでは無いのでしょうか。
「でも取り敢えずは、砕いて混ぜて溶かして固めて、ですね。
失敗しても大丈夫なので、何度でもチャレンジしてみて下さいね」
ふわっとした記憶を元に、あやふやな私の指導のもと、ガラス製作は4人に任せる事となりました。
つきっきりで指導する訳ではなく、「何かあったら声を掛けてくださいね」という感じです。
つきっきりでいても、私もこれ以上詳しくは分からないので、試行錯誤はお任せです。
ガラス瓶が作られる様になったら、コルクで栓をするのも良いですね。
コルクは他にも使い道を考えています。
あー、やりたい事が沢山有って、どれから手をつけて良いのか迷いますね。
先春(一月)が終わり、春になりました。
畑の種蒔きの季節です。
小麦とお米は農地を広く取っています。
他にも色々な野菜や果物を育てる予定です。
育てる物は、殆どの方が実家で育てていた物を作るそうで、種や苗は持参していました。
今まで育てた事の無い作物に挑戦してみたいと言う方には、私が種や苗を集めました。
初回は手配しましたけど、来年からは今年取れた種です頑張ってもらいます。
養鶏も順調です。
まだまだ規模は小さいので、卵は各家庭に行き渡るほどは無いのですけど、私は毎日頂いております。
因みに養鶏は、デイビッドが指揮をとっています。
会話は出来ないけど、意思の疎通ができるそうです。
この世界の鶏は結構凶暴なのですけど(どう見ても軍鶏ですから…)デイビッドが睨みを効かすと言いますか、圧を与えてると言うのでしょうか……。
とにかく順調です。
チャックも意思の疎通は出来るそうなのですけど、舐めら…言う事を聞いてくれないそうです。
マネドリと大狩り鳥の差ですかね。
そして春と言えば……とでも言いましょうか、亜人さんや獣人さんの本能の季節ですよね。
ちらほらとトラブル発生です。
一人の女性を取り合って揉める方々が多発しました。
強い男性に群がる女性の方もいらっしゃいます。
やたら肉体をアピールされる方なども…。
取り敢えず、女性を取り合う方には、女性の意思を優先する様に。
肉体アピールしている方には「服を着ろ」と指導。
一人の男性に群がる方々は…夫婦と言う概念がなく、子供さえできれば良いと言う種族の方でして、これはお互いが納得するのであれば、口出しすることではないかな、と。
但し、他の種族の方々に対しては、夫婦になる事を踏まえて迫る様に、話はつけました。
無理矢理でなければ良いのでは、と言うアイン達の意見は有ります。
一夫一妻が当然で、妻一筋の私には理解し難いですけど、受け入れないといけませんよね。
住人全てに徹底させたのは、無理矢理事を致せば、場合によっては【もぐ】よ、と言う事です。
無理矢理はいけません、絶対に。
内輪に関しては、チャックとシナトラはまだシーズンではなく、ブルースは「今更発情期など無いわ」と仰ってます。
アインとコニーは魔族ですから関係ないですし、白雪はまだ赤児です。
ヨーコーはお店の常連さんにフラれたらしく、ルシーは「今回は気分じゃないわ」と、いつものペースです。
唯一、デイビッドが奥さんを迎えました。
養鶏を任せているセルグさんの娘さんで、ヴィリナさん14歳………14歳⁈
あ、うん、そうですね、この世界では生まれてからの年数は関係ないのですよね。
だってデイビッドは見た目三十代ですけど、8歳ですもんね。
14歳と言えば、姉さん女房ですね。
見た目10歳くらいなのですけど………………。
セルグさんも小柄なのですけど、猛禽類らしく、鶏も従っています。
小型の猛禽類…ここでは小狩り鳥と呼ばれていますけど、チョウゲンボウかツミですかねえ。
………見た目ですと通報したくなりますけど、姉さん女房なのですよね……。
慣れなければ!
ジョニー「こちらに来てそろそろ一年ですけど、未だに見た目年齢と言いますか、慣れませんよね」
アイン「元になっていると言いますか、混じっている種族で大人になる時期も変わりますし、外見も一定以上大きくならなかったりしますからね」
チャック「だね。オレだって多分頭ひとつ分くらいしか大きくならないだろうし」
シナトラ「僕はまだ大きくなるよ。だからチャック兄ちゃんが何かあった時は助けてあげる」
チャック「………少し複雑」