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新事業です

「綺麗ですね」

「向こう側が透けて見えるね」

いつの間にか見学に来ていたアインとコニーが言います。


「で、これは何に使うのですか?」

「勿論窓に嵌めます」

「窓に?

こんな透けた板嵌めたら中が丸見えじゃないの?

中が見える板なんて嵌める意味あるの?」


窓には窓ガラスが当たり前な世界から来た私と、窓は板で塞ぐのが当たり前なこの世界。


「これをはめると光は通しますけど、雨風は防げます。

雨が降っていても、外は見えるので便利ですし、お日様が出ている間は陽の光で室内が暗くなる事が有りません」

他にも有るでしょうけど、改めて考えると窓ガラスの利点がわかりませんねえ。


でも現状、雨が降ったり風の強い日は、窓の鎧戸を閉めて薄暗い部屋の中で、蝋燭や魔法の光で過ごすのは、閉鎖感が有りますし、鎧戸を開けている時に、虫や風に吹かれた枯葉が室内に入って来るのも嫌なんですよね。


雨季から秋、冬と、鎧戸を閉める事が多かったですけど、締め切った部屋の中と言うのが微妙にストレスでした。


窓ガラス(これ)も実際に体験してもらうのが一番ですよね。

大工さんに依頼して窓枠を作ってもらい、ガラスを嵌め込み窓に設置。


「成る程、明るいな。

外の音も少し遮断されておるのか?」

ブルースの言葉に頷きます。


「雨程度の水魔法を当ててみて良いですか?」

「雨風くらいなら問題ないから、嵐くらいの水と風魔法をかけてみて下さい」

私が言うと、アインは外へ出て、窓に向かって水魔法と風魔法を同時に発動させます。

勿論ガラスは無事でした。


「成る程、これはなかなか良いものかも知れませんね」

アインからも肯定の言葉をいただきました。


「私の身近に有ったのは、透明なガラスなのですけど、使う珪砂の色が出てくるみたいですね。

色ガラスにするのもいいかもしれません」

「透明か。

透明だとそこに有るのか無いのかわからなくなりそうだな」


以前旅先のホテルで、ガラスが有るのに気付かず、思いっきりぶつかって、人拓を残したことが有りましたね。

痛いは恥ずかしいわで、大変でした。

でもこの世界だとそこまで透明度の高い物は出来ないと思いますから、ぶつかる心配はないでしょう。


「グラス…コップや瓶なども作りたいですね」 

「別にわざわざガラスで作る必要ないんじゃ無いの?」

「瓶だと蓋を開けなくても中身が見えて便利ですよ。

それに長時間水を入れていても、染み出してくる事がありません。

蓋によってはひっくり返しても液漏れしない事も有りますので、液体の薬を入れたり出来ますよ。

コップは飲む時の口当たりと言いますか……、まあこれも実際に使ってもらった方がわかりますよ」


アイン達と話していると、

「………その場合も我が作るのか?」

リテイク出され過ぎて疲れ顔のブルースが言います。

流石にそれは無いですよね。

ブルースは職人では無いのですから、他にも色々やってもらう事がありますし。


「職人さんを育てようと思います。

ガラス板は、当面の間は無理ですけど、コップや小さな瓶などは、他国へ販売も出来ますから、外貨稼ぎの為にも、ガラス工房をいくつか作って、町の特産品の一つにしたいと思っています」

私の話を聞いていた見物人の一人が、

「俺、やりたいです!」

と、声を上げました。

先程アイデアをくれた方です。


「えーと、ルリャルは確か農家の三男でしたよね?」

「え?何で知ってんの?」

「当たり前じゃ無いですか、面接したのは私ですし、私の町の住人さんなのですよ?

知らない方がおかしいですよ」


私の言葉に、集まっている方々が驚きの声を上げます。

「もしかして、ジョニー住人全員の顔と名前が一致してるの?」

「当然でしょう?

人数も300人弱なんだし、知らないと失礼じゃ無いですか」


本当は、人の顔と名前を覚えるのは得意では無いのですけど、ティちゃんのサポートが有りますから、頑張りました。


コニーの質問に答えてると、周りがさらにざわつきます。

何故なにゆえ


「ジョニーよ、それは当然とは言わぬな。

何か特別な事をしておるなら、名前も覚えるだろうが、全てを覚えるなど、あり得ぬな」

肩をポンと叩きながら、呆れた風にブルースが言います。


そんなものなんですかねえ、私的には当然だと思っていますけど。




ジョニーは人の顔と名前覚えるの苦手です。

だからこそ?自分の町の住人の名前は頑張って覚えました……ティちゃんが!



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