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アインがご立腹の様です

「誠に申し訳ございませんでした。

忙しさにかまけ、後継の教育を怠ってしまった私の責任です」

「……立ってください。

血の繋がった子供と言えど、貴方と彼は別人です。

教育を怠った事に関しては問題でしょうけど、あなたを罰するつもりはありません」

「ありがとうございます」


一度頭を下げて、王様は立ち上がり、席に戻ります。


「跡を継ぐ者として、顔繋ぎの意味もあり、今回同席させたのですが、まさかあんな間違った知識を植え付けられているとは……」

「彼が跡を継ぐのは辞めてもらいましょう」


うん、そうですね、あんな偏った考え方の人が国のトップに立つと、早々に国が滅びますよね。


「勿論です。

人族の中でしか生きられない者の為の国の必要性を、歪んだ考えで捉えるなど、国を滅ぼす思想です。

この問題は早急に対応して、正しい知識を浸透させます」


この世界は地球と違い、多様な種族が居ます。

なのに、自分達人間が一番偉く、他の種族は格下だ、なんて間違った考えを、あの王子が最初から持っていたわけではないのかも知れません。


先程王様が言っていた、王妃様や部下の方々の思想をそのまま受け入れてしまったのでしょう。

子供の教育はそれを教える大人の責任です。

子供と言っても二十歳はたち近い年齢の様でしたけど。


「確かあと2人程お子さんが居ましたよね。

長子だからと跡取りに据えず、年齢に関係なく優れた者に跡を継がせるのが良いのでは?」

アインが実力主義を推奨しています。


「そうしたいのは山々なのですが、それぞれに派閥がありまして、アレを後継としていたのですけど、そんな事は言ってられませんね。

この際に、老害も一緒に排除するのが一番なのでしょうね」


王様は苦労が絶えなさそうです。

部屋に入る前より老け込んで見えますよ。


「長子の母親は魔位の系譜の者ですか?」

アインの問いかけに首肯する王様。

「成る程、結界の為には蔑ろに出来ぬと言うことか」


この国は結界で覆われているのですか。

そうですよね、人の住む場所は魔獣が湧きやすいんですから、あんな柵では侵入され放題、襲われ放題になりますよね。

結界が有るのなら、城壁は領土の目安程度でも大丈夫なのでしょう。


そしてその結界を張っているのが、魔位の方々で、第一王子の母親のお妃様がその家系の方…で合ってるのかな?


結界の為にも、魔位の家系を蔑ろに出来ないし、第一王子が跡継ぎとして虚勢をはっていた、と言う事でいいのかな?


「結界に関しては余がなんとかしよう。

故にアレは跡継ぎから外せ」

「そうですね、この国を継続させる為にも、対応を間違えない様にしてくださいね」

2人とも、脅してませんか?

確かに態度悪かったけど、かなりご立腹ですか?


「この件に関しては、決着が付き次第ご連絡を入れさせていただきます」

「わかりました。

こちらも町をつくる場所が決まりましたら、またお知らせしますね」


どうやら話の区切りはついた様ですね。

王様が立ち上がり、頭を下げます。

「これから北の森へ向かわれるのですね。

お時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした」

「いえ、跡を継ぐ前に問題が発覚したのは、良い事だと思いますよ」

おお、アインがまだ怖い。


「一度正式に継いでしまうと、問題が大きくなるからな」

コニーも頷きます。

「この先も良い付き合いができれば良いですね」

釘を刺す笑顔の怖いアインに、王様は頭を下げたまま固まっています。

私も固まりそうです。



城の正面口まで、王様は見送りに出て来ました。

「私達は北へ向かいますけど、それぞれの城には本体が居ますので、何か進展が有りましたら、伝達してくださいね」

何か伝達方法があるようです。


「結界の方は連絡を入れておいた。

対処が決まり次第連絡が有るだろう。

しばらく待つが良い」

コニーの言葉に、何度目かの王様の「ありがとうございます」に頭を下げて、外で待つブルースの元へ向かいました。


「少し遅くなりましたね。

お待たせしました、さあ、北へ向かいましょう」

「北へ向かうは良いが、何かあったのか?」


さすがブルースです。

取り繕っていますけど、アインの態度の違いに気がついたようです。


「その話は城へ戻ってからですね。

とりあえず、時間が押してますから、少しほ?きでおねがいすます。

了解と頷いて、ブルースは飛び立ちました。


人族の王は、年長で長年国を取り仕切っているアインに敬意を示していましたし、客人で有る私にも普通に接していました。

(挨拶くらいしか会話はしていませんけど、態度は普通でした)


けれどその息子さんは……。


北の森の国は獣人の国と言って良いほど、獣人の人口の多い国だったはずです。


さて、どんな国なのでしょうね。




この話の詳しいことは、次回の番外編で。


次回王様視点での話となります。

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