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南の港街

やっと港街へ到着しました。

港には、船を着ける桟橋以外にも、魚人が上陸するスロープの様なものがあるので、そこからの上陸です。


街はとても人が多く、賑やかです。

人族、亜人、獣人、魔族、魚人。


魚人は、下半身が魚の人魚は、陸に上がる時、尾びれが足になるそうです。

上半身が魚の魚人は、上半身を人の姿に変えたり変えなかったり、個人によるそうですけど、猫系の獣人の視線が怖くて、人の姿になる事が多いとか。


…あ、襲われるとかでは無いそうですよ、ただ『美味そう……』と言う視線が怖いそうです。



今期この街を管理しているのは、北の森の王の国の方だそうです。


管理していない期間でも、大使館の様なものがあり、他の国の代表もこの街に住んでいるとか。


国ごとに街を分割して、それぞれの国でまとまっていると言うわけでもなく、四つの国の人々は平和に暮らしているようです。


「他の国との諍いは起きないのですか?」

「どうして諍いが起きるのですか?」

私が問うと、逆にアインに聞かれてしまいました。


日本は平和な国と言われていましたけど、地球規模で見れば、至る所で争いが起こっていましたからね。

戦争、テロ、情報戦に経済戦略、宗教や人種による諍い、色々な差別やイジメ、イビリ…………。

おや?日本だって平和とは言いかねないですよね。


「国が違うと、それぞれの主張も有りますし、私の元いた世界では、人種による差別などもありましたから」

「何で?」

不思議そうなシナトラ。


「人は自分と違うとのは忌み嫌う…と言いますか、排除しようとすると言いますか………」

「随分と殺伐とした世界なんだな」

ブルースの言葉に言い返せません。


家族から弾かれ、結婚してからも、駆け落ち者だと陰で言われ、子供ができない事を同情されながらわらわれ……。


勿論良い方も居ましたよ。

それでも私はあの暮らしが幸せだったと言い切れるでしょうか…。


………いえ、幸せでしたね。

だって隣には妻がいてくれたのですから。


妻は私と一緒で幸せだったのでしょうか?


………少しでも幸せを感じてくれてたら良いのですが……。




「……ニー………、ジョニー!」

つい考え込んでしまっていた私を、焦り顔のチャックが呼んでいます。

「どうしかしたか?」

「父ちゃん何かあったの?」

皆が心配して寄って来ます。

「いえ、何も無いですよ」

もし、以前があまり幸せではなかったとしても、再開してから幸せにしてあげる事ができるはずです。

いえ、できるはずではなく、必ず幸せにします。


いくど目かの違いを心に刻み、まずは休息ですよね。

泳いでいたポニー達は疲れているでしょうし、飛んでいたディビッドも疲れたでしょう。

乗っていただけの私達でさえ疲労感が有りますから。


「なんか良い匂いがする!」

「ホントだ!」

魚や肉を焼く匂いに釣られて走り出すルシーとシナトラ。 


「おい、待てよ!」

二人のことは追いかけた常識人のディビッドに任せましょう。


「では私は宿を手配して来ます」

「なら我はドド達を乗り物屋に預けて来よう」

「ポニーはオレが付いて行くよ」

アインは宿探し、ブルースとチャックはポニー達を休ませる為に【乗り物屋】へと移動します。


【乗り物屋】はその名の通り、移動する乗り物を預かってくれるお店です。

馬車や馬、走りトカゲ(多分竜ですね)運び鳥(人が乗れる鳥が居るのですよ)、それとバスが一般的な乗り物で、それらを預かってくれるお店です。


因みに海の移動は、オオクロ(鯨ですね)と、跳ね魚(イルカ系統)を数頭繋いで、犬ゾリみたいな感じで船を引かすそうです。


つまり残ったのは私と、抱っこされている白雪だけです。


ルシー以外とは繋がっていますから、私はアインが呼びに来るまで、街を見て回りましょうかね。

私が移動すれば、皆もそちらに集まりますから、バラバラにはぐれる事が無いのですから。


実は少々方向音痴の気があるのですけど、迷子になる事が無いので、安心して歩き回れます。


海域が違いますから、リアンスで見かけた魚介と種類が違いますね。

タコにイカ、カニ、ハマグリ、エビ……魚介類が多いですね。

たこ焼き、焼きイカ、カニしゃぶ、蛤のお吸い物、エビはそのまま焼くだけでも良いですね。

お出汁と醤油が有ればどれもいけますかね。

あ、たこ焼き器が無いです。

どうにかできないですかねぇ。


などと考えながら街中を歩いていたので、前から歩いて来た方に思いっきりぶつかってしまいました。


「あ、すみませ……んーーーー⁈」


私がぶつかってしまったのは、髪の長い、痩せ細った中年男性です。

その男性は、歩いて来てぶつかり、そのまま後ろにひっくり返ってしまい、動かなくなりました!


なんだなんだと野次馬が集まって来ます。

野次馬の喧騒にも目を覚ましません。


「え?ちょっと待ってください。

歩いてぶつかっただけですよね?

ちょっと、あなた生きていますか?」

男性の横に跪き、白雪を抱いていない方の手を鼻先に持っていきます。


あ、息は有りますから、死んではいませんよね?

だいたい、ぶつかったと言っても、肩が振れたくらいなんですよ?


よく見てみると、痩せ細ったその男性は、何日も食べ物を食べていない様に痩せていて、手足はカサカサ、長い髪はボサボサでもつれています。

身につけているものは、服と小さなウエストポーチだけ。

服はゴワゴワですし、ポーチは中に何も入っていない様にぺしゃんこです。


ホームレスの方なのでしょうか?

きっと常時発動させている換気魔法を解くと、臭いも凄いのでしょうね。


現実逃避していないで、警備の方でも読んできた方がいいですよね。

周りに居る野次馬の方々に頼もうにも、皆遠巻きで見ているだけで、誰も近づいて来ません。


厄介ごとに巻き込まれたく無いのはわかりますけど、声くらいかけてくれてもいいと思うんですけどね…。




シナトラ「?……父ちゃん?」

ディビッド「あれ?これってなんだ?」

ルシー「??二人ともどうしたの?」


アイン「……………ジョニー?」


ブルース「ぬっ……これは……」

チャック「!!ブルースさん、戻りましょう!」

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