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物語りはまだ始まらない

新作です。

最初の幾話かは説明文的ですが、お付き合いいただけるとありがたいです。


10話までは連続投稿、11話からは奇数日アップとなります。


よろしくお願いします

「おめでとうございます!

貴方はこの太陽系で第1482回目の999,999,999人目の死者になります」


見知らぬ場所で目覚めた私は、いきなり見知らぬ男性二人から、大きな声をかけられました。

はて、何を言っているのでしょう?

9億9999万9999人目の…死者?

そうですか、私は死んだのですか。


あ、申し遅れました、私は某輸入食品会社の第二営業部で課長を務めております、後藤 丈二と申します。

おや、名刺がない。

当年とって56歳になりますが、課長止まりのサラリーマンです。


昨年35年連れ添った妻をガンで亡くし、子供もいない私は寂しい一人暮らしでした。

私の年代にありがちなのですが、家事は一切できず、毎日三食外食や、出来合いの物を食べていると、一年で体型が随分変わってしまいました。

ですから死因は不摂生による何かの病気でしょう。


まあ、妻の居ない世界に未練はありません。

できるのならば、次も妻と同世代に生まれて、また一緒になりたいもんです。


さあ、早く生まれ変わらせて下さい。


「ちょーーっと待ったー!

勿論死んだのだから通常は輪廻の輪に乗せますよ?

でも、貴方は9×9(9バイ9)の記念死者なのです」


疑問に思う事は聞いた方がいいのでしょうか?

「はあ、死者なのに記念なのですか?

それに9億……とは、なぜ切り番になる10億ではないのでしょう?」

「カウンターが9桁なのですよ」

「なる程、そこはわかりました。

しかし千百何回とは、随分数が多くないですか?」

約10億人が千回以上……とても多いですよね?

「そりゃあ太陽系全部だからだよ。

地球だけじゃないよ」

はあ、それならそんなものなんですかねえ。

私にはわかりませんが。


「…地球以外に生物がいるのか!とは突っ込まれないのですか?」

「ええそうですね、私宇宙人は居る派ですので。

UFO特番は若い頃からよく見ていましたよ」

私が答えると「歳の割には…」や「でもオタクでない筈…」などと聞こえてきます。


確か【オタク】とは漫画やアニメなどが好きな方々の事ですよね?

私は本を読むたちではありませんので、新聞と稀に経済誌を読むくらいですね。

テレビ番組はニュースか旅番組を見るくらいですかね。

あ、ペットの番組も好きでした。

妻と二人で旅番組を見ながら、年に一度の二人旅の行き先を決めたり、可愛いペットを見て和んでましたねえ。

昔はミステリー特番などよく見ていたのは、妻と二人の秘密です。


「ええと、とにかく!

記念を受け取って下さいよ。

だって次の記念者まで10億人近く待たなきゃいけないんだよ?

毎回企画を考えたり、バージョンアップしてるのに、僕たちの努力が無駄になっちゃうよ?」

若者の努力を無にしてはいけませんね。

ややゴリ押しですが、記念品を受け取るくらい構わないでしょう。

妻に会えた時の土産話にもなりますし。


「それでは【受け取る】でいいですね?」

「はい、いただきます」

「じゃあコースを選んでね?」

少し軽い感じのする男性が何もない空間を『バン』と叩くと、そこには透明な壁でもあったのでしょうか、文字が浮かび上がってきました。


「まずはこの中からお好きなコースをお選びください」

少し丁寧な口調の男性が無表情のまま、タブレットのような物を手にします。

どこから出てきたのでしょう?

手品でしょうか?


ひとまず私は文字を読みます。

………

…………………

………………………………?


「すみません、意味がわらかないのですが」

書かれている文字は日本語ですから読めますよ。

しかしながら、書かれている内容が、【わかる】けれど【理解不能】なのです。


「えー、最近の人ならこの展開でサクッと理解してくれるのになぁ。

おっさんでもこう言った場所に来る人って、だいたいラノベ読んでたり、ゲーマーだったりするのに」

おや、なにかクレームがあるようです。

私はお呼ばれざる客のようですね。


などと考えていると、軽い感じの男性へ、丁寧な口調の男性の見事な腹パン……腹部へのパンチが決まりました。

「誰も彼もがファンタジーなモノに携わっている訳がないでしょう。

面倒だからと客人のせいにするのはマイナスポイントですよ」

「さ〜せん、ポイントマイナスは勘弁してくださいー」

よくわからないですけれど、漫才か何かでしょうか?

私は黙って説明の続きを待ちます。




お二人の話をまとめると、どうやら私生まれ変わる【輪廻の輪】?に入る前に、ゾロ目記念として第二の人生を送れるようです。

そこは生まれ育った地球ではなく、別の銀河の世界で、選んだコースによって行き先が変わるそうです。


行き先によっては子供の頃絵本で見たような未来世界や、魔法使いのいるような世界など、色々あるみたいですね。

また、第二の人生ですので、私は私のままその世界で生きていくそうなのですけれど、生きていくためにも【その世界で過ごすのに適した年齢】になるそうです。


第二の人生は【目的を決めて】【思うまま】【好きなように】【人生を楽しむ】だそうです。

まずはその世界で必要な能力が三つと、寿命が10年いただけるそうです。


その第二の人生で大事なことが、【ポイント】を貯めること。


【ポイント】は【その人の人生の目的】に向かっているかなどを自動で測定し、規定ラインを越えればいただけるそうですね。

その【ポイント】で【新しい能力】がいただけて、ついでに寿命も伸びるのだそうです。

測定方法などは企業秘密だそうです。


【ポイント】は初めのうちは貯まりやすく、すぐに貯まるそうなのですが、、ポイントが上がっていくほど貯まりにくいのだそうです。

そして【新しい能力】は、【その時点で必要かも知れないモノ】や【有れば重宝するモノ】がいくつか表示され、その中から一つないし二つ、【ポイント】と交換していただけるとか。


まとめると、最初に決めた目的に向かって行った行動などが、自動的に何かに判断されて、ゲージが貯まっていき、ゲージがいっぱいになると【新しい能力】と交換できる……でいいのでしょうか。

ポイントは使うと、また新たにゲージが貯まっていくようです。


【新しい能力】は、一度交換すると【新たな能力】が増えていくそうです。

交換回数が増えると、質の良い能力や、希少な能力が開示される仕組みだそうです。

初めのうちは簡単なモノ、交換回数が上がるほど、貴重なモノが出てくるようです。

また、低い能力でも後から必要となる場合があるので、一度開示された能力は消えることがないそうです。


そうですよね、実際に試してみて、後日「あの時のあれが今有れば」などと思うことは、あり得ることです。

この機能はありがたいでしょう。



「ではまずコースを選んでください」

ニッコリと微笑まれましたけれど、私の答えは…


「あ、すみませんけれど、やはり辞退させていただけませんか?」


「「えええーーーーーー!!!」」



物語どころかコースの選択さえ始まっていません…

明日はコースの選択です。

よろしくお願いします

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