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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
今からが振り出し
96/313

最後のーー

「着きましたわね……」

「ここが……」

イタチの先導により、避難用シェルターとやらに到着した。不気味な空気を醸し出しており、なぜだか嫌な予感がする。

「……どうやって入るんですの?」

「どこかにスイッチがある」

「……これですかね?」

なんの躊躇もなくルリがボタンを押す。

すると、閉じていたシェルターが開かれた。

「…入ろう」

「……あぁ」

まずハクリとルリがシェルターを潜る…。中は薄暗く、緑の霧のせいで窓から差し込む光はだいぶ遮られていた。

「…暗いな」

「はい。誰かがいても遠距離からは確認できませんね……」

「イタチとウェイリィもはやく入れーー」

イタチとウェイリィを呼ぼうと、振り返ると、シェルターが閉じられようとしていた。

「……」

「ウェイリィさん!何で入ってこないんですか!」

「ここから先はお2人でお入り下さい。私とイタチさんは少し遅れていきます…」

「お前の冗談は面白くねぇぞ!早く入れ!」

「…無理。敵、居るから」

こちらに振り向くイタチとウェイリィの背後……迫り来る大勢のゾンビ達が目に留まった。

「シェルターの中は安全だ!早く!」

「あの量でけしかけられたら、いくらシェルターとはいえ粉砕されてしまいますわ…ここは、私とイタチさんに任せて下さいまし」

何度ハクリとルリが訴えかけても、イタチとウェイリィは応えてくれない。それどころか、こちらに背を向けたのである。

「イタチ!ウェイリィ!」

「止めてください!早く!」

閉まり際…ハクリとルリは渾身の力で叫んだ……。

帰ってきたのは、『安心して』『大丈夫だから』という意味を込めた笑みだけだった。

シャッターの閉まる音。中にいた2人は同時に地に手をついた。

「嘘……だろ。皆…皆居なくなっちまった」

「皆さん……本当に大丈夫なんでしょうか」

元凶をヤヨイが、ゾンビの群れをミナヅキとイタチとウェイリィが……。

自分はこうも何も出来ないのか…。

地面を殴りつけても、襲ってくる痛みと虚無感はさらに罪悪感を増幅させる。

「…俺はまた……何も出来ないまま」

「マスター……ッ!」

ハクリに寄り添おうとしたルリだが、急に警戒態勢をとり、奥の方に視線を移す。

「……ルリ?」

それを見たハクリは不思議そうにルリを見るが、ルリは恐怖に染まった顔で1点を見つめていた。

「……」

そして、その存在を目に映していくうちに、ハクリの顔も徐々に青くなっていく。何せそいつは…ハクリとルリの視界の先に立っていたのだからーー

「終わりだ…痛みを…痛みを分けてやる」

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