新たな目的地
「くそっ!ここにも居るのか!」
「どいて下さいまし!第二雷系魔法!」
逃げても逃げても襲いかかるゾンビの群れ。ルリ、ウェイリィ、イタチが先行して動きを封じる。その隙に逃げるを繰り返していた。
「はぁ……はぁ……きりがないですね」
「どうにか撒くことが出来れば……俺が何かできれば……」
悔しさ故に下唇を噛む。
「…ハクリ。血」
「……今はとにかく戦闘を避けましょう。逃げて安全な場所を探す事が優先です」
「安全な場所なんてあるんでしょうか…」
「探せばきっとあるはずだ。今は落ち込んでいる時じゃない」
立ち上がったハクリは悔しかった。
自分も魔法が使えれば、こんなに人任せにならなかったのに。1人だけ戦力外という現状がこの上なく歯がゆい。
「…そうですね。とりあえず走りましょう」
「………安全そうな場所…知ってる」
「本当ですか!?」
驚いたように問いかけるウェイリィに、イタチはこくんと頷く。
「ここから南に約1.5km。避難用シェルターがある…そこなら安全」
「避難用シェルターか…確かにそこなら普段は閉まっているから安全だな」
「よしっ!そこへ向かいましょう!」
「待って下さい。出発する前にこれだけは心掛けてください。あくまで私達は足止めの魔法しか使えません。それに、道中はゾンビの群れがある事は明確です。常に周囲に気をかけて、何かあったらすぐに伝えること……良いですわね?」
「了解しました!」
「ん…了解」
「分かった」
かくしてハクリ達の目的地は、イタチの言う避難用シェルターへと定まった。




