自由時間
「さて、私とミナヅキは昼頃に帰ってくる。それまで問題は起こす事のないように」
「うぅ~今日が終われば…今日が終われば私は晴れて自由の身に……」
そう言葉を残し、こちらに背を向けるヤヨイとミナヅキ。今日は朝方から昼頃までの講師と生徒らしい。滞在最終日ということもあり、ヤヨイは張り切っているようだった。それに比べて残されたハクリ達は特にする事もなく、ウェイリィによる魔法教室以外は特に暇である。
「さて、俺はウェイリィに魔法を教えてもらうけど、ルリ達はどうする?一応午後から祭りがあるみたいだけど、それまで暇だよな?」
「んーそうですね。イタチさんどうします?」
見送りを終え、ハクリがルリに問いかけると、特に宛もないルリはイタチに問いかけた。眠いのかは定かではないが、眠たそうな目で口を開く。
「なら私がこの街を案内する…その方が祭りの時回りやすいし、少しは思い出すかもしれない」
「なるほど。一理ありますね…いいですか?マスター」
「……んーまぁ良いんじゃね?イタチがいるなら迷子にもならなさそうだし」
ハクリがそう言うと、ルリは嬉しそうにはしゃぎ立てる。無邪気な子供のように、満面の笑みを浮かべている。
「よし!なら善は急げです!イタチさん、早速出発しましょーう!」
「……??」
思い立ったルリは、何をするよりもイタチの手を掴み、駆け出して行った。向かう先は玄関であり、ものの数秒後には玄関のドアが閉まる音が耳に届く。
「……行っちゃいましたね」
「あ、あぁ。ほんっと楽しい事には熱心なんだよな」
「それがルリさんですから……」
「さ、早速始めましょうか」
切り替えたように庭絵と向かうウェイリィ。ハクリも気持ちを切り替えてついて行くのだった。




