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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
今からが振り出し
83/313

猫の手〜お料理〜

「つーかーれーたぁー」

だらしない声を上げながらソファへとダイブするミナヅキ。それもそのはず、昼頃から深夜前の今まで、ずっと教え、教えられるを続けてきたのである。疲れはヤヨイも溜まっているようで、ミナヅキに何か言うわけでもなく、頬杖をつきながら何かをメモっていた。

「…電子回路をここに取り付け…これは代用出来そうなものがあるな…あとはこれをここに…ブツブツ……」

「ヤヨイ先生はそっとしておいた方が良さそうですね」

「…そうだな。とりあえず晩飯にしよう」

キッチンへと向かうと、イタチが包丁を持って難しい顔をしていた。その側でウェイリィが何やら料理の指導を行っている。

「あぁっ!包丁を持たない方の手は猫の手ですわ!」

「猫?猫ってあの猫?」

そう言うと、イタチは猫の真似をしているのか、手を猫の手のように握り、仕草を真似る。効果音をつけるなら『ニャー』である。

「そう、ニャーですわ。その手で切るものを支えるんです」

無意識だったのか、ウェイリィも同じように猫の真似をする。それを目の当たりにしたハクリは……

「…………」

無言になってしまう程可愛いと思った自分が恨めしかった。

運が悪い事にその即座にウェイリィと目が合ってしまい、ウェイリィは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染め上げた。

「…不可抗力だからな。怒るなよ」

「べ、別に怒ってなんかいませんわ!それより何しに来たんですの!?」

「い、いや手伝おうと思ってな。もう時間が時間だし、早く食べないと明日に響く」

「それもそうですわね…イタチさん。お料理教室はまた後日ということで、今からは私とハクリ君でやりますわ」

「ニャーニャー」

「……イタチさん?」

「ニャー?」

何故か今に至ってまだ猫の真似をしているイタチ。余程気に入ったのだろうか、テンションが上がっているように思えた。

「……」

「あ、今イタチさんに邪な感情を向けましたね?」

「人の心を読むなよ…って、そんな事考えてねぇよ。可愛いなと思っただけだ」

「それが邪だと言うんですよ!本当に懲りませんね…」

「自分の妹に向ける可愛いと思う感情の何が悪い!」

「あ、あなたの場合はそれだけじゃ………このまま喧嘩していても埒が開きませんわ」

ハッとしたように切り替えるウェイリィ。前日からの経験が今になって活かされてきた気分だ。

「…そうだな。晩飯とっとと作っちまおうぜ」

ため息を零しながらイタチと場所を交代する。イタチは上機嫌気味に猫の真似をしながらリビングへと向かった。

「…………」

「…………」

ハクリが食材を刻み、ウェイリィが煮焼きを担当する。

「……」

気まずい。

その一言が両者の脳裏に過ぎる。

「あのーー」

「あのさーー」

重なる声。何ともまあ典型的であろう。こんな事が実際に起きるなんて、両者共に思ってもいなかったであろう。これにより両者の気まずさは更に増していった。

「…明日はどんな特訓をするんだ?」

「そうですね。風の中級魔法といった所でしょうか…この際出来次第次の属性にいくという形でやっていきましょう」

「そうか…」

沈黙……。

何でこうも気まずいのだろうか…。

べ、別に、ウェイリィの事が好きなわけじゃないんだからねっ!

「マースター!ご飯できましたー?って…ほぅこれはまた…」

沈黙など関係なしに空気をぶち壊したルリ。ハクリとウェイリィの姿を見ると、興味津々に指を顎に当てた。

「な、なんだよ……」

「いや、ウェイリィさんとマスターが新婚さんみたいに見えまして」

「っ!?」

「ふ、ふふ夫婦!?私とハクリ君がですか!?」

突拍子もなくそんな事を言ってきたルリ。これに頬を高揚させないウェイリィではない。

「はい。そうやって一緒にご飯作ってると夫婦みたいです」

ルリがそう淡々と伝える中、ショート寸前のウェイリィ。口をパクパクさせながら何かを伝えようとしているが、ろれつが回らず、何を言っているのか全く聞き取れない。

「…からかうなよ。ほら見ろウェイリィがキョドってるじゃないか」

「な、べ、別に私はそんな事で動揺なんてしていませんわっ!」

「してるっての。その証拠にろれつ回ってないからな」

「っ~!」

夜は長い…特にこれからは色々と起きそうだ。

本日より、1~2日投稿に戻します!

皆様にはご迷惑をおかけしました!

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