ウェイリィによる魔法講座
「あ~痺れる。見ろよ、腕まだ痙攣してる…」
「……」
「あ~ビリビリする~体動かねー」
「……」
「あ~滑舌が悪いな~これじゃまともに話せねーよ」
「……」
「あ~もう嫌にーー」
「あーっもう!そんなに私が憎いのならそう言えばよろしいではないですか!ええ悪かったですよ!この通り悪かったと思っていますわ!」
「その態度のどこにそんな感情があるんだよっ!こっちは訳の分からない理由で行動不能にまで陥ったんだぞ!」
「ま、まあまあ二人とも落ち着いて下さい……」
自分の左右で口論を繰り広げる2人を、ルリは苦笑しながら宥めていた。その後ろでは、イタチがルリにもたれ掛かって寝息を立てている。
「…はぁ。もう別に怒ってなんかねぇよ。だからそんなに気にするな」
「なっ…わ、私は気に留めてなんか……」
こいつめんどくせぇ……
そう心に思ったハクリだったが、ある案が思い浮かぶ。
「…ならさ、俺の頼み事を聞いてくれよ。それでチャラ…良いだろ?」
その瞬間、ウェイリィがバッと腕で自らを抱きしめ、ハクリと距離をとる。
「な、そ、そんな事を言って私の体を目当てにーー」
「ちげぇよ。魔法を教えて貰いたいだけだ」
「……?魔法ですか?」
意外な提案だとでも言いたげに惚けた顔をするウェイリィ。何故かは分からないが少しイラッときたハクリ。
「俺もいつまでも皆に甘えてばっかじゃ悪いからな。この2日間暇な時に魔法を教えて欲しいんだよ」
「構いませんが、短い時間では初級魔法…中級魔法が少しくらいが限度ですよ?」
「十分だ」
いつにも増してやる気なハクリに、ウェイリィは提案に応じるしかなかった。何よりこんな事になったのは自分の早とちりのせいな訳で……。
「……じゃあ、早速特訓と行きましょう」
こうして、ヤヨイとミナヅキがいない中、ウェイリィによる魔法講座が始まった。
 




