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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
今からが振り出し
71/313

向かった先は……

「えっと…ここですの?」

「……これまた大胆な場所だね」

「本当にここなら誰もいないのかい?」

「…ハクリ?」

「マスター…本当に大丈夫なんですか?」

ハクリが恐る恐る提案した場所。それは自身がよく知っている場所で、都合よくその場から近かったから考えた事。前までは誰かが居たような、綺麗なままのその建物は、未だ使われていないのか、汚れを帯びていない状態だった。

……その場所というのもーー

「大丈夫…ここ俺の家だし」

玄関に置かれている木彫りで書かれた『(あまた)』の字。どこか懐かしく、思い出したくないような記憶が巡り巡って脳内を駆け巡る。

「…ここが、マスターの家ですか」

初見の一同は言葉を飲み込む中、イタチただ一人はあまり乗り気では無いようだ。

しかし、誰もいない場所で、かつゆっくり休める場所といえば、ここしか思い浮かばなかった。

「…まぁ、とりあえずどうぞ」

まだ本心ではこの世界が前いた世界なのかは半信半疑だが、今はまだ結論を出すところでは無い。それを信じる事ができるのは、イタチの言うこの世界の上位者に会ってからだ。

緊張しながらドアノブに手をかける。鍵はかかっていないようで、順調に入室できた。

薄暗い玄関。足元に並べられた靴達。当たり前で、懐かしい光景が目の前に広がる。洋風な感じに包まれた廊下から見える扉、その向こうには、やはり懐かしい光景がそのままの形で残されているのであろう…そう思うと、自然に頬を伝うものがあった。

「…ハクリ、泣いてるの?」

イタチにそう言われ、自分の頬に流れるものが、自身の涙だと理解する。

「…いや、目にゴミが入っただけだ」

そんな事を言いながら涙を拭う。

「しばらくはここを拠点にしても大丈夫ですから、皆さんゆっくりして下さい」

「あぁ。世話になる…しかし今はイタチ君が言うこの世界の長なる人に会わないとな…あくまで休憩だ」

言葉を交わしながら

ハクリはヤヨイ達をリビングへと案内する。全員物珍しそうに家中を興味深そうに観察している。

「ここがリビングですので、どうぞご自由におくつろぎ下さい」

「ハクリ君!私喉乾いたんだよねぇ。何か飲みたいなぁ…」

「私も欲しいですわ」

「今持って来ますからそんな慌てないで下さい」

何があるかは分からないが、とりあえず冷蔵庫の中をマジマジと眺める。あいにく麦茶しかなかったが、とりあえずはこれで我慢してもらうことにする。

「はい。持って来ましたよ…て、何見てんだよ」

麦茶を人数分のコップに分け、運んだ所で、ウェイリィとルリ、イタチが何かを興味津々な顔で見ていた。

「これマスターですか?」

「……ん。まだ小ちゃい時のハクリ」

回答に一瞬詰まりながらも、イタチは幼いハクリが映ったアルバムを見ながらそう頷く。

「…ハクリ君にもこんなに可愛い時期があったなんて…何だか心外です」

「おい、人の幼少期見ておいてその反応は無いだろ。てか見るな!恥ずかしいだろ!」

「まぁいいじゃ無いかハクリ君。どれどれ…ほう、これはーー」

悪乗りしたヤヨイとミナヅキも、一緒にアルバムを眺め始める。

「へー、ハクリ君にもこんな時代がねぇ…」

先程から何度か聞いた言葉に、ハクリは正直耳が痛い。同時に恥ずかしさが重なり、顔が熱くなる。

「…俺、部屋の様子見てきます」

そう言葉を残し、ハクリは自室がある2階へと向かった。

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