2人で…
「綺麗ですね…」
「あぁ。なかなか見れるもんじゃないな」
2人が向かった場所は屋上。夜ということもって誰もいないその場所は、いわば貸切のようなものだった。そんなところから眺める風景は、ヤヨイと眺めた時よりもどこか儚げで、見所のあるものだ。
しんみりとした雰囲気と共に冬が近いのか、少々肌寒い空気が肌を撫でる。
「いつぶりですかね、こうやって2人でいるのは…」
「この世界に来てからは色々あったな。最初のヤツはビビった」
この世界に来てまず起きた事といえば、処刑されそうになった事だ。思い出としてはかなり濃い記憶である。
「あはは…そういえばそんな事もありましたよね…。あの時は本気でヤバイと思いました」
「いやありゃルリの不注意だろ。そこは自身持ってどうにかしますと言って欲しかったよ俺としては」
「すみません。私だって驚いたんです。まさかあんな事になるなんて思わなかったんですから」
お互いに苦笑しながら思い出話をする。異世界に来てから数カ月が経った。あと半年でこの学園を去り、同じクラスメイトとチームを結成する。自分にしてはかなり充実した生活だと実感する。ここまで来れたのも皆が居たから、ルリが最初から付いてきてくれたからと今なら素直にそう言える。
「…ありがとうな。ルリ」
「え?」
唐突にお礼を言われたルリは、少々戸惑っている様だった。誰かに改まってお礼を言うことは恥ずかしい事だと思っていたハクリは、普段こんな生真面目にお礼を言うことはほとんど無い。そんなハクリに言われたからだ。
「ルリが居てくれたから俺はここまで来れたんだ…まぁ、何だ…だからさ―」
「ま、マスター!早く終わらせないと先生に見つかっちゃいますよ!」
そんな改まったハクリを見て、ルリは恥ずかしくなったのか話題を逸らそうとする。ルリが言っていることも一理あるので、仕方なく本題に入った。
「俺がさっき話したあの子は…多分俺達と同種の人間だ。他の種族の容姿が全く当てはまらない上に、俺やルリみたいな、顔立ちや特徴をしていた」
「なるほど。マスターがそこまで言うなら本当なんですね…」
「でも…だ―」
ここで生じた疑問が一つ。
「俺はルリに連れられて異世界に来たんだよな?なら、あの子はどうやって来たんだろうか…」
「ありえる可能性の一つとしては、私みたいな存在がその女の子の側にいるか…ですね」
ここでハクリはイタチと会った時のことを思い浮かべる。今まで2回くらいしか会っていないが、どのタイミングでもそれらしい人物はいなかった。二回目に関しては戦闘まで行っている。そんな事をしているのに、側に居ない事はどこか不自然だ。
「いや、イタチはいつも1人だった。まだあって2回だけどそんな感じはしなかったな」
流石のルリもこれには言葉を詰まらせた。突如現れた自分達に似ている同種族と思われる少女。そして近々行く新大陸はなんと自分の故郷らしい。……話が出来すぎている。
「…悩んでも分かりませんね。イタチちゃんに直接聞く方が早いかも知れません」
「まぁそうだな。でも教えてくれるかな…俺達の事を周りには隠してるように、イタチも自分の真実を知って欲しくなかったりしないか?」
「その時は私達の真実を語りましょう。そうすればきっと教えてくれますよ」
と、ここで結論が一致する。とりあえずは様子を見て、相手の出方次第で手段を選ぼうという、この2人ならではの、2人の頃はいつもやっていた手段だ。
これが1番しっくりくる。
「さ、今日はもう遅いから寮に戻ろうぜ」
「そうですね。私眠たいです」
眠い目を擦り、笑みを零しながらそう言ってくるルリに、ハクリは苦笑する。屋上から見える景色を背に、出口へと歩み寄る……その時、ふと気になった。
「なぁ」
「??何ですか?マスター」
「何でルリは俺を連れてきたんだ?」
「っ!?」
何気ない気持ちで問いかけるハクリに対し、ルリは何故かビクッと体を震わせる。そんな反応をするルリを不思議に思いながら顔を見ると、ほのかに頬を赤く染めているような気がした。
「え、えぇっと…その…ですね」
モジモジと指遊びをするルリ。鈍感ラノベ主人公にはこの様子を見ても何も察しがつかない。
「こ、今度!今度また話します!」
「お、おう…分かった」
突然大きな声でそう訴えてきたルリに驚きながらも、半ば強制的にこの話は打ち切られた。当然のことながら、この後は各自自室へと戻ったのであった。
どうもおはこんにちこんばんわ!
最近Bluetoothのキーボードを買ってまだ慣れていない私、石原レノです笑
突然なんですが、明日からこの作品の投稿頻度を2日〜4日に短期間だけ変更します。
Twitterを見た方は多分知っていると思いますが、定期考査が近いのです泣
私自身順位は悪くないのですが、勉強しないと不安で眠れないとです笑
あ、私はそんなに勤勉ではございませんのであしからず…
現実的な話はここまでにして、私の誕生日(5月6日)にご報告させていただきました、スクールライフCREATORsですが、こんかいもどうぞよろしくお願いします!
それではみなさん、この度は『if.七種目の召喚者』をご覧いただき、誠にありがとうございました!




