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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
今からが振り出し
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課せられた役目

突然のウェイリィの襲撃に、ハクリはなす術なく死にかけた。

死にかけただけであり、死んではいない。

ほんのの数日前にあった謎の少女、イタチに助けられたからだ。

なんやかんやあり、イタチの言うハクリとルリの故郷へと向かうことになる…。

……これから話す話は、その日の夜の事である。

いつもなら各自寮へ帰っている時間だが、ウェイリィの一件があり、ミュードクラスの生徒は(みな)教室に残っていた。

ちなみにイタチは「準備があるから」と相変わらずの無表情で訴えてきたため、一緒には居ない。

教室に入るや否や、残る生徒達は暗い表情を一変してハクリの元へと駆けつける。

「マスター大丈夫ですか!?Aクラスの会長さんに呼ばれたと聞いてどんなに心配したか…」

「何かされたの!?少し擦りむいてるみたいだけど…」

「ち、ちょっと待ってくれ!俺の方から話すから皆は席についてくれ!」

よほど気になるのか、珍しく素直に従う彼女達を見て、ハクリも肝を据える。

…そして話した。ウェイリィがハクリやルリをどう思っているのか。数日前に会った謎の少女の事。そしてハクリやルリの故郷に対全種族反対主義(アンドロイド)でない事を証明するために行くこと。

洗いざらい全てを話した後の彼女達の表情は、難しいものだった。何もかもがいきなりすぎて状況の整理が追いついていないのだ。

その中でも特にルリは、誰よりも驚きを隠せないようで、目を合わせることも出来なかった。

「…そのアンタやルリの故郷にはいつ行くの?」

「まだ分からない。ヤヨイ先生に相談してみるけど…多分そう遠くない」

「…それは、私達も同伴で…ですか?」

授業で習った話だが、この世界には人類がまだ到達していない大陸がいくつもあるらしい。神話によれば、あらゆる神々がそこに封印を施し、ある大陸には避視魔法(アンルック)を、ある大陸は人類が進歩しない限り到達出来ない場所にあったりと、それ相当の障害が生じている。

今回ハクリが行く大陸も例外ではない。世間に晒せば行政が関与してくる。だから事前にイタチには『あなたが信頼できる人にしか教えないで』としつこく言われた。

ーハクリの信頼出来る人といえば…このクラスメイト達だ―

「それはまだ分からないけど、何が起きるか分からない所にみんなを連れて行くなんて危険な事はして欲しくはないと思ってる…」

返す言葉もなく、「そうですか…」と落ち込む様子を見せるシノア。

そして沈黙…。これを機に解散させようと思ったハクリだったが、小柄な少女が口を開く。

「またここにけえってきやがるですか?」

「………」

正直、帰ってこられるかは分からない。一応ハクリとルリの故郷と表ではそうなっているものの、実際の所全くの不確定要素しか詰まっていない場所なのである。故に、2人が、もしくはこのクラスメイト全員が、またここに確実に帰ってくるというテキトウな事は軽い気持ちじゃ言えない。

……でも、今のハクリにはこう答える【義務】があった。

「…帰ってくるよ。絶対に…俺とルリは絶対に帰ってくる」

意志のこもった目でそう宣言した。自然と裏切らないと確信できたからだ。いや、裏切ってはいけないと、そう心づけた。

「よし!ならいいんじゃない?皆他に問いただすことなんて無いでしょ?まぁそのウェイリィとかいう奴には後で私達からじっくりお礼してやりましょう!」

「…そうだね…どんなお礼を……する?」

場の空気を改善させるように声を張り上げるユリに続き、話を進めるように話題に乗るヒノン。それを機に、落ち込んでいた教室の空気は戻りつつあった。

「はいはーい!私いい事考えたよ!」

「そういう事なら私も参加しやすぜ!」

「…ふふ。なら僕もやるー!」

そんな少女達の無邪気な笑みを見ながら、ハクリは目尻に涙を寄せた。

皆が自分を信じてくれている。ならばこの期待に応えようじゃないか!そう思わせてくれたクラスメイト達に、ハクリは心の底から感謝した。

「大丈夫ですか?マスター」

ふと、話の輪から外れハクリの元へと歩み寄ってきたルリ。手に取ったハンカチを渡してくれる。それを受け取ったハクリは、それで鼻をかんだ。

「ちょ、マスター!そういう事に使うために貸したわけじゃないですよ!」

「いや、すまんな気をつかってもらって…」

流石に返す事はせず、そっとポケットにしまう。目の前では、まだウェイリィをどうしてやろうかの講義が行われていた。そんな光景を微笑ましく見るハクリ。

「マスター…ちょっと話しませんか?」

「……そうだな」

ここまで黙ってきたが、ルリとは話す事があった。無論イタチの事だ。自分達に似た存在である少女の事を、皆には妹と説明したが、ハクリの事情を知るルリにだけは真実を語らなければならない。そう実感した。

「それじゃあ今日は解散。みんな遅くまですまなかった!」

「僕達は大丈夫!どんな時でもハクリ君の味方だよ!」

「えぇ。私達はあなたに助けられてここに居ます。そう気に病まないで下さい」

「ん…大丈夫」

「それに、私達はアンタの為じゃなくて私達のためにやってるのよ。そこん所勘違いしないでよね」

「ユリちゃんはねーこんな事言ってるけど本心じゃハクリにすごい感謝してるんだよー!ミャアちゃんも!」

「まぁそれなりに感謝してやるですよ」

「……皆ありがとよ!」

再び滲み出た涙をバレないように拭い、ハクリとルリは一足早く教室を後にする。

そんな2人がいなくなった教室で、誰かがポツリ

「頼もしくなりましたね…」

「うん。最初の頃とは全然違う。こっちが頼ってしまいそうな程に…」

「【私達の役目】も……これで終わりなのかな?」

「どうだろう。でも、間違いなくハクリ君は成長してる…そうでしょ?」

「そうだね…でも、何か寂しいなぁ」

「最初からこうなる事は分かっていたでしょう。後は、あの子がどう出るか…です」

そして、最後に―

「ad‐147523……あとは、君次第だよ」

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