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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
始まりNew World
32/313

練習試合終了のお知らせ

「お疲れ様二人共。俺の作戦はどうだったよ」

「どうだったもあるか!何よあの作戦は!」

ハクリ、シノア、ルリのいる拠点へ戻ってきた二人。とりあえずハクリに一言言いに行こうとハクリの元を訪れた。

「まぁまぁ。後は簡単に俺達が負ければ本番は勝てるんだし…。ここは我慢だって。な?」

「そうだよユリ。それに結構楽しかったでしょ?」

どこか満足している様なミルにそう言われ、ユリはこれ以上口出しすることが出来なかった。これも勝つため…そう納得した。

「…ところで今どんな段階なわけ?私とミルが帰ってきた後の作戦は無いんでしょ?」

ユリの問いかけにハクリはにやぁっと不敵な笑みを浮かべる。

「ふっふっふ。まぁ見とけって」

ハクリの回答にユリは首を傾げる。すると……

『落とし穴掘り終わったですよ。注文しやがった通りの数掘ったです』

というリリィからの通信が入る。

ハクリは先程の不敵な笑みをより気持ち悪くさせ、もうもはやどこかの悪役のようになっている。

「……ハクリ君?何でリリィに落とし穴掘らせてるわけ?」

「いや落とし穴掘らせるっつったら誰かを落とす他にないだろ。Dクラスの奴らを落とすんだよ」

「あんたって…」

「ハクリ君ってたまに思うけど考えがゲスいよね」

「全くです。マスターはずるい事は得意ですから」

「ま、まぁこれでより相手を怒らせる事が出来るでしょうし…ね?」

「ふっふっふ……ふははははは!」

……ところがハクリの考えは甘かったようだ。

この後誰かが落ちたかと思われた落とし穴だったが、思わぬ展開、誰も落ちないといった結果になった。

当然罠として仕掛けた落とし穴に引っかからなかった訳だから、敵はガンガン攻めてくるわけである。

「…えーっとハクリ君?僕達結構無様に負けた気がするんだけど…これも計算の内って事なのかな…?」

「……そ、そうだ。俺はここまで計算に入れていた…と思う」

「絶対嘘ね!あのやられ方は絶対嘘想定外だったでしょ!」

下手な誤魔化しはユリには効かないようだった。ユリの指摘はハクリの目を泳がせ、それ以上の言葉を言えなくなったハクリを見て周りはため息をこぼす。

「……まぁ今回の事もあって相手は油断しただろうし…僕達はまた個人練習に励むとしようよ」

「……まぁマスターもたまには失敗しますよね」

そう苦笑しながら励ましてくれるルリを見てハクリはバツが悪そうな顔をする。

「…じゃあ各自個人練習にするか……ユリは俺と演習室な」

「ま、またあれやんの!?私もう嫌だ!あんな事して一体何になるってんのよ!」

本気で嫌がるユリに、ハクリはふっとキザな対応をする。

「ま、俺の巧妙な作戦はユリには理解出来ないよなぁ。あぁいいよ、ならこれは最も適正と思われる俺がしようじゃあないか…ま、ユリには無理だから仕方ないよなぁ」

とまぁ明らかに挑発的な言い方でユリをおちょくるハクリ。ここまであからさまに挑発されては流石に乗る人はいないと思っていたが……

「なっ、そ、そんなに言うならやってやろうじゃないの!あんたが最適性?馬鹿にしないで!これは私が引き受けた私が絶対に適役なんだから!」

ここに別の意味でノリのいい者が一名いた。ムキになりやすいと言い替えるべきか、ユリは挑発に乗ってしまった。

ユリがそう宣言したのを聞いて、ハクリは数回手を叩いた。

「はいはーい。皆はそれぞれ練習場所に行ってくれー。やる気満々のユリは 【適役】の事で忙しいから俺がみっちりしごいてやるからなー」

「は、はぁ……ユリさん頑張ってくださいね…」

「ユリは損する性格だよねー。僕はそんなユリが好きだけど…」

「…………怒りっぽい?」

「じゃあ私は頑張ってくるねハクリ!ユリちゃんも頑張ってね!」

シノア、ミルに続いてヒノンとミャンがそう告げ、次第にユリも我に返っていった。そして自分がハクリの罠にハマったと今更ながら気がつく。

「………………」

「ユリ?」

そんなユリが気になるのか、リリィが不安そうに声をかけてきた。ユリは後悔したように顔をしかめている。

「ユリは素直じゃねぇだけですよ。ちょっと頭を使ってれーせーになればあんにゃろーの挑発なんてへのかっぱだと思うです」

リリィの優しいフォローにユリは薄く笑みを浮かべた。ポンと手を頭においてリリィを撫でるユリ。リリィは気持ち良さそうに目を閉じて身を任せていた。

「ありがとうリリィ。大丈夫。これは私の仕事だから、仕事はちゃんとこなさないとね」

「そのいきですよリリィ!頑張ってくだせぇ!」

そう言い残して駆けていくリリィ。ユリは深呼吸をして心を落ち着かせた。

「……よし。やるわよハクリ」

「そのいきだ。全てはユリにかかってるんだからな。今日からはみっちりしごくぞ」

ハクリの放った言葉は、先程のふざけ半分ではなく、頼りにしているという気持ちも含まれていた。ユリは気合を入れ直し、地獄の特訓へと身を向けた。

そして1週間後―

「皆準備はいいな?今日は本版だ。泣いても笑っても勝てば続くし負ければ終わる。負ければ人生おわち、勝てば転機だ……」

「昨日頑張って考えた甲斐がありますね!マスター!」

「ば、馬鹿野郎!こういうのは黙って聞いておくんだよ!」

ルリのせいでいい雰囲気がぶち壊しである。ハクリの周りのクラスメイト達がくすくすと笑っている。ハクリは咳払いをし、最後の言葉を放った。

「まぁ……勝って帰ろうぜ!」

かくして、ハクリ達の運命そのものを決める『種族競技会』が幕を開けた。

遂に次回から種族競技会開催となります!

この作品初の戦闘描写!魔法の呪文には自信があります……はい。

それでは次回をお楽しみにー!

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