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醜態
「第五地系魔法!」
「っ!」
一方的にハクリがクロノへ魔法をぶつけるという、いつか見た光景。ハクリの奇襲によりダメージを受けたクロノは、先程からギリギリのところで攻撃をかわしていく。大地から魔力を吸収した今のハクリは、その魔力が尽きる限り、地系魔法を限界まで駆使する事が出来る。勝負は目に見えていた。
「…このままではーー」
「第八地系魔法!」
ハクリが唱えた魔法は地系魔法でも上位にあたる魔法…。周囲に大規模の魔方陣が出現し、その範囲内の土塊は剣の形を取り始め、数十本の土岩石の剣となり、クロノ目掛けて降り注ぐ。
「くそ!」
すぐさま自身の技術を使用し、逃げ道を確認するがーー
「お前に逃げ道はねぇよ!」
ハクリの言葉通り、クロノに逃げ道など存在しなかった。なす術がないクロノからして、今のこの光景はどう映るのだろうか…自身の能力を駆使してすら一方的にやられる自分を…自身のプライドというものは…もうそこにはなかったーー
「……終わりか」




