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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
294/313

「…死んだか」

「……」

瞳を閉じ、身動きひとつ取らなくなったハクリを見下し、クロノはそんな事を呟く。所詮は新設の情報班…。古くから組織の柱になる特攻班には適わなかった……。

クロノに幻滅という感情が芽生えたーー

「……」

自分の足元に横たわる幻滅の対象に目を下す。長い間、戦闘で自分に触れる者などいなかった。しかしこの男は…易々と自分に触れたのだ……期待しないわけがない。

「…貴様の力はもっと見定めるべきだった。今更ながら惜しいと後悔をーー」

言葉の途中でクロノが口を止めた。自分の視界に入る敵の死体を、今見ているはずなのだ。

先程から動きを止め、今度こそ死んだと確信していた。しかし、今こうして動き出しているのは、自分が幻覚でも見ているのだろうか?

自分の目を疑う事はおかしい事ではない。しかし、今自分が見ている光景はおかしい事なのだ……

「…まさか」

左目の刻印がこれまで以上に赤く光を放っていた。その光の元となる粒子は、地面から出てきている…。クロノの脳裏に1つの過程が浮かび上がる。

「魔力を吸い上げるのか…その呪術は…」

ハクリがゆっくりと体を起こす。クロノはそれを邪魔する訳でもなく、その後継を間近で眺めている。その表情には微かに笑みが見え、身震いさえしていた。

「…面白い」

「面白いかどうかは知らねぇけどよ、やっぱり俺はこんな所で負けられねぇんだわ…これは俺だけの問題じゃないからな!」

手上に魔法陣を展開するハクリ。その魔力量は吸収した事により、莫大なものになっていた。

「いいぞ!俺は貴様のような好敵手を待っていたのだ!」

死から一転…ハクリの覚醒の刻は少しずつ近づいていく…それを目の当たりにするのはクロノである事を、両者ともにまだ知らない…

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