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見えない存在
「……」
姿の見えない存在、シルフは遠目からハクリ達の戦いを見守ってた。側には自分の姿が見えないニノがいる。
ニノも不安そうにその光景を見つめていた。
「俺は…死ぬのか」
不意にニノがそんな事をつぶやいた。
「……ニノ」
自分がいくらそう呼んでも、ニノは答えてはくれない。記憶にも留めていないのだから、自分のことを覚えてすらいないのだ……しかし、自分がした事で、誰にもそれを咎める事が出来ない…。今更ながら自分がしてきた事に公開を覚えそうになった。
「…まだだ。俺にはまだニノを守れる」
今はその確信だけが、シルフの持てる最後の希望であり、自信であった。
「もうっ!多すぎるのよ!」
自分たちのいちばん近い距離の敵たちは、ユア、ツバメとツバキの3人が食い止めてくれている。敵の数は多いが、ユア達の腕も伊達じゃない。しばらくは大丈夫そうだ。
「第二矢…放て!」
「それ!それそれ!」
様々な攻撃が繰り広げる中、ユア達は全力を尽くす…。すぐ近くでハクリとアオイが絶対絶命だという事に気づかないままでーー




