青と赤の世界の始まり
「お前の相手は俺だ。前の続きをしようじゃないか……」
「何度やってもお前の能力じゃ俺には勝てねぇよ。はっ倒してやる」
クロノとハクリが対峙する中、アオイはガリヤと向き合っていた。
「もう今度は油断しねぇ…お前の能力を認めてやるよ」
「有り難きお言葉ですね。ならば今度は手加減なんてしませんよ?」
お互いがさっきを醸し出す中、シュベンは部下の戦いぶりを遠目から眺めている。
「いいねぇ…それでこそ我ら特攻部隊だよ」
「お、おい…こいつらは」
「大丈夫。ニノ君は私が守るから…」
ユアの横で怯えるニノを、ユアは優しくなだめる。目の前には複数人の特攻部隊員達。その狙いはニノらしい。
「さて、怪我したくなけりゃそいつを渡した方がいいぞ?」
「お前が抵抗しようと無駄ーー」
憎まれ口を叩く隊員の顔の真横に何かが通り過ぎる。早すぎて何も見えない中、頬に切り傷が刻まれていた。
何事かと視線を戻すと、そこには矢を放った後の体制でいるユアがこちらを睨んでいた。
その行動だけで、隊員達の思考は豹変する。
「…そっちがその気なら……殺してやるよ!」
「私はあなた達なんかに殺られない!絶対に守って見せる!」
「ツバメだってやってやるんだからぁ!」
ユアに降りかかる剣を、ツバメの鉤爪が受け止める。目尻に涙を浮かべたツバメが、やけくそ気味に受け止めていた。
「何も出来ないままなんて嫌!ツバメだって…ツバメだって!」
「私もツバメちゃんと一緒にやります!」
攻撃を受け止めていたツバメの真横から、敵の懐に入り込んだツバキの大剣が腹部に強烈な一撃を与える。
「ぐはっ!」
「私はツバメちゃんと一緒にーー」
「ツバメはツバキと一緒にーー」
ツバメの右目が赤く、ツバキの右目が青く光る。今までの可憐な少女達とは違い、今はどこか力強く見えた。
「ツバメちゃん…ツバキちゃん」
弓を強く握る…自分だけが成長していない気がしたユアは、どこか焦りを覚えていた。
「…私も成長しなきゃ」
新たな矢を手に持ち、ユアは弓を引いた。




