出会い
ニノ達に別れを告げたユアは、再び一人で行動する。向かう宛がないように思える足の運びも、瞳だけは行き先を示していた…いや、示されていた……
「1人でお散歩?お嬢ちゃん」
「あなたは……」
ふとユアに声をかける女性が1人、ユアを見つめている。明らかに周りとは違う空気を醸し出している女性を前に、ユアは警戒する。
「そんなに警戒しないで?お姉さん別にあなたになにかしようって訳じゃないの……ただーー」
目を細め、妖艶な笑みを浮かべる。街中とはいえ、思わず武器を構えそうになった。
「ただあなたに興味があるの。こんな所で、あなたみたいな可愛いお嬢ちゃんが一人で居るんですもの。何かあったの?」
「あなたには関係ありません。放っておいて下さい」
「冷たいのね。そんなんじゃ、好きな人にも振り向いてもらえないわ」
「っ……私は別に……」
何故か自分が見透かされているような気分に侵される。ただの偶然にしては……と言ったところだ
「ふふっ。あなたに興味が湧いてきちゃった。またお話してくれる?」
「……出来ればいやです」
「そう……ならまた次にあった時に……ね?」
そう言葉を残して、謎の女は姿を消した。はっきりと拒否出来なかった自分が不思議だ。そういった感情だけが、今のユアには残っていた。
「あの人は警戒しなきゃ」
自然とそう思わせるほどに、あの女の放つオーラは異常だった。まるで、たくさんの命を操っているような…言葉では言い表せない負のオーラが漂っていた。だからこそ、ユアはなるべく近づかないようにしようという結論に至った。




