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If.七種目の召喚者(イレギュラー)  作者: 石原レノ
全てが変わる日…変えようと誓った日
263/313

真の戦乙女

ガリヤの不敵な笑みを前に、アオイは悔しげな顔を露わにする。足が動かず、何も抵抗できそうにない。

何故気がつけなかったのか、それは考えずとも理解出来た。ガリヤの技術(スキル)である過剰殺戮(オーバーキル)。その能力のせいだろう。細かな仕組みまでは分からないが、厄介な事には変わりない。

「せっかくだから教えてやるよ。俺の技術(スキル)についてよ」

何かを思いついたようにそう言い放つガリヤ。アオイは思わず聞き耳を立ててしまう。

「俺の技術(スキル)はダメージが攻撃を当てた対象の体力が少ないほど強力になるってもんなんだよ。だからお前に気づかれる事無く足を再起不能に出来たってわけだ……どうだ?凄いだろ?」

勝ち誇った顔でそう告げる。不覚だったとはいえ、自分の僅かな油断が招いた現実に歯ぎしりをする。動かそうと試みる足は未だ動かない。

「さて、冥土の土産も伝えたし……殺るか」

長刀を片手に歩み寄るガリヤ。このまま終わる訳にもいかず、アオイは小太刀、大剣型の柄をライフルへと変換しーー

「おっと。それはさせねーぜ?」

抵抗しようと試みたが、いとも容易く跳ね返されてしまった。首元に差し向けられる長刀の刃先…悔しさが頭を覆い、同時に終わりを迎えようとしていた。


こんな事で…こんな所で……こんなやつに……


そんな言葉が頭をよぎる…結局自分は過去を振り切れなかった。たとえ新しい仲間と進んでも、結局は自分が認めた人さえ居なくなると言った……あの人がいたからここまで変われたのに…あの人がいたから自分は変われると思えたのにーー

「……」

「さて、終わりだな。効率の悪い組織とその仲間たちは俺達の活動にとっては邪魔だ。組織は効率を求めている。殺しはしないが、この作戦中は行動不能になってもらうぜ?」

「私達はあなた達のようなやり方はしません。排除する事が全て正しい訳じゃない。排除すれば丸く収まるなんて考えは放っから否定します」

「あ?お前今更何言ってるんだよ」

「たとえ総司令官が黙認していても、私達は私達の正しいと思った事をやり、望んだ結果を求めます。それまでは……絶対に……誰の邪魔が入ってもーー」

聞くに耐えない言葉だと思い、ガリヤが長刀を振りかぶった刹那ーー

「私達は絶対に負けないっ!」

アオイに向けて振り下ろされた長刀。そしてそれを阻止するように掴まれた素の手。手からは血が滲み、アオイが苦い顔をする。

「お前……俺の一撃を」

「誰がなんと言っても!誰が否定しても!誰が何をしても!あの人の……隊長の考えを私は尊重します!私の仲間を否定するような言葉を言ったあなたを…私は絶対に許さない!」

長刀を握りしめた手の力は緩まない。むしろ更に力が加わっていく。負けじとガリヤが力を込めるが、アオイはそれを逆に利用した。

不意に長刀の刀身を自身の方へと引っ張る。急な力の転換に、ガリヤの体はバランスを崩した。迫ってくるガリヤの巨体……アオイはその腹部を思いっきり蹴り飛ばした。

「がはっ」

戦乙女(ヴァルキリー)の名において、あなたを駆逐します」

蹴られた腹部を抑えながら視界を上げると、そこには大剣を手に持ったアオイが、今度はこちらに刃先を向けている。

「ばかな……お前は足の傷がーー」

「こんなもの…もしもの事を考えれば痛くもありませんよ。それより、自分の心配をしたらどうです?」

「くそっ……」

大急ぎでアオイと距離をとるガリヤ。今度は先程のような小癪な真似は通用しない…ガリヤにそう思わせるほどに、今のアオイはあの時の面影があった。

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