魔法を使えない者
「そろそろガリヤも手がついた頃だろうな」
「なんだよ。俺よりも仲間の心配か?」
ハクリのもてる全力で攻撃を重ねる。結局思いついた攻撃といえば、ただの全力射撃だ。いくら魔力が大幅に増大したとはいえ、ハクリには肉弾戦以外の技術はない。使える魔法も一度見たものの下位互換である。第八闇系魔法といった技術を酷使した魔法はまだ多くは使えない。つまり…ハクリに突破口はない。
「お前の本気はただのバカ打ちだろう?俺の技術を使えば避けることは容易い」
「…まぁ何も考え無しに打ってるわけじゃ無いんだけどね」
これまでの戦闘で分かったことが幾つかある。
まずクロノの能力である時間転送。対象の時間、つまり未来過去の行動を自分の記憶に転送し、行動を読むと言ったものだが、どうやら転送できる時間に制限はないようだ。ホーミング的な攻撃で時間差をかけて攻撃してみたが、容易くかわされた。
そしてマイナス面。それは、転送出来る条件。ある条件を複数満たした時のみ、この能力が使えるように見える。あくまで予想だから確信はないが……
1 使用後はクールタイムを有する
2 自分の未来までは読めない
3 使用者が馬鹿
一つ目は見ていれば普通に気がつける。魔方陣を展開した時が発動した時と見て、次の発動までにクールタイムを有していた。
二つ目はあくまで予想。自分の未来を見られたなら、ハクリと自分の未来を見て、そこから攻撃に展開できるはずだ。しかし、これまでクロノは1度も攻撃してこなかった。それは、攻撃する事でハクリの未来が読めなくなるからだろう。つまり、自分の未来を読まないのはハクリの攻撃が読めなくなるからに繋がる。
そして三つ目。これはもう言わなくてもわかるね……うん。
「なんだ?もう終わりか?」
「いんや…そろそろお前の行動に飽きただけだ…そろそろ第2ラウンドといこうか」
「ふっ……何度も同じ事を言わせるな。お前の攻撃は読めているとーー」
「ふぅん…なら、これは避けられるよな?」
「っーー」
突如顎に走る激痛。ハクリの手根部がクロノの顎を直撃し、視界が上を向いている。脳が揺れ、一瞬意識が飛かけるが、何とか持ち堪える。体重が後ろへ向き、数歩後退する。
「お前…どうやって」
「いや簡単じゃん?お前は俺の未来が読めて、それで俺の攻撃をかわしてるわけだろ?」
そう、つまりどうやっても攻撃は当たらない。ほとんどが魔法が使えない機巧族にとって、クロノの能力はかなり上位に値する。
しかし、魔法が使えるハクリは、それを上回ることも可能だ。そしてハクリはその魔法を使った……自分の能力を底上げする魔法ーー
「第三聖系魔法…いくら未来が読めるお前でも、読み込む前に…対応出来ない速さで攻撃されちゃ回避なんて出来ないだろ?」
にやりと口元が緩む。ハクリの猛反撃…まぁさっきから一方的に攻撃していたが……とりあえず始まった




