クロノの力
時間転送…傍から聞くとパッとしない能力だ。名前だけではその能力の全ては分からない。いや、【技を見たとしても認識することすらできない】かもしれない。
「あ、当たんねぇ……」
「当たり前だ。俺の技術でお前の攻撃は皆無になるからな」
「意味わかんねぇ……どうも普通に見きってる訳ではなさそうだし…でも避け方は完璧なんだよなぁ」
当たりそうなところで避けられてしまう。先程からこんな感じで戦いが行われていく。クロノは余裕法な顔でこちらの様子を伺っており、動き出す様子はない。
「…何となくお前の力が分かった。時間転送って言うくらいだから、時間を操作出来るんだろ?」
「さぁな。自分の手の内を晒すような真似はせん」
なるほど、図星なのね
「トランスミッション…転送か。時間を自分のいいように置き換える…それも過去のものに…それか、未来の時間を自分の頭中に転送して、行動を読む……かな?」
「私の高位なる技術の説明などお前にする義理はない。なんだその最初のふざけた力は」
なるほど、後者なのね
「……お前バカだろ?」
「なんだと?貴様はこの俺の頭が悪いと蔑むのか?」
いやそう言ってんじゃん
「……うん分かった。もういいや…なんかごめん」
クロノの事が色々わかった瞬間だった。それに、この状況を打開するヒントを得た
「…よし。やるか!」
両の頬を叩き、気合を入れ直す。
手上に魔法陣を形成し、次からの攻撃を予想する。自分の攻撃が読めるという事は分かったものの、クロノの能力がそれ以下なのか否かは未だ不明である。慎重に動くことに変わりはない。ならば自分のとるべき行動はーー
「とりあえずぶっぱなす!」
ハクリの猛攻撃が始まった




