クロノとガリア
「きゅ~」
「あらら……」
「そりゃまぁそうよね」
結果、アオイの圧勝である。一見ツバキが至近距離まで接近すれば優勢かと思えたが、アオイはまず距離を詰めさせなかった。常にツバキの考えの先をゆき、ツバキの攻撃、企みをすべて回避したのである。
さらに言うなら、アオイは結局1回もライフルを使ってない。
「うぅ……アオイさん強いのです…」
「ツバキさんはツバメさんと違って一手一手が引き気味ですね。控えめと言いますか、ツバメさんとは別の意味で分かりやすいです」
「さすがアオイさん……丁寧に解説してるよ」
「隊長もあんな感じだったわよ?」
「いや俺は別にそこまでじゃないよ。挙句の果てに教えた事後悔したくらいだし」
先程の記憶を掘り返す。
「二人なら勝てるのよ!絶対!」
声を張り上げて必死に訴えるツバメ。
「二人ねぇ…それだと不公平と言いますか……」
「ツバメとツバキの二人なら誰にも負けたりしないわ!隊長にも!多分アオイさんにも……」
ーおい、何故そこで顔を曇らせるー
「お前な……そういう事はーー」
「へぇ…なら俺とやってみないか?」
「!」
唐突に聞こえる低い声、その声とともにアオイの表情が一変した。ガタイがあまりにも良すぎる大男、その側にいる長細身の男とつるんでいるのだろう。
「……なんだお前達」
「なんだとは不躾だな…同じ組織の人間だっつーのによぉ」
「同じ組織……って事は特攻班!?」
「お前達の情報提供が遅いから来てみれば…この脳筋と言いお前達と言い無能にも程がある」
アオイの眉が一瞬動く。
「おいクロノ……おめぇまた死にてぇのか?」
「俺はガリア…お前に殺された事など一度もないがな」
早速仲違いを始める二人に、明らかに苛立ちを覚えているアオイが近づく
「あなた達、ここへ遊びに来たのですか?」
アオイに気づいた二人は睨み合っていた目線をアオイへ移す。
「ふん。誰かと思えば元特攻班のアオイ先輩じゃあねぇか」
「戦うことを恐れた、失戦の戦乙女……か」
「その名前で呼ばれるのは構いません。私自身気にしていませんから。でも、仲間の事を悪く言われるのは我慢なりませんね」
気迫ともオーラとも言える何かがアオイに立ち篭める。それを見たクロノ、ガリアは不敵な笑みを浮かべた。
「やる気満々だな。それなら相手してやるよ!この俺が!」
「俺はそこの隊長と相手をしよう。AIPという組織の心構えを教育してやる」
何が何だか分からないまま、ハクリとアオイは戦いに巻き込まれることになる……




