新しい事
「ルールは簡単!相手に3回攻撃を当てたら勝ちだ!」
「オッケー隊長!久しぶりなんだから思いっきり来てちょうだい!」
「……それでは、訓練開始!」
アオイの掛け声と同時に、ツバメが精霊武装術を展開。召喚された精霊、黒猫のクロは即座に右手の鉤爪へと姿を変える。そして、ツバメは一気にハクリの元へと駆け抜けていった。
「とりゃぁぁ!」
「げっはやっ!」
ツバメの電光石火を紙一重のところで受け流すハクリ。アオイから教わった捌きだ。
「あぁもう!当たんない!」
攻撃をかわされたツバメが不服そうに頬を膨らませる。
「ツバメの攻撃は一方的だから読みやすいんだ。もうちょっとフェイクとか使ってみるといいかもな」
「フェイク………うん。分かった!じゃあ次行くわよ!」
一度後方へ飛躍し、ハクリとの距離を開けるツバメ。その目には何か自信のようなものが満ちているように見えた。
「よっし……こい!」
気合を入れ直したハクリが両頬を叩く。それと同時にツバメが駆け抜けてきた。
右……いや、これはーー
一度右の鉤爪を振りかぶったと思えば、そのまま回転。鉤爪の裏拳がそのままハクリの右腕にヒットした。
結構強い一撃だったが、かろうじて腕が痺れる程度で収まる。
「いって……うん。いい!いいぞそれ!」
痺れる腕を抑えながら、ハクリはひとつため息をこぼす。目の前ではツバメが達成感に浸って嬉しがっている。そんなツバメに、ハクリは初めてやることを実行してみた。
「……行けるかな…魔法ーー」




